スポーツを通じたインクルーシブな社会づくり

寄稿者:小松 洋(2022-23年度ロータリー財団グローバル補助金奨学生)

今日、障害を持つ人びとの参加を重視するスポーツイニシアチブへの関心が高まっています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、持続可能で回復力のある社会を構築する上で、インクルーシブかつ公平な教育の質が重要であるとしています。

世界銀行によると、世界の人口の約15%が何らかの障害を持っており、発展途上国ではその割合がさらに高くなっています。国連はまた、障害者の3分の1が差別を経験していると報告しています。ジンバブエでは、人口の約7%、約90万人が障害を持っていると報告されています。2000年以降、世界的に「スポーツを通じた平和と開発」の理念が広まり、ジンバブエでもスポーツが人びとをつなぎ、インクルーシブな環境を創出する手段として実践されています。

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佐賀の自然といきもの:環境保全活動

~佐賀市内河川の外来種対策と希少種保護

寄稿者:古川 尋美(佐賀南ロータリークラブ会員、RI第2740地区グローバル補助金・平和フェロー小委員会委員長)

佐賀市中心部には、江戸時代の初めに佐賀城下の町づくりの一環でつくられた大小の水路網が張り巡らされています。水は多布施川から供給されており、多布施川も水路網も人がつくったものです。人がつくったこの水辺環境に、トンボ、淡水魚、水草など、さまざまな水生生物が住みつき、繫栄しました。

希少淡水魚の多さは特筆すべきで、絶滅の恐れがある生物として環境省がリストアップしているニッポンバラタナゴ、カゼトゲタナゴ、カワバタモロコなど、「イリオモテヤマネコ」や「アマミノクロウサギ」に匹敵するような希少生物が人の身近にいるのです。これだけの希少生物が人の生活圏に共存していることは、全国的にも珍しく、佐賀市の宝物と言えます。

その水生生物の楽園が、いま危機に直面しています。その原因の一つが、外来水生植物コウガイセキショウモです。コウガイセキショウモは、アクアリウムプランツ(アクアリウム水槽用水草)として輸入・市販され、購入した人が野外に流出させたと考えられています。その旺盛な繁殖力から生態系への影響が懸念され、環境省が重点対策外来種に指定しています。川底に絨毯のように広がって空間と光を独占し、魚が泳ぎ回ろうにも身動きできないようなところすらあります。

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クラブと地区リソースネットワークの協力を通じた医療改革プロジェクト

寄稿者:パオロ・パシーニ(イタリア、第2072地区国際奉仕委員長)

ロータリープロジェクトの成功に必要なのは、善意だけではありません。それは、コミュニティの真のニーズを的確に突き止め、そこに焦点を絞ること、そして、持続的なインパクトをもたらす強固なパートナーシップを築くことです。そうしてこそ、クラブ、地区、プロジェクトにかかわる専門知識をもつ仲間との協力が最大限の力を発揮し、奉仕プロジェクトを単なる善意ではなく、変革的なものとすることができます。

私は、地区国際奉仕委員長として、このアプローチの力を目の当たりにしました。「RemotHeartプロジェクト」は、新型コロナウイルスのパンデミック中にロータリアンが協力して立ち上げた革新的なイニシアチブです。

2020年、新型コロナウイルスのパンデミックがイタリアのロマーニャ地方に深刻な打撃を与えた際、多くのクラブと地区は、新型コロナの患者を支援するプロジェクトに注力しました。それは良いことなのですが、病院が必要とする以上の物資が届けられる結果となりました。病院では、酸素濃度計、体温計などの物資があり余る一方、ほかのニーズが満たされていない状況でした。プロジェクトはあまり役に立っておらず、持続可能でもありませんでした。隠れた重要なニーズを満たすために何ができるかと、私たちは自問しました。

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会員基盤を成長させる3つの「マジック」

寄稿者:チュン-ウック・ヒャン(韓国、Seoul-Hansooロータリークラブ会員、ロータリー財団管理委員)

