スポーツを通じたインクルーシブな社会づくり

寄稿者:小松 洋(2022-23年度ロータリー財団グローバル補助金奨学生)

今日、障害を持つ人びとの参加を重視するスポーツイニシアチブへの関心が高まっています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、持続可能で回復力のある社会を構築する上で、インクルーシブかつ公平な教育の質が重要であるとしています。

世界銀行によると、世界の人口の約15%が何らかの障害を持っており、発展途上国ではその割合がさらに高くなっています。国連はまた、障害者の3分の1が差別を経験していると報告しています。ジンバブエでは、人口の約7%、約90万人が障害を持っていると報告されています。2000年以降、世界的に「スポーツを通じた平和と開発」の理念が広まり、ジンバブエでもスポーツが人びとをつなぎ、インクルーシブな環境を創出する手段として実践されています。

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ウクライナの人びとに義肢を

多くのサポートを得て実現した奉仕プロジェクト

寄稿者:倉金 由幸(さいたま大空ロータリークラブ会員)

友人を介してアイデアが形に

このプロジェクトが生まれたのは、クラブの2023‐24年度の国際奉仕活動として何をするかを話し合っていた会議でした。

第2770地区ではロータリー財団の地区補助金の通常枠とは別に、グローバル補助金事業につながる、また同様な考え方をクラブに体験してもらうことを目的とした地区補助金の大口枠があります。

当クラブは、多国籍の会員がいるというクラブの特色を生かして、通常枠での国際奉仕活動に並んで大口枠でスリランカ、モンゴルなどで奉仕活動を重ねてきました。

今年度、どこで何をしようか思い悩んでいたところ、当クラブの小口会員より「国連職員の友人がキーウのロータリークラブに参加しているので、ウクライナでの奉仕活動先を探ることができる」と提案してくれました。

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プロジェクトフェアでネットワークを広げ、変化をもたらし、世界を体験する

寄稿者:Ligia Corredor
(米国、ミラマーパインズ・ロータリークラブ会員)

プロジェクトフェアがきっかけで実現したプロジェクトを再訪した会員たち

プロジェクトフェアは、クラブと地区のロータリー会員やローターアクト会員が集まり、アイデアを出し合い、協力してプロジェクトを進め、互いに学びあえる素晴らしい機会です。プロジェクトのパートナーになれる会員と出会い、信頼関係を築き、ネットワークを広げ、世界に大きなインパクトを与えることができます。

私は中米とコロンビアでのプロジェクトフェアに25回ほど参加し、さまざまな恩恵を受けてきました。新しいプロジェクトや取り組みについて学び、新しい友人と出会い、世界中のロータリアンとの強い絆を築くことができました。

プロジェクトフェアに参加するメリットの一部をご紹介します:

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安全な水とワクチン投与を通じてパキスタンでのポリオ根絶を目指す

寄稿者:溝畑 正信 (大阪帝塚山ロータリークラブ会員

2023年2月12日から14日の3日間、私はパキスタンのカラチを訪れ、昨年に実施したグローバル補助金プロジェクトの成果の視察を行うとともに、現地でのポリオワクチン投与活動に参加しました。

カラチでの太陽光発電浄水設備設置プロジェクト

給水所で水を利用する女性と子どもたち。

パキスタンでは、地域によって劣悪な衛生状態が続いており、正式な医療サービスがなく、飲料水も不足しています。水を媒介とする伝染病の多くは、不潔で汚染された水を介して伝染し、人びとの生命を脅かしています。もちろん、ポリオもその一つです。

2022年1月から10月にかけて、カラチ・ロータリークラブ、大阪アーバンロータリークラブ、第2660地区(大阪府北部)、セントキャサリンズ・サウス・ロータリークラブ(カナダ)が提唱者となり、カラチ内5カ所のスラム地域に太陽光発電浄水設備を設置するグローバル補助金プロジェクトを実施しました。これらはポリオ感染のリスクが高い地域であり、安全な飲み水を提供することでポリオウイルスの感染を阻止する狙いもありました。

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ネパール先住民居住区での持続可能な農村開発

寄稿者:新井和雄(下館ロータリークラブ会員、第2820地区パストガバナー)

