クラブと地区リソースネットワークの協力を通じた医療改革プロジェクト

寄稿者:パオロ・パシーニ(イタリア、第2072地区国際奉仕委員長)

ロータリープロジェクトの成功に必要なのは、善意だけではありません。それは、コミュニティの真のニーズを的確に突き止め、そこに焦点を絞ること、そして、持続的なインパクトをもたらす強固なパートナーシップを築くことです。そうしてこそ、クラブ、地区、プロジェクトにかかわる専門知識をもつ仲間との協力が最大限の力を発揮し、奉仕プロジェクトを単なる善意ではなく、変革的なものとすることができます。

私は、地区国際奉仕委員長として、このアプローチの力を目の当たりにしました。「RemotHeartプロジェクト」は、新型コロナウイルスのパンデミック中にロータリアンが協力して立ち上げた革新的なイニシアチブです。

2020年、新型コロナウイルスのパンデミックがイタリアのロマーニャ地方に深刻な打撃を与えた際、多くのクラブと地区は、新型コロナの患者を支援するプロジェクトに注力しました。それは良いことなのですが、病院が必要とする以上の物資が届けられる結果となりました。病院では、酸素濃度計、体温計などの物資があり余る一方、ほかのニーズが満たされていない状況でした。プロジェクトはあまり役に立っておらず、持続可能でもありませんでした。隠れた重要なニーズを満たすために何ができるかと、私たちは自問しました。

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メンタルヘルスを優先することはなぜ大切なのか

寄稿者:ゴードン R. マッキナリー(2023-24年度国際ロータリー会長)

私は2023-24年度国際ロータリー会長として、世界的なメンタルヘルスの問題に特に焦点を当てています。メンタルヘルスや心の健康は、誰にとっても口にしずらいトピックかもしれません。国や地域によってはそのような対話がとても難しい場合があることも理解しています。

しかし、自分のメンタルヘルスや心の健康を大事にできるよう互いに心を開き、助け合うことの恩恵は計り知れません。 多くの人に苦難や孤立を強いることとなった新型コロナウイルスの世界的大流行がようやく終わりつつある今、私たちの多く、そして私たちが奉仕する人びとの多くが、引き続き心の健康の問題を抱え、誰にも相談できずに悩んでいます。ロータリー会員である私たちは、そのような人たちに手を差し伸べることができます。親睦と奉仕を礎とする団体として、私たちは互いを信頼し、思いやりながら、支えあうことができます。私たちは皆、メンタルヘルスとウェルネスについて地域社会とオープンなディスカッションを行い、地域で予防ケアや支援の堅固な土台を築くことができます。

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モンゴルで人びとの命を救う「佐賀方式」

~モンゴルでの肝炎・肝がん対策支援

寄稿者:江口有一郎(佐賀ロータリークラブ会員) 

肝がん死亡率ワースト1の返上を可能にした「佐賀方式」

肝がんは、肝臓にできるがんで、放っておくと命にかかわる病気ですが、早期発見と早期治療により予防が可能です。

私の住む佐賀県は、特に60歳以上の方でC型・B型肝炎ウイルスの感染によるウイルス性肝炎の罹患率が全国でも非常に高く、そのため肝がんによる死亡率で全国ワースト1位が長年続いていました。これを解決するため、2012年1月から県と佐賀大学が中心となってさまざまな手法による疾病啓発プロジェクトを行い、当時、佐賀大学医学部の肝疾患センター長だった私がプロジェクトの責任者となりました。

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トイレは命を救う

2022年「世界トイレの日」のキーワードは「地下水」

きれいで安全なトイレを使えるのは日本では普通のことですが、世界にはトイレが使えずに屋外で排泄する人が数百万人おり、それが原因となって感染症で毎日何千人もの子どもが命を落としています。

毎年11月19日、国連によって定められた「世界トイレの日」には、トイレの大切さを認識し、安全な衛生設備が使えない数十億もの人びとに関する理解を深め、行動を起こすことが呼びかけられています。この問題は、公衆衛生だけでなく、教育、経済、環境にも深くかかわっています。特に多くの女性や少女にとって、安全に管理された衛生設備が利用できないことによる屈辱、不便さ、危険により、社会への全面的な参加が妨げられています。

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人生の70年をポリオとともに

寄稿者:リ・ジョン-グエン(ウォンジュ・ロータリークラブ会員、第3730地区ポリオプラス委員長)