私が所属するロータリークラブは、1991年10月、ほかの従来型クラブと同じように創立会員30人で加盟認証されました。約10年前に私が第3640地区ガバナーを務めた年度にクラブ会員数が約100人にまで増え、今年1月には会員数が433名に達して韓国で一番大きなクラブとなりました。どのようにこれが実現したのでしょうか?以下に、クラブの会員基盤成長のために用いた革新的な方法をご紹介します。

一つ目の革新は、約4年前にテ-ギュ・ベクさん、ダ・エ・ベクさん兄妹と出会ったことがきっかけでした。その時に感じた興奮を今も鮮明に覚えています。奉仕に対して同じビジョンを抱いていた私たちは意気投合し、私はすぐに、仕事面や個人的な面で彼らに毎週のようにメンタリングを行うようになりました。やがて彼らは私のロータリークラブに入会し、自身が経営する会社内にロータリー地域社会共同隊(RCC)を設立して積極的に奉仕プロジェクトに参加しました。

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ロータリー積極的平和アクティベーターとつながろう

~平和の土壌をつくる草の根のピースビルダーたち

寄稿者:マリア・アントニア・ペレス(ロータリー平和フェロー、積極的平和アクティベーター)およびチャーリー・アレン(ロータリアン、ロータリー平和フェロー、経済平和研究所シニアプラクティスフェロー)

「積極的平和」の枠組みとして経済平和研究所が定義した8つの要素

2017年、国際ロータリーと経済平和研究所(IEP)は、積極的平和につながる要素を枠組みとしてロータリー会員の知識とスキルを高めるためのパートナーシップを結びました。

ロータリー積極的平和アクティベータープログラムは、このパートナーシップによるラーニングプログラムであり、2020年の開始以来、北米、中南米、アジア、ヨーロッパ、東アフリカ、西・中央アフリカで212名が修了してきました。修了した人の中にはロータリークラブとローターアクトクラブの会員、ロータリー行動グループのメンバー、ロータリー平和フェローが含まれています。私たちの目標は、ロータリーのネットワークと積極的平和の枠組みを活かして持続可能な平和を生み出すことです。

このプログラムはまた、ロータリアン、ローターアクター、ロータリー平和フェローの協力を促すものでもあります。アクティベーターたちは、クラブや地域社会で積極的平和に関する890以上の教育活動を行い、全員で合計10,811時間をそのような活動に捧げてきました。

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日本と海外のDEIへの理解

寄稿者:宮里 唯子(茨木西ロータリークラブ会員、第2660地区直前ガバナー、RI&TRF合同DEI諮問委員会委員

私は現在、国際ロータリーとロータリー財団の合同委員会の一つ、DEI諮問委員会の委員を務めています。元RI副会長であるバレリー・ウェイファー委員長のもと、10名(9カ国)で構成されています。

現在のDEI諮問委員会のミッションは4つありますが、一言で言えば、開かれた組織へと進化するための戦略を、調査や根拠に基づいてRI理事会に提案することです。委員の中からは、DEIとは単なる組織改革の手段ではなく、人権にかかわる重要な課題であるとの発言もあり、各国の委員をつなぐ毎月1回のオンライン会議は私にとって貴重な学びの機会になっています。

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「医療を止めない」 被災地の病院を支援

~令和6年能登半島地震 被災地への緊急支援活動

寄稿者:新井 和雄(下館ロータリークラブ会員、第2820地区パストガバナー/緊急災害支援隊)

能登半島地震発生

元旦の所作を終え、茨城県の自宅で典雅な雅楽の調べに京の友から贈られた銘酒を傾けたころ、ゆさゆさと始まった揺れはうたた激しくなり、災いの記憶が脳裏をよぎりました。令和6年1月1日午後4時10分、最大震度7を観測した能登半島地震が発生した瞬間でした。