ナラヤンガー・ロータリークラブ(ネパール)の元会長であるラメッシュさんは、趣味のハイキングで時々チプチプ村を訪れています。山岳地帯を歩くとインドに続くタライ平野が一望できるロケーションがたまらないとのこと。いつも特産品の甘酸っぱいみかんを山ほど土産に買って帰るので、家族も彼がハイキングにゆくのを楽しみにしているそうです。

ある日、友人になった村人から自宅に招かれ、チア(お茶)をご馳走になっていると、友人の娘が大きな水がめを抱えて帰って来ました。学校へ行かないのかとラメッシュさんが聞くと、3年生までは通ったけれど、今は毎日谷底まで往復3時間かけて水汲みに行っていると言います。何とかしてあげたいと思ったラメッシュさんがクラブの仲間に相談すると、会員たちは、チプチプ村に飲料水の設備を設置することに賛同し、グローバル補助金を活用したプロジェクトを実施したいと考えました。そこで、友好関係にある下館ロータリークラブに支援要請が来たのです。

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世界初!ローターアクトクラブ提唱によるグローバル補助金が承認

~大阪東ローターアクトクラブが提唱するモンゴルでのグローバル補助金プロジェクト

寄稿者:宮里唯子(茨木西ロータリークラブ会員、第2660地区直前ガバナー、RI&TRF合同DEI諮問委員会委員)

大阪東ローターアクトクラブの坂口さんとモンゴルの子どもたち(ウランバートルにて)

この度、第2660地区(大阪北部)の大阪東ローターアクトクラブが2022年11月に申請したグローバル補助金(GG)が2023年8月に承認され、ローターアクトクラブによるGGとしては世界初の承認となりました。これは、ローターアクトクラブはもとより当地区にとって快挙であり、大きな喜びでした。

このプロジェクトは、「基本的教育と識字率向上」分野の活動で、モンゴルの首都ウランバートルにある公立校2校に図書室の整備と図書寄贈を通して約3,000名の子供たちへの教育支援を行うことが目的です。近年、雪害などの影響で従来の放牧で生計が立てられなくなりウランバートルに流入した人びとが、激増する首都の人口約半数を占め、ゲル地区で生活しています。ゲル地区にある学校では、人口増に追いつかず、ほとんどの学校が2部制をとっており、教材も不足しています。当然ながら、学力も都市圏の平均値を大きく下回るという調査結果が出ています。

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赤ちゃんの命を守るカンガルーケア

人間も動物も、親は子に対して深い愛情を持つもの。子育てについて言えば、人間が動物から学べることもあります。例えばカンガルーのお母さんは、赤ちゃんが成長するまでお腹の袋の中で育てますが、このカンガルー式子育ては、人間の子育てにもさまざまなメリットがあることがわかっています。

特に早産で生まれた赤ちゃんは、生き延びるために特別なケアが必要とされます。早産と栄養失調で命を落とす新生児は約160万人いると言われていますが、そんな未熟児のケアを目的に考案された「カンガルーケア」で、これらの赤ちゃんが生き延びられる可能性が高くなります。

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「変革理論」とは?

By 国際ロータリースタッフ

「ナイジェリアの家族の健康のための協力プログラム」で住民とのミーティングを行う医療従事者

ロータリーで最近耳にする「変革理論」という言葉。聞いたことはあるけれど、それが何なのかよくわからない、学術用語だから自分には関係ないと思っている方もいるでしょう。

ロータリーでは、変革理論は大規模プログラム補助金の重要な一部であるだけでなく、複数年にわたるグローバル補助金プロジェクトにも適用でき、長期的な目標を達成するためのロードマップとして欠かせないものです。

ロータリーの補助金では大きなインパクトと測定可能な結果を生み出すことが重視されており、その実現に必要とされるのが変革理論です。

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アフガニスタン元留学生の命を救え!

