若い世代を起用して魅力あるイベントを

END POLIO NOWチャリティイベントをローターアクターが企画

寄稿者:延原健二(2023‐24年度第2660地区ガバナー、大阪大淀ロータリークラブ会員)

ロータリーには若い人の入会が望まれますが、若い人にとって入会のハードルとなるのは時間とお金です。もう一つ、世代間ギャップも原因の一つであると思われます。

中高年と若い世代との間で、楽しいと感じることにギャップがあるのは当然です。若い人たちが楽しめるロータリーにするには、若い人のアイデアを進んで取り入れる必要があります。そのような思いから、「若い人たちが楽しめるポリオ根絶支援イベントを企画・開催してほしい」と地区内のローターアクターにお願いしました。また、その様子をSNSで発信し、若い人の共感を呼んでロータリーの公共イメージを高め、叶うならば、会員増強につなげたいと思いました。「高齢者が集うロータリー」というイメージ払拭の狙いもありました。

若い人たちの発想力を活かす

今回のイベントでは、今までとは逆の発想で、ロータリアンはサポート役、中心となるのはローターアクターです。

まず、タスクフォース委員会を立ち上げ、イベントの企画、立案に入りました。タスクフォース委員会には、イベント企画・立案・実行役となるローターアクターをはじめ、サポート役として、地区の各種委員会(青少年奉仕統括、ローターアクト、RYLA、学友、米山奨学、公共イメージ向上、ロータリー財団委員会ポリオ・プラス小委員会)の委員長、学友会会長、関西米山学友会副会長などに参加してもらいました。

若い世代は、ポリオという病気についての知識がありません。また、日頃は、青少年交換、RYLA、ロータリー学友などの青少年プログラムは、それぞれのプログラム活動に専念しており、プログラム間の横の連携がほとんどないのが実情です。このため、このイベントの目的を次の3つとしました:

  1. 若い世代へのポリオ理解と根絶の必要性の啓蒙
  2. ポリオ根絶活動への寄付
  3. 青少年プログラム間の協力体制構築による結束力の強化

ローターアクターたちがイメージしたのは、学園祭のような楽しく賑やかな会です。会場を3つのブースに分けました:

  1. イベントブース:ポリオ罹患者とローターアクターとの対談動画、ハロウィン仮装大会、全国大会出場経験のある中学生によるダンス、米山学友会による音楽とダンスなどを行う。
  2. ポリオPR ブース:オリジナルTシャツ、クリアファイルなどのグッズのほか、飲食、遊びのブースで使える金券を販売(売り上げはすべて寄付)。
  3. 飲食・遊びのブース:各ローターアクトクラブや米山学友会が出店。

こうして10月22日(日)、YOLO BASE(大阪市浪速区)でイベントが開催されました。晴天の下、ローターアクターをはじめ、米山奨学生、学友や青少年交換留学生、Team RYLA、学友たちとその家族、ロータリアン、一般の方々などの多くの人で賑わいました。参加者は約400名に登り、楽しい雰囲気の中で若い人たちの交流も進みました。

イベントの成果

このパーティーを通して集まった総額約180万円の寄付は、それぞれの26ローターアクトクラブが、「公益財団法人ロータリー日本財団 ポリオ・プラス基金」に寄付することにしました。1クラブ平均の寄付額は約7万円となり、すべてのローターアクトクラブが寄付達成証の要件を満たした結果、次年度のローターアクトクラブの補助金活動にも弾みがつきました。

新聞社1社とケーブルテレビ2社が報道してくれました。なかでもインパクトがあったのが11月9日の新聞記事です。紙面の4分の1を割き、ロータリアンの仮装姿の写真とともに掲載された記事には、「ロータリークラブ苦境」「高齢化、会員減」「『脱・おじさん』宣言も」というショッキングなタイトルが付けられていました。しかし、読むと、「堅苦しい団体と思っていたけど気さくなイベントで興味を持てた」といった一般の方からのコメントもあり、明るい希望がもてる内容となっていました。同様の内容の記事がオンライン新聞にも取り上げられました。

今回のイベントは、従来はロータリアンのサポート役であったローターアクターが主役にまわり、ロータリアンが支援するという点で新たな試みでした。若いアイデア、価値観を取り入れ、若い人がリーダーシップを執り、ロータリアンがインクルーシブに支援しました。DEI(多様性、公平さ、インクルージョン)推進にも少なからず貢献できたイベントであったと思います。

これを機に、ローターアクトクラブの自立に向けた機運が高まることを望んでいます。

[寄稿者プロフィール】
延原 健二(のぶはら けんじ)
兵庫県在住。延原倉庫株式会社代表取締役社長。会社経営の傍らで精神科医として企業の産業医も務めている。2013年大阪大淀ロータリークラブ入会。2023‐24年度地区ガバナー。ロータリーに若い力を注入することに取り組んでいる。

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