東日本大震災を経験した私たちは被災者の困難が直観でわかるとはいえ、日に日にあらわになる被災地の惨状を目の当たりにし、支援の手が届きにくい現実にロータリアンとして歯がゆさを覚えました。

能登で地域医療を支える神野正博さんと連絡を取ったのは、1月6日のこと。私と同期のガバナーだった神野さんは、七尾市で恵寿総合病院を経営しています。


神野さん(七尾ロータリークラブ会員)ご夫妻と筆者(写真右)
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人びとと自分の人生を豊かにする職業奉仕

寄稿者:Mahiuddin Palashバングラデシュ、Dhaka Midtown ロータリークラブ会員、第3281地区職業奉仕委員長)

私たちのこれまでのロータリーでの旅路を振り返ってみましょう。私たちは、笑顔が素敵だから、または性格がよいから入会を誘われたわけではありません。変化をもたらすために活かせる職業のスキルがあるから、奉仕へのコミットメントを共有しているからです。それは職業奉仕から始まったのです。第3281地区(バングラデシュ)の2023-24年度職業奉仕委員長として、また28年来のロータリアンとして、私はこの哲学が持つ変革力(transformative power)をこの目で見てきました。

職業奉仕がいかに私の職業人生を豊かにしてきたかを以下にご紹介し、皆さまも地域社会に持続的な変化をもたらすためにスキルを活かすことをお勧めしたいと思います。

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ウクライナの人びとに義肢を

多くのサポートを得て実現した奉仕プロジェクト

寄稿者:倉金 由幸(さいたま大空ロータリークラブ会員)

友人を介してアイデアが形に

このプロジェクトが生まれたのは、クラブの2023‐24年度の国際奉仕活動として何をするかを話し合っていた会議でした。

第2770地区ではロータリー財団の地区補助金の通常枠とは別に、グローバル補助金事業につながる、また同様な考え方をクラブに体験してもらうことを目的とした地区補助金の大口枠があります。

当クラブは、多国籍の会員がいるというクラブの特色を生かして、通常枠での国際奉仕活動に並んで大口枠でスリランカ、モンゴルなどで奉仕活動を重ねてきました。

今年度、どこで何をしようか思い悩んでいたところ、当クラブの小口会員より「国連職員の友人がキーウのロータリークラブに参加しているので、ウクライナでの奉仕活動先を探ることができる」と提案してくれました。

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多様性の時代のロータリー

19歳で入会した私が思うロータリーの可能性

寄稿者:佐京雄都(北本ロータリークラブ)

私が北本ロータリークラブ(埼玉県)に入会したのは、2017 年でした。当時の私は19 歳。父も祖父もロータリアンだったことから、ロータリーについて少しは知っている程度でした。しかし、そこまでの好印象ではありませんでした。小さい頃は、毎週木曜日の夜に祖父を奪っていくロータリーに恨みを感じていたほどです。

ハンブルグ国際大会の本会議会場

印象が大きく変わったのは2019 年のハンブルグ国際大会(ドイツ)に参加させていただいた時。そこで私は、多くの友人と出会いました。本会議では、隣に座っていたウガンダ人のフレッドをはじめ、周りの人たちとも自然と会話が進みました。現地の駅で東京からのロータリアンと偶然出会ったり、電車に乗れば隣にロータリアンの夫婦が座っていたりと、町のいたるところでロータリーのつながりを実感しました。

ITもロータリーも「人」をつなげるもの

私はスマートフォンアプリケーションの開発とデザインの仕事をしています。

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若い世代を起用して魅力あるイベントを

END POLIO NOWチャリティイベントをローターアクターが企画

寄稿者:延原健二(2023‐24年度第2660地区ガバナー、大阪大淀ロータリークラブ会員)