寄稿者:勢井由美子(宮崎アカデミーロータリークラブ会員)

日本のアフガニスタン避難民が抱える問題

アフガニスタンの首都カブールが陥落し、タリバンが実権を掌握してからはや1年半。

コロキュームの参加者(命の危険が及ぶため一部の方は顔が見えないよう加工してあります)

元はというと、2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロを契機に始まったアフガニスタン紛争がきっかけとなっており、それが日本を含む西側諸国の「自由と民主主義」という正義を守る闘いへと発展。タリバン政権打倒後にアメリカ・NATO軍が駐留を続けながら、この国を二度とテロリストの温床にしないための国づくりが行われていました。

日本はアフガニスタン復興支援として、祖国の将来を担う若者への教育支援を行い、日本政府国費による留学や国際協力機構(JICA)の協力で数多くのアフガニスタン人が日本の大学で学びました。以来、日本へのアフガニスタン人留学生の数は、20年間で約1400人にのぼります。

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モンゴルで人びとの命を救う「佐賀方式」

~モンゴルでの肝炎・肝がん対策支援

寄稿者:江口有一郎(佐賀ロータリークラブ会員) 

肝がん死亡率ワースト1の返上を可能にした「佐賀方式」

肝がんは、肝臓にできるがんで、放っておくと命にかかわる病気ですが、早期発見と早期治療により予防が可能です。

私の住む佐賀県は、特に60歳以上の方でC型・B型肝炎ウイルスの感染によるウイルス性肝炎の罹患率が全国でも非常に高く、そのため肝がんによる死亡率で全国ワースト1位が長年続いていました。これを解決するため、2012年1月から県と佐賀大学が中心となってさまざまな手法による疾病啓発プロジェクトを行い、当時、佐賀大学医学部の肝疾患センター長だった私がプロジェクトの責任者となりました。

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より大きなインパクトをもたらす

~行動計画シリーズその1:ツスビラさんにお聞きしました

Q. 行動計画は「より大きなインパクトをもたらす」ことを私たちに求めています。どうすればそれを実行できるでしょうか。

ツスビラ:たとえ話でご説明しましょう。就学年齢のお子さんがいれば、学校での成績や試験でよい結果を出してほしいと思うのは当然です。しかし、親として、子どもの長期的な将来も考える必要があることを知っています。自分の子はどんな大人になるだろうか?親がいなくなった後、社会にどのように貢献していくのだろうか?

真のインパクトとは、プロジェクトでの私たちの活動をはるかに超えて続いていくものです。私たちが去った後もずっと持続していきます。

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貧しくても奉仕:アフリカの人びとから学ぶ

寄稿者:ヘレン・ダドリー(Coconut Groveロータリークラブ[米国フロリダ州]会員)

村の清掃プロジェクトに参加するユンベ・ロータリークラブ(ウガンダ)の会員たち。村の人たちに、手洗い、溜まり水をなくす方法、そのほかの健康・衛生習慣に関する研修も行いました(2022年2月)。

ユンベ(ウガンダ)の仮ロータリークラブのZoom会議に出席したときのこと。クラブ会員たちが話し合うのを聞きながら、私は涙を抑えきれませんでした。まだ国際ロータリーから正式に加盟認証されていないにもかかわらず、近くの村の人たちを助ける奉仕プロジェクトの計画をもう話し合っていたのです。しかも、創立会員である女性たちは、貧困ラインを大きく下回っていました。会議を聞いていたほかの参加者にチャットを送ったところ、その人も涙が出そうだとメッセージが返ってきました。

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ウクライナ発:ロータリーのネットワークに励まされて

~結束の中に希望と強さを見出したリヴィウのロータリークラブ

寄稿者:オレスト・セモテュック(ウクライナ、Lviv Internationalロータリークラブ会員、第2232地区広報委員会委員)

2月24日の朝はいつもと変わらず始まりました。起床、ジョギング、そして朝食。しかし、朝食を食べているときに、ラジオのニュースで、ウクライナがロシアに爆撃されていることを知りました。

すぐにほかの都市に住む友人や知り合いに電話し、安否を確認。幸いにもそのほとんどが無事でした。その日の午後、私が研究のために2018年に滞在したレーゲンスブルク(ドイツ)のテレビ局から電話があり、その後もほかのメディアから次々と問い合わせがありました。こうして、私の活動が本格的に始まりました。

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One Asia One Rotary-アジアのロータリーを繋ごう