ポリオ根絶の研修で講師を務めるリさん。

朝鮮戦争の終戦から1年後、私は韓国南部の村に生まれました。医療の状況が思わしくなく、生後9カ月でポリオに感染。高熱が数日間続き、両足がまひして動かなくなりました。両親は教師でしたが、当時はポリオに関する知識がほとんどなく、迷信的な方法や祈祷に頼るばかりでした。2歳になったとき、ようやくポリオと診断されました。

松葉づえなしでは歩けませんでしたが、明るく活発な性格だったので、村の友だちたちと楽しい幼少時代を過ごしました。入学してからは通学時に弟がかばんを持ってくれました。級友たちは、階上の教室に行くときは私をおぶってくれましたし、学校近くの丘の上にあった自宅まで送ってくれました。こうした周囲の温かい支えはありましたが、歩行器のネジがゆるんだり、松葉づえが何かにぶつかったりしたときに、転ぶこともよくありました。

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祖国のマラリア根絶が私の使命

寄稿者:エリック・リスワニソ(ヌドラ・ロータリークラブ/ルサカ・ローターアクトクラブ会員[ザンビア])

マラリアについて最もやるせなさを感じるのは、予防できたはずの病気で家族たちが苦しんでいることです。子や親を亡くし、仕事や経済的安定を失うことは、悲惨な状況をもたらす可能性があります。

私は幼少時に両親を亡くし、私と弟妹にとって生活は困難となりました。幸い、親戚からの援助のおかげで学校を卒業し、弟妹たちの教育費をサポートできました。しかし、自分の経験から、親を失って一生苦しんでいるほかの多くの人の苦境に目が向くようになりました。結婚して2歳の娘がいる私にとって、特に5歳未満の子どもや妊婦に悪影響を及ぼすマラリアを根絶することは、他人事ではなく「自分ごと」です。

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パンデミックが収束したと言うにはまだ早い

~ビオンテック社CEO ウグル・サヒン氏とのインタビュー

※本稿は、ドイツとオーストリア向けロータリー雑誌によるインタビュー記事(2021年8月1日にrotary.deに掲載)を翻訳したものです。

欧州では例年通りの夏が戻ってきたかのように見えるこの数カ月間も、独ビオンテック社はコロナワクチンの改良に取り組んでいます。同社CEOウグル・サヒンさんが現状と今後の見通しについて語りました。

妻のテュレジさんおよびクリストフ・フーバーさんと共同で2008年にビオンテック社を設立したサヒンさんは、何より科学を重んじ、大げさな身振りや哀れを誘う話はしません。2020年11月9日、「有効なワクチンが開発された」という誰もが待ち焦がれたニュースが世界を駆け巡り、同社は12月からワクチン提供を開始。今年3月末にワクチン接種の効果が明らかになって以来、同社の株価は高騰しています。

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ワクチンボランティア 最高の日

By Steven Sanbo(第6690地区パストガバナー)

私が思い出すのは、何百人もの人びとの顔。希望、安堵、感謝、恐怖、喜び、興奮、絶望、不安、そして涙。マスクの裏に隠されたこれらはすべて、2月にアリゾナの集団予防接種センターで目の当たりにしたことです。

何百人もの、これほど多くの感情が浮き出た顔を見るのは、2014年、貿易学校を開くためにロータリーでグアテマラを訪れたとき以来です。活動現地付近でマグニチュード7.4の地震が発生し、村人たちは、支援、食料、水、シェルターを求め、行方不明の家族のための希望を必要としていました。私とほか2人のロータリアンは、シェルターボックスを出動させるボランティアとなり、希望に応えるために活動したことを覚えています。

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コロナ禍で考える:疾病予防におけるロータリーの役割

By アン・マリー・キンボール(Bainbridge Islandロータリークラブ会員、ロータリー財団専門家グループメンバー)

ロータリーは、新型コロナウイルスとの闘いに懸命に取り組んでいます。ロータリーで新しく設置されたタスクフォースのメンバーの役を仰せつかったことは光栄ですが、同時に、ロータリアンとして私たちの役割は何かと考えています。コロナ禍において、ポリオ根絶活動の進展をどのように維持していけるでしょうか。

世界に120万人の会員と35,000のクラブを擁するロータリーには、地元や世界におけるコロナ禍の終息のために果たすことのできる役割があります。コロナ禍により、特にパキスタンとアフガニスタンといった重要な地域でポリオ根絶と小児予防接種の取り組みが脅かされており、ほかの多くの国でも小児予防接種率が低下しました。しかし、ロータリーとパートナー団体が各国政府と連携して、休止されていた予防接種が再開され、その成果が現れ始めています。私たちには、ポリオ根絶を実現に導き、かつコロナ禍を終息に導くという二つの役割があり、これらは密接に結びついています。