ロータリーには若い人の入会が望まれますが、若い人にとって入会のハードルとなるのは時間とお金です。もう一つ、世代間ギャップも原因の一つであると思われます。

中高年と若い世代との間で、楽しいと感じることにギャップがあるのは当然です。若い人たちが楽しめるロータリーにするには、若い人のアイデアを進んで取り入れる必要があります。そのような思いから、「若い人たちが楽しめるポリオ根絶支援イベントを企画・開催してほしい」と地区内のローターアクターにお願いしました。また、その様子をSNSで発信し、若い人の共感を呼んでロータリーの公共イメージを高め、叶うならば、会員増強につなげたいと思いました。「高齢者が集うロータリー」というイメージ払拭の狙いもありました。

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ブログで振り返る2023年のロータリー

今年も残すところあと数日となりました。新型コロナが「5類感染症」となり、やっと以前のようにロータリーの活動や行事ができるようになってホッとしている方もおられるでしょう。紛争や災害といったニュースでなかなか明るい気分になれないこともありますが、世界各地のロータリー会員が草の根レベルで奉仕活動や支援を行い、世界に希望を生み出しています。「ロータリーボイス」でもそのような話題をご紹介することで、読者の皆さまに少しでも希望をお届けできたことを願っております。

おかげさまで今年も多くの方に「ロータリーボイス」をお読みいただき、心よりお礼申し上げます。今年は、日本だけでなく、世界67カ国から閲覧者がありました。

今回は、2023年に公開された主なブログ記事からロータリーでの2023年を振り返ります(記事で紹介されている活動は2023年に実施されたものではない場合もあります)。

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2024 シンガポール国際大会に参加しましょう!

寄稿者:服部 陽子(東京広尾ロータリークラブ会員、シンガポール国際大会推進チームメンバー兼推進コーディネーター)

みなさんは、これまでに国際大会に参加されたことがありますか?まだ経験がないという方も、既に何回もあるという方も、ぜひ今年度は国際大会に参加なさって、国際大会ならではの醍醐味を味わっていただきたいと思います。国際大会は、友情と学びが融合し、インスピレーションが生まれる舞台と言われています。

今年度の国際大会は2024年5月25日より29日まで常夏の国、シンガポールで開催されます。シンガポールは日本から飛行時間が6~7時間、直行便も多く、時差も1時間と参加しやすい開催地です。本会議はナショナル・スタジアムで、 分科会やイベントなどはシンガポール人気スポットのマリーナベイ・サンズで行われます。

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気候変動と食料問題解決のための啓発ウォーク

ロータリアン、ローターアクター、有名人、地元市民がメッセージを掲げてカトマンズを行進

寄稿者:プラヤ・カーキ、プリンス・シャー(ネパール、カトマンズ・ローターアクトクラブ)

「気候変動」と聞いて気温上昇を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、食料への悪影響について考える人は少ないでしょう。気候変動は農業パターンに悪影響を与え、不作や食料不足といった問題を引き起こします。これによって貧困と不平等が悪化し、恵まれないコミュニティがさらに飢えに苦しむことになります。

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安全な水とワクチン投与を通じてパキスタンでのポリオ根絶を目指す

寄稿者:溝畑 正信 (大阪帝塚山ロータリークラブ会員

2023年2月12日から14日の3日間、私はパキスタンのカラチを訪れ、昨年に実施したグローバル補助金プロジェクトの成果の視察を行うとともに、現地でのポリオワクチン投与活動に参加しました。

カラチでの太陽光発電浄水設備設置プロジェクト

給水所で水を利用する女性と子どもたち。

パキスタンでは、地域によって劣悪な衛生状態が続いており、正式な医療サービスがなく、飲料水も不足しています。水を媒介とする伝染病の多くは、不潔で汚染された水を介して伝染し、人びとの生命を脅かしています。もちろん、ポリオもその一つです。

2022年1月から10月にかけて、カラチ・ロータリークラブ、大阪アーバンロータリークラブ、第2660地区(大阪府北部)、セントキャサリンズ・サウス・ロータリークラブ(カナダ)が提唱者となり、カラチ内5カ所のスラム地域に太陽光発電浄水設備を設置するグローバル補助金プロジェクトを実施しました。これらはポリオ感染のリスクが高い地域であり、安全な飲み水を提供することでポリオウイルスの感染を阻止する狙いもありました。