「One Asia One Rotaryキックオフコンサート」~八神純子さんと共に

ウクライナから日本に避難された方々。One Asia One Rotaryでのコンサートでは、ウクライナ避難民の方々も招待されました。

寄稿者:福田哲三
(名古屋和合ロータリークラブ)

名古屋和合ロータリークラブと名古屋東山ロータリークラブは、それぞれ創立50周年と25周年記念の合同事業として『One Asia One Rotary-キックオフコンサート』を4月27日に開催しました。One Asia One Rotaryには、2026年の愛知・名古屋アジア競技大会に向けてアジア各国のロータリアンたちと奉仕事業等を通して交流を深めて行こう、という決意が込められています。

アジア各国のリーダーたちから届いた熱い思い

会場は愛知県芸術劇場の大ホール。地区内ロータリアンを中心に約1,300名が集まりました。第1部では両クラブ会長挨拶のあとタイ(3350地区)、シンガポール(3310地区)、フィリピン(3780地区)、インドネシア(3420地区)のガバナー、ガバナーエレクト、パストガバナーたちから熱いメッセージ動画が寄せられ、さらにウクライナ(2232地区)のRロスタイスラヴ・ルカーチ平和構築委員から被災者支援に対する感謝のメッセージ動画が届きました。

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私がジェンダー平等推進に力を捧げる理由

~UNICEFのブログに掲載された記事より

寄稿者:シェカール・メータ(2021-22年度国際ロータリー会長)

2022年にコートジボワールで算数を学ぶRokiatouさん(5歳)。新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界で数百万人の生徒が対面学習が受けられなくなり、多くの生徒が長引く学校閉鎖の影響を受けています。パンデミック後に女児が授業に戻る可能性は、男児と比べて低くなると見込まれています。

UNICEF(国連児童基金)ガーナのプログラムスペシャリストは、1月に発行されたUNICEFのブログで次のように指摘しました。「女児たちが健康で教育を受けていれば、経済発展、貧困緩和、子どもの福利の改善によって社会全体が恩恵を受け、次世代のための可能性がぐんと高まる」。私もこれにまったく同感です。

女児・女性も男児・男性と同じ機会が与えられている家系で育った私は恵まれています。母はジョードプル国立大学を卒業した最初の女性の一人であり、娘は博士号の取得を目指して学業に励んでいます。しかし、インドや世界各国ですべての女性と女児が同じ機会を与えられ、リソースを使用できるわけではありません。すべての女児が教育を望む一方で、家族の世話や家計のために労働を余儀なくされている女児もおり、私の自宅から数キロしか離れていない貧困地域でもそのような格差を私は目にしました。新型コロナウイルスのパンデミックによって、そのような不平等はさらに悪化しています。

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ウクライナへの救援物資を積んで真夜中に走るトラック

寄稿者:セバスチアン・アダミ(クラーゲンフルト-ヴェルターゼー・ローターアクトクラブ[オーストリア]会員)

集めた物資をトラックに積むKlagenfurt-Wörtherseeローターアクトクラブ(オーストリア)のメンバー

3月2日の夕方、私は6カ国のローターアクト会員や仲間とともに、ポーランドとウクライナの国境近くに救援物資を届けるため、トラック5台でオーストリアを出発しました。徹夜で走り続けましたが、トラックを見た沿道の人たちが懐中電灯やそのほかのサインでエールを送ってくれたことに元気づけられました。トラックにつけた国旗から、私たちが救援物資を運んでいることがわかったのです。

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アカ族の人たちにトイレを

寄稿者:松永 雄一(原町中央ロータリークラブ会員)

原田さんとアカ族の方たち

私たち原町中央ロータリークラブ(福島県南相馬市)では、2020年よりタイ北部の少数民族アカ族のためにトイレを設置する活動を行っています。

そもそものお話は、国際ロータリー第2580地区ガバナーエレクトである嶋村文男さんとの交友から始まりました。2019年、嶋村さんが所属する東京東江戸川ロータリークラブがロータリー財団の地区補助金を利用してタイのアカ族に浄水機を寄贈し、その贈呈式にお誘いをいただいたのです。