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世界ポリオデー2020:コロナに負けず今年も

「新型コロナの流行により世界は大きく変わりました。しかし、変わらないものが一つあります。それは、ポリオ根絶の必要性です」~アデ・アデピタン(BBCテレビ司会者、元パラリンピック選手、ポリオサバイバー)

今年は長引くコロナ禍の影響で、生活や仕事や学業などにおいてすべての人に影響が及んでいます。そんな中でも、10月24日の「世界ポリオデー」には、ポリオを世界から根絶するために、多くのロータリーファミリーが募金や認識向上に立ち上がりました。さまざまな制約や困難に直面しながらも、「ポリオのない世界」を目指してご尽力くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。ほんの一部ですが、今年の世界ポリオデーに日本で実施された活動やイベントをいくつかご紹介します。

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たった2滴のワクチンがあの時あれば

寄稿者:石毛 良治(東京後楽ロータリークラブ)

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インドで経口生ワクチンを投与する石毛さん

きっかけは突然に
『ロータリーの友』2019年11月号に載っていた「内外よろず案内」の「インドでポリオワクチン投与をしませんか」という記事をふと見つけるまでは、まさか自分がインドに行くとは思ってもみませんでした。

それまでロータリーの奉仕活動はそれぞれのクラブで決めた方針に沿って行われるものと思っていた私にとって、個人の活動は初めての経験です。問い合わせ先に連絡してみると、幸いにもまだ参加者を募集中で、妻が背中を押してくれたこともあり、思い切ってインド行きを申し込みました。 続きを読む

日本のロータリーがOne Teamに ~『医療従事者を守ろう』

寄稿者:福田哲三(名古屋和合ロータリークラブ)

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ロータリーからフェイスシールドの寄贈を受けた大同病院(名古屋市)の医療従事者の方々

COVID-19禍の中、我々ロータリアンは活動を阻む難しい現実に直面しました。資金があっても医療機器・資材を購入できない、集まってチームを組めない、困っている人たちに直接会って励ますこともできない等々。海外の仲間たちからも「人工呼吸器を送って欲しい」「医療用マスクが足りない」などの数多くの支援要請が届いたものの、日本でも医療用アイテムは入手できないというもどかしい日々が続いていました。 続きを読む

ロータリーの絆で医師たちが団結

_thank you_ Covid-19 fighters (2)By ジョン・フィリップ
(医療関係者のロータリー親睦活動、会長)

膨大な数のロータリーの仲間が、今この瞬間も途切れることなく、新型コロナウイルスと最前線で闘っています。そこで私たち医療関係者で構成されるロータリー親睦活動グループ(International Fellowship of Rotarian Doctors)も支援に加わり、意見やアイデアを交換して役立てることを決めました。

まず私たちは、世界各地から30名以上のグループメンバーやゲストを招き、2回のオンライン会議を開いて意見を交換し、それぞれの体験を共有しました。

メンバーの話には心を大きく揺さぶられました。 続きを読む

新型コロナウイルス流行を強く生き抜くための「回復力」の科学

寄稿者:ジェニー・ストッツ(ロータリー第6690地区会員増強委員長)

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ジェニー・ストッツさん

回復力(Resilience)とは、逆境においても、その状況に適応していくプロセスのことです。人間は衝撃的な出来事やストレスの強い場面に直面すると、脳が多数の神経経路を活性化させ、身体を守る仕組みになっています。このような生物学的プロセスのおかげで、私たちは健康を保っています。そして人はこのような出来事を乗り越えることで成長して変わることができ、また強くなれるのです。

現在、多くの人が新型コロナウイルスのパンデミックという現実に直面しながら日々を送っています。幸いなことに、回復力を大きくする方法がいくつかあります。今回の新型コロナウイルスの流行は、皆が一丸となってロータリアンやクラブの回復力を養い育むことで、 続きを読む

コロナウイルスに打ち勝つための3原則

寄稿者:ジョー・オティン(ロータリー第9212地区ガバナー)

hand washing in east africa私たちの人生で世界が一転するほどの決定的な瞬間があるとすれば、まさに今がそれに当たります。人類の運命を世界的に変えた第二次世界大戦を生き抜いてきた方々が、私たちの一つ前の世代でした。歴史上、先人たちは耐え難い経済崩壊や壊滅的な武力紛争、気候の大変動など、絶望や死、破滅をもたらす衝撃的な出来事に直面してきました。

