まずは自分の体を知ることから

寄稿者:白川 美咲(大阪西南ローターアクトクラブ元会員)

大阪西南ローターアクトクラブ(RAC)では、これまで生理の貧困への取り組みや、国内外の女性の健康と社会進出への支援を続けてきました。

フィリピンの女の子に月経カップを届ける

月経カップの贈呈。フィリピンにて。

2020年、大阪西南RACのスポンサークラブである大阪西南ロータリークラブ(RC)は、地区補助金を活用し、フィリピン・ルソン島のターラックにトイレを設置するプロジェクトを企画。そこで大阪西南RACは、併せて現地の女子学生に向けて性教育を実施し、さらに、生理用品を買えずに学校に行けなくなる子や、不衛生な生理用品を使って病気になるリスクを抱えている子を少しでも減らしたいという思いから、月経カップを届ける事業を大阪西南RCと合同で試みようと計画していました。しかし、そこへコロナ禍。全て延期となっていました。

コロナ禍が落ち着いてきた2023年3月、両クラブでやっと現地を訪ねることができました。現地では、日本で制作した英語の動画と資料を使って、女子学生を対象に生理や妊娠の仕組み、生理中の対策、月経カップの使用法を説明する性教育講座を実施。月経カップも50個提供しました。余った月経カップはフィリピンのターラックRACが、国際女性デーで新たに女性たちに配布してくれました。今回の活動を通じて、フィリピンの女性や子どもたちが快適に過ごせることを願います。

国際女性デーに月経カップを配布したフィリピン・タ―ラックRACのローターアクターたち。

日本の生理の貧困にも取り組む

2022-23年度は、大阪西南RAC単独で地区補助金の申請を行い、日本の子どもたちの生理の貧困に対しての奉仕事業を実施しました。生理の貧困対策事業は日本国内でも推進されてきていますが、まだまだ十分とはいえません。生理用品が購入できない、適切なタイミングでナプキンの交換ができない女性や子どもたちが日本にも大勢います。大阪西南RACでは、2023年1月、子ども食堂「こもれび」に、生理用品や性教育の本を提供すると同時に、知識の貧困という面から、子どもに携わる大人向けの性教育講座も実施。世界保健機関、国連女性機関などが共同で発表した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』のガイドラインを基に、プライベートゾーン、人間関係などの単語を切り口として、子どもたちに必要な知識を提供しました。また、ナプキン不要のサニタリーショーツを販売・普及しているGirls Leap運営統括責任者の宮口真由美氏に協力いただき、パンツ型の生理用品・吸水ショーツ計約300枚を地域の子どもに配布。地区補助金を活用することで、たくさんの物資を提供することができ、活動のインパクトを高められたと思います。生理の貧困に苦しむ女の子たちが少しでも減るよう願っています。

ロータリアンと共に、IMでディスカッション

性教育講座はローターアクトクラブ内でも実施。これらの活動がロータリアンの皆さんの耳に入り、2023年4月、地区のインターシティーミーティング(IM)第5組ロータリーデーのパネルディスカッションの際に登壇させていただきました。今回のIMのテーマは「1人の子供はみんなの子供」。基調講演者で演出家の奈良橋陽子氏、多様性教育ファシリテーターの内山唯日(ゆいか)氏、子どもと関わるロータリー学友と共にパネルディスカッションを行いました。各自が今までどのように子どもに関心を持ち活動をしてきたか、私たち大人一人一人が日本の子どもたちに何から始めるとよいか、ロータリー活動の中でどのように今後活動をしていきたいのか、子どもたちとどう関わることが大切なのかを討論し、自分自身の考えを深めるだけではなく、他の参加者の知見を聞くことでより幅広い視野を持つことができました。

これからも、子どもたちがより良く過ごせる社会にするために私たち大人ができることは何か、という視点から考えていきたいです。

※「月経カップ」:医療用シリコンで作られ、煮沸消毒することで約10年繰り返し使用できる生理用品。

(本稿は『ロータリーの友』誌2023年7月号に掲載されたものです。)

【寄稿者プロフィール】
白川 美咲(しらかわ みさき)
大阪西南ローターアクトクラブOG。助産師としてローターアクトやロータリークラブで性教育活動の一環として計21回助産師例会を実施。これまでに『ロータリーの友』誌でその活動が5回掲載されている。2022-23年度には国内補助金、国際補助金を使用し国内外の子どもとかかわる支援者に向けて性教育活動を実施するなど幅広く活動。

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