私のクラブはロータリーの奉仕活動についてはまだまだ開発途上であり、これからの活動のためと、半分は物見遊山のような気持ちで参加を決めました。同じクラブの奉仕活動に熱心な佐々木英夫さん夫妻もお誘いしました。

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キーウを逃れたウクライナ人会員からのレポート

稿者:イリーナ・ブシュミナ(第 2232地区[ウクライナ]ローターアクト代表)

イリーナ・ブリュミナさん

戦争勃発から数時間以内に、私は姉夫妻と生後3カ月の甥、そして一匹の猫とともに、車でキーウを逃れました。国境に着いたときには既に男性の出国が禁止されていたため、義理の兄を残して国外に脱出しました。5日間の運転を経て、6日目にウィーン(オーストリア)にたどりつきました。 

その途上の3泊は、ホテルではなく、ロータリアンやローターアクターの自宅に泊めていただきました。国際ロータリーが大家族であるとはよく言われますが、この時にそれを実感しました。いつでも支えてくれるのがロータリーファミリーであることを、肌身で感じました。

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活動のインパクトをこの目で見る

寄稿者:サムソン・テスファイエ・ウォルデテンセ(第9212地区[エチオピア]直前ガバナー)

私が所属するアジスアベバ・セントラル-メラ・ロータリークラブは現在、エチオピア南部の村々に24の井戸を建設するプロジェクトを実施しています。私たちは、現地で集めた情報やデータを活用して、地域社会のニーズとその解決策を特定しました。

プロジェクトの目標は、村人たちが安全な水にアクセスできるようにし、生活の質を高めることです。近くに安全な水がないために、村人たちは長距離を歩いて水汲みをしなければなりません。しかも、その水は汚染されており、感染症の原因となることが少なくありません。

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【メンバー募集中】ロータリー財団の専門家グループ

~ 職業の専門知識を世界で生かす ~

現在、ロータリー財団専門家グループ(Cadre)のメンバーを募集しています。日本のメンバーが不足しているため、以下の内容をお読みいただき、申請をご検討いただくか、皆さまのお知り合いで適任と思われる方への情報シェアをお願いいたします。

ロータリー財団専門家グループとは、ロータリー重点分野のいずれか、または財務監査に関する専門知識をもつロータリアンのグループです。現在、75以上の国に500名を超えるメンバーが登録されています。

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最も貧しい国での豊かな生活

寄稿者:江田慶子(2019-20年度ロータリー財団奨学生)

電気もガスも水道もない場所で本当の異文化理解

シアバターを生産する女性(写真提供:江田慶子)

私が青年海外協力隊として4年間を過ごしたブルキナファソは、世界でも最も貧しい国のひとつで、国連開発計画(UNDP)による人間開発指数(HDI)では、189カ国中182位(2019年度)と最下位近くに位置しています。

私の配属先の女性組合では、伝統的な手法でシアの実から採れるシア脂(シアバター)を生産・加工・販売することで貧しい女性たちの収入向上を目指していました。赴任当初の私は、そこで働く女性たちが約束の時間に毎回遅れてくることにとてもイライラしていました。というのも、待ち合わせの時間から1時間以上待たされるのは当たり前、時にはすっぽかされることもあり、その度に「急用ができたから」とまったく悪びれる様子がないのです。口論が重なり、なかなか思うように仕事も進みませんでした。

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視覚障がい者教育のための教師研修:ブラジルと日本のクラブによる協力活動

読書の補助機器の使い方を学ぶ教師

By Aurea Santos

視覚障がい者の教育を支援するにしても、そのための訓練を受けた教師がいなければ実現は困難です。そこで、ブラジルのロータリー会員は、専門スキルのある教育者を増やすために、教育支援団体 Dorina Nowill 財団とのパートナーシップを結びました。

サンパウロ・リベルダージ・ロータリークラブが、日本の富士宮ロータリークラブの支援を受けて実施したこのプロジェクトでは、2019年4月から5月にかけて、169名の教師が研修を受けました。