このような過去の出来事は、私たちが行動方法を見直し、既存の制度を再構築し、生き方を変えるきっかけとなってきました。 続きを読む

ポリオ根絶 次はパキスタン

寄稿者:大和 豊子(岡山南ロータリークラブ、チームポリオジャパン)

Pakistan NID photo_2GPEI(世界ポリオ根絶推進活動)から毎週報告される野生株ポリオ発症数は、2018年の33例(パキスタン12例、アフガニスタン21例)と比べて、2019年は173例(パキスタン144例、アフガニスタン29例)とパキスタンで爆発的増加を示しています(2020年2月4日現在)。2020年にも新たな症例が報告されており、非常に厳しい現実です。

Pakistan NID photo_7 1月のポリオのデータ(クリックして拡大)

2019年12月、パキスタンのNIDs(全国予防接種日)に2日間参加した私たち「チームポリオジャパン」の13人は、現地のロータリアンから「2020年の発症を0にする」という意気込みを聞いたばかりでした。 続きを読む

ポリオサバイバーとして ロータリアンとして

寄稿者:小林 操(国際ロータリー第2770地区ガバナー、2019-20年度)

給食トリミング

おいしそうに給食を食べる小林少年

ポリオに罹患して
ロータリー生活の中、自分自身がポリオ(小児まひ)サバイバーであり、いつかは自分の思いを行動に移せれば、と思ってきた私にとって、地区のリーダーになって、いよいよその機会をいただけたことは本当にありがたいことです。

ロータリーは、世界ポリオ根絶推進活動(GPEIを中心に、三〇余年にわたってポリオ根絶活動を行ってきました。その実績は、世界で数十万件だった野生株の症例数が今では2桁に減り、しかもポリオ常在国が世界で2カ国になるところまできたことに示されています。長引く根絶活動から、ロータリアンの中には「根絶は無理」「他にプログラムがある」といった意見もありましたが、世界への約束は必ず守る、という信念の下、私たちは粘り強く活動を続けています。

ポリオは、今では紛争地域に残る感染症という感覚ですが、ワクチン投与が広まる以前は、日本でも多くの人が感染していました。 続きを読む

ポリオ vs 天然痘

以下のインタビューは、GPEI(世界ポリオ根絶推進活動)のウェブサイトの記事から一部を抜粋したものです。ポリオと天然痘の違いに関して、専門家であるデイビッド・ヘイマン氏とのインタビューを紹介しています。同氏はこれまでに、ポリオと天然痘のほかにも、SARS(重症急性呼吸器症候群)、エボラ出血熱、ジカウイルス、HIV、マラリア、はしかへの対策にも取り組んできました。現在は、ロンドン大学 続きを読む

いつまでも教育者として

Dr. Ella Lacy. 1 June 2019, Hamburg, Germany.

エラ・レイシーさん。2019年6月1日、ハンブルグ(ドイツ)にて。

エラ・フィリップス・レイシーさん
カーボンデール・ロータリークラブ(米国イリノイ州)会員

私は22年間、南イリノイ大学医学部で教鞭を執りました。専門は保健教育で、博士号をもっています。1994年の終わりに退職した私は、平和部隊に参加しました。私にとってこれは大きな転機でしたが、引退した人には素晴らしい機会だと思います。自分が慣れ親しんだ文化と違うマラウイのような国で仕事をするだけでも、貴重な人生経験です。大学卒業時に「必要なことはすべて学んだ」と思いがちですが、まだ学べることはあるのです。 続きを読む

個人的経験から医療の道を選ぶ

Alexandria blog hero

アレクサンドリア・リッチーさん。2019年6月2日、ハンブルグ(ドイツ)にて

アレクサンドリア・リッチー
バージニア・コモンウェルス大学ローターアクトクラブ会員/ジェームズリバー・ロータリークラブ(米国バージニア州)会員

医者になろうと決めたのは14歳のときです。両親からオリバーのことを聞いたときでした。

オリバーは私の兄です。13トリソミー(パトウ症候群としても知られる)という染色体異常をもって生まれ、1日という短い命で亡くなりました。私は兄に会うことができませんでしたが、両親からその話を聞いた日のことを今も覚えています。私の家族と同じような経験をする家族の悲しみを和らげてあげたい。そんな強い思いを抱きました。 続きを読む