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ネパール先住民居住区での持続可能な農村開発

寄稿者:新井和雄(下館ロータリークラブ会員、第2820地区パストガバナー)

ナラヤンガー・ロータリークラブ(ネパール)の元会長であるラメッシュさんは、趣味のハイキングで時々チプチプ村を訪れています。山岳地帯を歩くとインドに続くタライ平野が一望できるロケーションがたまらないとのこと。いつも特産品の甘酸っぱいみかんを山ほど土産に買って帰るので、家族も彼がハイキングにゆくのを楽しみにしているそうです。

ある日、友人になった村人から自宅に招かれ、チア(お茶)をご馳走になっていると、友人の娘が大きな水がめを抱えて帰って来ました。学校へ行かないのかとラメッシュさんが聞くと、3年生までは通ったけれど、今は毎日谷底まで往復3時間かけて水汲みに行っていると言います。何とかしてあげたいと思ったラメッシュさんがクラブの仲間に相談すると、会員たちは、チプチプ村に飲料水の設備を設置することに賛同し、グローバル補助金を活用したプロジェクトを実施したいと考えました。そこで、友好関係にある下館ロータリークラブに支援要請が来たのです。

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アフガニスタンでポリオを根絶する機会

日本でポリオ根絶に携わるアフガニスタン人疫学者が現地のポリオ事情を説明

寄稿者:サバウヌ・ウリシュミン(一般社団法人リエゾン シニア・アドバイザー、元アフガニスタン大統領府 ポリオ根絶フォーカルポイント疫学者)

アフガニスタンは、ポリオ根絶が世界で最も困難な国と考えられていました。その主な理由は、同国政府と当時のソ連の同盟国であるムジャヒディーンとの間の戦争、ムジャヒディーンとタリバンとの間の交戦、タリバンとアフガニスタン政府および北大西洋条約機構(NATO)の同盟国との間の戦争など、長く続いた内戦と国際戦争があったことです。最近の戦争は20年近く続き、2021年8月にはNATOが支援する政府がタリバンに崩壊されました。

この政権交代は、経済的困窮、人道的危機、医療を含むサービスの途絶、女性の政治からの孤立、女子の中学・高校・大学への進学禁止と関連していることが、マスメディアを通じて広く伝えられています。しかし、マスメディアは政権交代に伴う前向きな進展(例えばポリオ根絶のような世界的な健康問題への影響)を無視することが少なくありません。

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奉仕志向の仲間が集まるクラブ

寄稿者:アレックス・ジョンソン(プレーノー・ウェスト・ロータリークラブ[米国テキサス州]、ロータリーコーディネーター[第25B・29ゾーン])

地元小学校で低所得家庭のための食料配布活動をする学校職員のボランティア、ピューさんとロータリー会員のビーメンダーファーさん、トーマスさん。

2020年、プレーノー・ウェスト・ロータリークラブの会長に就任した私は、難しい課題に直面していました。過去10年間にクラブの会員数は減り続け、わずか21名になっていたのです。 さらに、新型コロナウイルス流行で世間はロックダウンとなり、それまで立てていた計画や方策が無用になってしまいました。それでも私には、転換を図るためのビジョンがありました。

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世界初!ローターアクトクラブ提唱によるグローバル補助金が承認

~大阪東ローターアクトクラブが提唱するモンゴルでのグローバル補助金プロジェクト

寄稿者:宮里唯子(茨木西ロータリークラブ会員、第2660地区直前ガバナー、RI&TRF合同DEI諮問委員会委員)

大阪東ローターアクトクラブの坂口さんとモンゴルの子どもたち(ウランバートルにて)

この度、第2660地区(大阪北部)の大阪東ローターアクトクラブが2022年11月に申請したグローバル補助金(GG)が2023年8月に承認され、ローターアクトクラブによるGGとしては世界初の承認となりました。これは、ローターアクトクラブはもとより当地区にとって快挙であり、大きな喜びでした。