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「おしん」は世界中にいる

〜 ロータリーの「女児のエンパワメント」の取り組み 〜

寄稿者:山田 邦子
 女児エンパワメントアンバサダー
 第2840地区パストガバナー

2021-22年度国際ロータリー会長のシェカール・メータ氏は、会長肝いりのイニシアチブとして「女児のエンパワメント(Empowering Girls)を挙げています。その目的は、女児の安全、健康、教育、福祉を向上させることです。

なぜ女児のエンパワメントが重要なのでしょうか。

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Magic of Rotary ~ロータリーの力~

一つの出会い、一つの行為が大きな変化に

寄稿者:河地妙美(日本ロータリーEクラブ2650会員)

パンデミックが世界を席巻する今、私たち社会の危うさが一層あらわになっています。せわしくアップデートされる世の中では、失望や怒りが渦巻き、大切な思いやりや共感、そして対話を忘れてしまったかのような出来事が報道されています。

でも私たちはひとりではありません。人が動けば、水面に石を投げ入れた時のように、その影響は周囲に広がっていきます。私たちには、未来のために良いことを行う力があります。出会いによって別の世界が現れ、ひとつの小さな行為が大きな変化を起こします。

人と人の出会い、そこで生まれるつながり、そのつながりの連鎖が、社会を動かします。ロータリー会員である私は、これを幾度となく体験してきました。私はこれを、「Magic of Rotary」と呼んでいます。

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途上国開発のキャリアをめざす

~ロータリー奨学生からのレポート~

寄稿者:田中佑依(2019-20年度ロータリー財団奨学生)

2019年9月から、ロータリー財団グローバル補助金による奨学金をいただき、イギリスのサセックス大学院で学びました。この1年間の留学は、私の人生でとても意味のある大きな1年でした。

今回、奨学金を探すにあたり、ほかの多くの日本の奨学金制度も検討しましたが、その多くが、申請時に日本に住んでいることを条件としており、当時ミャンマーで開発分野の仕事をしていた私には申し込める奨学金の選択肢があまりありませんでした。そんな中、ロータリーの奨学金は門戸が広く、私のような状況の人にもフレキシブルに対応してくださいました。また、現地で多くのロータリアンや、ロータリー奨学生とつながることができたのも、世界中にネットワークのあるロータリーの素晴らしさだと思いました。

途上国の孤児院の問題を研究

開発分野の中でも子どもの権利や保護に関する分野に興味があっため、卒業論文では、途上国の孤児院に住む子どもの問題について取り上げました。

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日本のロータリーがOne Teamに ~『医療従事者を守ろう』

寄稿者:福田哲三(名古屋和合ロータリークラブ)

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ロータリーからフェイスシールドの寄贈を受けた大同病院(名古屋市)の医療従事者の方々

COVID-19禍の中、我々ロータリアンは活動を阻む難しい現実に直面しました。資金があっても医療機器・資材を購入できない、集まってチームを組めない、困っている人たちに直接会って励ますこともできない等々。海外の仲間たちからも「人工呼吸器を送って欲しい」「医療用マスクが足りない」などの数多くの支援要請が届いたものの、日本でも医療用アイテムは入手できないというもどかしい日々が続いていました。 続きを読む

ラダック成人女性識字プロジェクト

寄稿者:高木直之(かながわ湘南ロータリークラブ)

ラダックは、ヒマラヤ山脈の西の端に位置するインドの自治州で、住民はチベット仏教の敬虔な信者です。国際ロータリー第2780地区とインドのニューデリー・ロータリークラブが、グローバル補助金を得て実施したこのプロジェクトによって、2015年ラダックの州都レーに3つの識字教育センターが開かれ、2017年8月の時点で87名の成人女性が読み書きを身につけました。takagi-blog-1 続きを読む

ミャンマー小学校建設で広がる奉仕の輪

寄稿者:安池 勇人(東京東江戸川ロータリークラブ)

「私の夢は、母国ミャンマーの田舎に小学校を建設することです」

すべては、この一言から始まりました。

2019年7月、私たちはミャンマーに3校目となる小学校を建設しました。

1校目完成式③モーさんの夢を叶える
この事業は2年前から継続する国際奉仕活動ですが、きっかけは2016-17年度に私たちが世話クラブとして出会ったミャンマーからの米山記念奨学生モー・トゥザー・チョウさん(以下、モーさん)でした。

彼女の夢を熱く語る姿、そして、米山奨学生として日本で懸命に学び、クラブの例会や奉仕活動に積極的に参加する姿にクラブ会員の誰もが心を動かされ、その夢を一緒に実現できないかと動き出したのでした。 続きを読む

夢を背負って、未来へ!