ポリオとの闘いがほかの疾病にも大きな影響をもたらす5つの理由

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ポリオは特に幼い子どもにも起こりうる生涯にわたる麻痺で、1955年にジョナス・ソーク博士がポリオワクチンを導入したときに予防可能になりました。ロータリーとGPEIのパートナー団体は、ポリオとの闘いを始めて以来、予防接種とポリオフリーをめざす活動を促進するシステムを開発してきました。このポリオとの闘いで築かれたインフラのおかげで、ポリオのない世界へと近づくことができます。

しかし、ほかの病気との闘いでも、このインフラが役立つことをご存じでしたか。

1.コールドチェーン 続きを読む

米山奨学生の底知れぬ可能性にふれて

~ ロータリアンとなった元・米山奨学生から奨学生に潜在する力について学ぶ ~

日本のロータリーが世界に誇る米山記念奨学会にとって、2018年は躍進の年となったのではないでしょうか。昨年の財団設立50周年に続き、2月には米山梅吉氏の生誕150周年行事が盛大に開催。ロータリー会員からの支援を受け、これからも米山の歴史は語り継がれ、未来の平和を担う奨学生が育っていくことでしょう。

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ラシタ・エリヤーワさん

本稿では、ひとりの元米山奨学生をご紹介します。スリランカ出身のラシタ・エリヤーワさん(甲府南ロータリークラブ会員)です。人懐こい笑顔ではきはきと話すラシタさんは、米山支援の意義、ロータリーにとっての米山の価値、そして世界平和にとっての重要性を物語る人です。

2001年、スリランカでの内戦で学業が困難となったため来日。山梨学院大学で経営情報学を学んでいたときに米山奨学金について知り、カウンセラー制度に魅力を感じて申請しました。

しかし、あえなく落選。 続きを読む

12月は「疾病予防と治療」月間

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ロータリー会員は、マラリア、エイズ/HIV、アルツハイマー型認知症、多発性硬化症、糖尿病など、さまざまな疾病の予防と治療に携わっています。また、貧困地域の人たちを対象とした聴覚、眼科、歯科検診も実施しています。

疾病との闘いでは、患者への直接的なサポートだけでなく、地域社会全体のキャパシティを高めることも重要となります。 続きを読む

日本発:世界ポリオデー2018

10月24日の「世界ポリオデー」の前後に世界中でポリオ撲滅のためのイベントが行われ、日本でも数多くのイベントが実施されました。情報が寄せられた世界のイベント数は4,005件、日本からも128件のイベント情報が寄せられました。

ごく一部ですが、日本で行われたイベントをいくつかご紹介します。

2680地区(兵庫)Hyogo 1
「地球のために、平和のために、未来のために」をテーマに、11月3・4日に神戸メリケンパークにて「ひょうご五国+ワールドフェスタ」を開催。兵庫県から「兵庫県政150周年記念事業」としてご協力いただき、五国からの「ゆるキャラ」20体も大集合。約75,000人が来場しました。END POLIOの募金のほか、インターアクターが奉仕活動紹介やキッズコーナーでの子どもたちの世話をし、ローターアクターが独自の活動を紹介。青少年交換来日学生とVTT研修生、米山学友、財団学友、RYLA学友会も大活躍し、まさにロータリーファミリーが一丸となってイベントを作り上げました。 続きを読む

『ワールド・フード+ふれ愛フェスタ』は今年も大盛況

寄稿者:福田哲三(名古屋和合ロータリークラブ)

当地区では毎年名古屋市中心部の公園でファンドレイジングのイベント(ワールド・フード+ふれ愛フェスタ[WFF])を開催しています。第6回を迎えた今回は10月27日と28日に開催されました。2日間とも好天に恵まれ、約7万人の来場者で盛り上がる中、協賛チケット、広告協賛、会場での寄付金などすべて前年度を上回り過去最高を記録しました。収益金は毎回ポリオ撲滅への寄付とアジアの子供たちへの支援事業に使われており、今回はポリオ撲滅基金への寄付に加えパキスタンでの教育支援に使われます。çC Rotarians from D3790 続きを読む

世界ポリオ根絶推進活動(GPEI) 今年で30周年

「ロータリーの先見性のおかげで、私たちは歴史的な公衆衛生における偉業に近づいています。皆さんのおかげで、ポリオの根絶は本当にあと少しです」
(マーガレット・チャン、
WHO元事務局長)

皆さんは「世界ポリオ根絶推進活動(Global Polio Eradication Initiative=GPEI)」という言葉を聞いたことがありますか。これは、国際ロータリーをはじめとするパートナー団体と各国政府による、世界からポリオを根絶することを使命とする官民共同のパートナーシップです。 続きを読む