このプロジェクトは、「基本的教育と識字率向上」分野の活動で、モンゴルの首都ウランバートルにある公立校2校に図書室の整備と図書寄贈を通して約3,000名の子供たちへの教育支援を行うことが目的です。近年、雪害などの影響で従来の放牧で生計が立てられなくなりウランバートルに流入した人びとが、激増する首都の人口約半数を占め、ゲル地区で生活しています。ゲル地区にある学校では、人口増に追いつかず、ほとんどの学校が2部制をとっており、教材も不足しています。当然ながら、学力も都市圏の平均値を大きく下回るという調査結果が出ています。

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登山にチャレンジしてポリオ根絶をサポート

ポリオサバイバーの友人のためにローターアクターが立ち上がる

寄稿者: アメリ・ペルフェッティ(フランス、サンディジエ・ロータリークラブ)

数年前、フランス、パリの二人のローターアクト会員、ミニさんとラシッドさんは登山を通じてポリオ根絶への募金をするプロジェクトを立ち上げました。きっかけは、二人の友人で、ポリオサバイバーであるイブラヒムさんがよく言っていた次の言葉でした。「自分にとって学校に通うことは、毎日登山するような(大変な)ものなんだ」

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赤ちゃんの命を守るカンガルーケア

人間も動物も、親は子に対して深い愛情を持つもの。子育てについて言えば、人間が動物から学べることもあります。例えばカンガルーのお母さんは、赤ちゃんが成長するまでお腹の袋の中で育てますが、このカンガルー式子育ては、人間の子育てにもさまざまなメリットがあることがわかっています。

特に早産で生まれた赤ちゃんは、生き延びるために特別なケアが必要とされます。早産と栄養失調で命を落とす新生児は約160万人いると言われていますが、そんな未熟児のケアを目的に考案された「カンガルーケア」で、これらの赤ちゃんが生き延びられる可能性が高くなります。

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まずは自分の体を知ることから

寄稿者:白川 美咲(大阪西南ローターアクトクラブ元会員)

大阪西南ローターアクトクラブ(RAC)では、これまで生理の貧困への取り組みや、国内外の女性の健康と社会進出への支援を続けてきました。

フィリピンの女の子に月経カップを届ける

月経カップの贈呈。フィリピンにて。

2020年、大阪西南RACのスポンサークラブである大阪西南ロータリークラブ(RC)は、地区補助金を活用し、フィリピン・ルソン島のターラックにトイレを設置するプロジェクトを企画。そこで大阪西南RACは、併せて現地の女子学生に向けて性教育を実施し、さらに、生理用品を買えずに学校に行けなくなる子や、不衛生な生理用品を使って病気になるリスクを抱えている子を少しでも減らしたいという思いから、月経カップを届ける事業を大阪西南RCと合同で試みようと計画していました。しかし、そこへコロナ禍。全て延期となっていました。

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「変革理論」とは?

By 国際ロータリースタッフ

「ナイジェリアの家族の健康のための協力プログラム」で住民とのミーティングを行う医療従事者

ロータリーで最近耳にする「変革理論」という言葉。聞いたことはあるけれど、それが何なのかよくわからない、学術用語だから自分には関係ないと思っている方もいるでしょう。

ロータリーでは、変革理論は大規模プログラム補助金の重要な一部であるだけでなく、複数年にわたるグローバル補助金プロジェクトにも適用でき、長期的な目標を達成するためのロードマップとして欠かせないものです。

ロータリーの補助金では大きなインパクトと測定可能な結果を生み出すことが重視されており、その実現に必要とされるのが変革理論です。

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使わないおむつと地域の課題がマッチング

寄稿者:西森やよい(高知東ロータリークラブ会員)