『ブレス しあわせの呼吸』~鑑賞した会員の声

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©2017 Breathe Films Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute. All Rights Reserved

映画「ブレス しあわせの呼吸」が9月7日から劇場で公開されます。この映画は、1950 年代にアフリカでポリオに感染した父親のロビン・カヴェンディッシュとその妻ダイアナの激動の半生を、息子であるジョナサン・カヴェンディッシュが自ら映画化した感動作です。

この映画の公開に向けて、国際ロータリーが協力し、本作の公式ウェブサイト、ポスター、チラシ、映画本編のオープニングクレジットにRotaryとEND POLIO NOW のロゴが入っています。

作品の公開に先駆け、ロータリアンに鑑賞していただき、コメントをいただきましたのでご紹介します。 続きを読む

技術を伝えるということ~フィリピンでの技術指導を経験して~

寄稿者:竹山廣光 (2013-14年度、2016-17年度第2760地区VTTチームリーダー)

2014年と2016年に、私は国際ロータリー第2760地区(愛知県)の職業研修チーム(VTT)プロジェクトの一員として、フィリピンの医療関係者に腹腔鏡手術の技術指導を行う機会をいただきました。これは、日本からフィリピンに赴いての指導と、フィリピンから日本に受け入れる研修を2度ずつ行う、大変充実したものでした。シンポジウム
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ポリオが残したもの

~映画『ブレス しあわせの呼吸』を観て

寄稿者:稲村敦子(「ポリオの会」世話役、ポリオサバイバー)

Breathe Inamura photoこの映画の主人公ロビンは、28歳でポリオに罹患。余命数カ月を宣告されて36年、人工呼吸器と共に、世界一幸せに生きた男とその家族の奇跡の実話です。

主人公ロビンはまぎれもなくポリオサバイバーとして生きたのですが、その姿は一般的なポリオサバイバーとは少し違うかもしれません。ポリオを知る人は「えっ!ポリオ?」と思うでしょう。それはロビンが大人になって骨格が完成してから罹患したことと、もうひとつ、ロビンのような致命的とも思える呼吸まひを伴った人の生存率は非常に低かったからです。 続きを読む

ボリビアでの水頭症プロジェクト

寄稿者:長谷川幸雄(第4690地区[ボリビア]補助金小委員会委員長、チュキアゴマルカ・ロータリークラブ所属)

水頭症」とは、子供の場合は頭の肥大、大人の場合は想像を絶する頭痛を伴う病気です。

Hasegawa Bolivia今から20年ほど前、ボリビアのRTPテレビ局が水頭症患者救済キャンぺーンを大々的に行いましたが、残念ながら、結果は好ましくなく悲惨なものでした。脳内に溜まった水を取除くには特殊なバルブが必要で、当時の価格で300ドル、最低賃金のほぼ10倍で、貧しい家庭にとっては負担できない額だったのです。医者である私の知人は、頭痛薬アスピリンを処方するしかないという状況でした。当然、患者は激痛に耐えながら悲痛にも死に至るという現状でした。 続きを読む

WHOが3つのポリオ動画を公開

世界保健機関(WHO)が作成した、ポリオ撲滅活動に関する3つの動画。皆さんはすでにご覧になりましたか。いずれも2分ほどで、日本語字幕も付いています。

最初の動画は、ワクチンを届けるために奮闘している保健員にスポットライトを当てています。交通手段がなく治安の悪いところでも、保健員はがんばっています。

続いての動画は、ポリオウイルスの監視システムについて。たった1件の発症でも、ウイルス源を突き止めるために想像を超える規模の対応がなされています。たとえば、WHOは年に何回、検便を行っていると思いますか? 続きを読む

ポリオ撲滅 ロータリーへの期待

寄稿者:岡安 裕正(ジュネーブインターナショナル・ロータリークラブ、WHO世界保健機関ポリオ撲滅イニシアティブ)polio blog okayasu

有史以来、人類を苦しめてきたポリオ(小児麻痺)。そのポリオを地上から撲滅するという大きな夢が実現する日が近づいています。7月21日現在、2017年に報告された野生株ポリオの症例数はわずか8例(アフガニスタン5例、パキスタン3例)で昨年同時期の19例を大きく下回っています。

先月のロータリー国際大会では、各国政府や主要ドナーが改めてポリオ撲滅に向けた決意を新たにするとともに、13億ドルの寄付を約束しました。

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