高知おむつバンク」とは、「子どものおむつ離れによって余った未開封の紙おむつを地元の乳児院である高知聖園(みその)ベビーホームに寄付した」というロータリアンの経験から発案されたシステムです。

ああ、これは私だけの問題じゃないな

おむつを寄贈する西森さん(左)

2016年のある時、自宅のクローゼットの中に、未開封のおむつがあるのを発見しました。購入したまま、しまい込んで忘れてしまったのだと思います。当時、私の息子は幼稚園の年長でおむつは既に卒業していたため、わが家にとっては全く不要のものとなっていました。そこで、親交のあった中島香織弁護士を通して、高知聖園ベビーホームへ寄付することに。中島さんは、居場所を見つけられない子どもたちにその場を提供する「みんなのひろっぱ」をつくった人で、後に「高知おむつバンク」の命名をしてくれた人でもあります。

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ロータリーのラーニングセンターを活用しよう

~これからのラーニング(学び)を支えるオンラインツール

参加者を活動の中心に据えることを求める行動計画の一環として、ロータリーでは、研修モデルからラーニングモデルにアプローチを変えようとしています。これは、会員がラーニング(学び)に積極的に関与し、それを自らコントロールできるようにすることを意味します。また、ロータリーのラーニングにおけるリーダーの役割が、会員が知るべき情報を教える「講師」としてではなく、会員がアイデアを共有できるよう導く「ファシリテーター」としての役割を果たすことを意味します。

この新しい学びのアプローチの重要な一部を成すのが、ロータリーのラーニングセンターです。

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メンタルヘルスを優先することはなぜ大切なのか

寄稿者:ゴードン R. マッキナリー(2023-24年度国際ロータリー会長)

私は2023-24年度国際ロータリー会長として、世界的なメンタルヘルスの問題に特に焦点を当てています。メンタルヘルスや心の健康は、誰にとっても口にしずらいトピックかもしれません。国や地域によってはそのような対話がとても難しい場合があることも理解しています。

しかし、自分のメンタルヘルスや心の健康を大事にできるよう互いに心を開き、助け合うことの恩恵は計り知れません。 多くの人に苦難や孤立を強いることとなった新型コロナウイルスの世界的大流行がようやく終わりつつある今、私たちの多く、そして私たちが奉仕する人びとの多くが、引き続き心の健康の問題を抱え、誰にも相談できずに悩んでいます。ロータリー会員である私たちは、そのような人たちに手を差し伸べることができます。親睦と奉仕を礎とする団体として、私たちは互いを信頼し、思いやりながら、支えあうことができます。私たちは皆、メンタルヘルスとウェルネスについて地域社会とオープンなディスカッションを行い、地域で予防ケアや支援の堅固な土台を築くことができます。

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動画コンテストでロータリーを広く紹介

寄稿者:ニジャド K. アル・アタッシ(第21Bゾーン2020-23年度ロータリー公共イメージコーディネーター)

ロータリー公共イメージコーディネーター(RPIC)となった初年度、私はロータリーが世界で生み出している変化について人びとに伝えるための動画コンテストを開くことを夢見ていました。ロータリーの活動を映し出したインスピレーションあふれる動画をクラブや地区で制作し、地元の町で、またソーシャルメディアやそのほかのメディアで紹介すれば、多くの人にロータリーとその活動の素晴らしさを知ってもらえると思ったからです。そのような映像を通じて人びとの心にロータリーを深く印象づけることができると考えました。

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世界に希望を生み出そう:会長テーマロゴの意味

2023-24年度テーマのロゴ

今年1月の国際協議会でゴードン・マッキナリー会長エレクトが発表した2023-24年度の会長テーマは、「世界に希望を生み出そう」。

このテーマを選んだ理由について、マッキナリー氏は次のように述べています。「私たちの目標は、破壊的な紛争から世界が立ち直れるように、希望を取り戻すこと。そうすれば、私たち自身のために持続可能な変化をもたらすことが可能となります」

テーマの発表と同時に、テーマロゴのデザインも公表されました。ロゴにあしらわれた3つのダイナミックな図形は、水滴のようにも、そよぐ風のようにも見えます。カラフルなグラデーション(紺色~薄い紫色、濃い赤~鮮やかな紅色、オレンジ色~明るい黄色)からは、太陽の光が連想されます。

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海賊に襲われた家族をロータリーのネットワークが援助

寄稿者:ヴィンス・ディカロリス( 米国ワシントン州、ベーンブリッジアイランド・ロータリークラブ会員)

私たちがロータリーに入会する理由はさまざまです。地域社会に貢献するため、親睦を味わうため、発展途上国の人びとを支援するため、などです。しかし、入会後も会員であり続ける理由は、必ずしもそれと同じとは限りません。

私がこれからもずっとロータリー会員であり続ける理由となった、最近のある体験についてご紹介します。

会員の娘夫婦を海賊が襲撃

クリスさんとコーリーさん。ペットの子犬ステラと。

3月末、私は同じクラブの仲間であるボブ・バランスキさんから連絡を受けました。明らかに狼狽した様子のボブさんは、ヨット生活をしている娘のコーリーさんとその夫クリスさんが、パナマのペルラス列島に停泊中、銃となたを持った4人組に襲われたと言いました。パナマ運河の通航許可が下りるのを待っていたときのことだそうです。

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多様性・公平さ・インクルージョンを推進するヤングリーダーたち

~2022年インターアクト賞入賞者の紹介

世界では50万人近いインターアクターが学校や地域社会で奉仕プロジェクトを行い、「超我の奉仕」を実践しています。このようなインターアクターの貢献を称えるため、ロータリーでは毎年、インターアクトクラブのプロジェクトをとらえた写真、ビデオ、エッセイ(小論文)による「インターアクト賞」を実施しています。「最優秀ビデオ」「最優秀写真」「最優秀エッセイ」の各部門の入賞クラブには、今後のプロジェクトに充てるための賞金が授与されます。

2022年からは、インターアクト賞のサイトが初めて日本語で利用可能となり、作品を日本語で提出できるようになりました。日本のインターアクターの皆さんも、2023年インターアクト賞を目指してみませんか。応募の受付は今秋に開始される予定です。(※動画の場合は英語の字幕をつけることが奨励されていますが、必須条件ではありません。)

2022年インターアクト賞では、インターアクターが「多様性・公平さ・インクルージョン」を奉仕プロジェクト、クラブ、地域社会でいかに推進したかをテーマとする作品を募集し、動画170点、写真58点、エッセイ72点の応募がありました。各部門の入賞作品とクラブを以下にご紹介します。

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ロータリアン国際スキー親睦活動グループで初の日本大会を開催

寄稿者:吉田弘和(東京麹町ロータリークラブ会員、第2580地区ロータリー財団部門長、ロータリアン国際スキー親睦活動グループ日本会長)

スキーを楽しみながら奉仕も実施

ロータリー親睦活動グループ(Rotary Fellowships)は 趣味やスポーツの愛好家が国をまたいで親睦を深める活動で、世界に100以上のグループあります。そのうちの一つ、40 年の歴史を誇るグループ「ロータリアン国際スキー親睦活動グループ (International Skiing Fellowship of Rotarians)」(以下ISFR)では、今回初めて日本での大会開催が実現しました。2月11日~18日の1週間 日本を代表するスキーリゾート、ニセコに、国内外から60名を超えるロータリアンが結集しました。

もともとは、ISFR世界会長のアリソンさん(米国アイオワ州、エイムズ・ロータリークラブ所属)との個人的な縁がきっかけで検討が始まり、第2580地区(東京・沖縄)の嶋村ガバナーと第2510地区(北海道)の石丸ガバナー(両者とも当時はガバナーエレクト)の交流でニセコ開催が決まったものです。倶知安ロータリークラブはじめ第2510地区の皆さまの絶大なご協力の下、感動的な1週間が実現しました。

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