~ 思い出のランドセル、金沢からミャンマーへ ~

寄稿者:塩梅 修(2018-19 金沢南ロータリークラブ会長)â`âââCâÅâCüiÆjÄqüjç@

2018-19年度、私たちのクラブは創立50周年を迎えました。

記念例会・式典・講演会、これまでの私たちのクラブの伝統となっている事業のほかに50周年記念事業として自分たちのクラブがあまり得意としていない分野「国際奉仕」の充実をテーマにした事業を行えないか・・・との思いが強くありました。

民主化は進んでいるけれど…

クラブには、ミャンマーで現地企業との合弁で印刷会社を経営している方が近年入会しました。その方から、「ミャンマーは近年、民政化され民主化が進んでいるものの、 続きを読む

台湾での水質改善プロジェクト

3月22日は「世界水の日」です。ロータリーでは、「水と衛生」が重点分野の一つとなっており、世界中のロータリアンが安全な水や衛生設備・教育を提供するなど、水に関わる幅広い活動を実施しています。今回は、日本のクラブがお隣の国、台湾で実施中の水質改善プロジェクトについてご紹介します。

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花蓮県政府の担当者の方と

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安全な出産でホンジュラスの母子を守る

寄稿者:井上 毅(相模原橋本ロータリークラブ)

トロヘスCMIエコー検査_看護師皆さんはホンジュラス共和国をご存知でしょうか?

ホンジュラス共和国は、中央アメリカ中部に位置し、首都はテグシガルパ。日本からの直行便はなく、その距離からも日本とは縁の薄い国と思われるかも知れませんが、1935年2月外交関係樹立から80年以上の友好関係が続いています。民間の国際支援でも多くの日本人がホンジュラスで活躍しています。 続きを読む

タンザニアに「甲子園」球場が落成

寄稿者:吉川 健之(大阪北RC タンザニア野球オリンピックチャレンジ支援特別委員長)

IMG_12252018年10月中頃、日本国外務省「草の根文化無償資金」および当大阪北ロータリークラブの支援により、タンザニアに野球場が完成しました。その名も「タンザニア コウシエン ベースボールスタジアム」。この野球場は、「タンザニア野球オリンピックチャレンジ支援プロジェクト」という3カ年プロジェクトの一環として当クラブが支援し、建設されたものです。このプロジェクトは世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のウェブサイトでも取り上げられました。 続きを読む

技術を伝えるということ~フィリピンでの技術指導を経験して~

寄稿者:竹山廣光 (2013-14年度、2016-17年度第2760地区VTTチームリーダー)

2014年と2016年に、私は国際ロータリー第2760地区(愛知県)の職業研修チーム(VTT)プロジェクトの一員として、フィリピンの医療関係者に腹腔鏡手術の技術指導を行う機会をいただきました。これは、日本からフィリピンに赴いての指導と、フィリピンから日本に受け入れる研修を2度ずつ行う、大変充実したものでした。シンポジウム
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ボリビアでの水頭症プロジェクト

寄稿者:長谷川幸雄(第4690地区[ボリビア]補助金小委員会委員長、チュキアゴマルカ・ロータリークラブ所属)

水頭症」とは、子供の場合は頭の肥大、大人の場合は想像を絶する頭痛を伴う病気です。

Hasegawa Bolivia今から20年ほど前、ボリビアのRTPテレビ局が水頭症患者救済キャンぺーンを大々的に行いましたが、残念ながら、結果は好ましくなく悲惨なものでした。脳内に溜まった水を取除くには特殊なバルブが必要で、当時の価格で300ドル、最低賃金のほぼ10倍で、貧しい家庭にとっては負担できない額だったのです。医者である私の知人は、頭痛薬アスピリンを処方するしかないという状況でした。当然、患者は激痛に耐えながら悲痛にも死に至るという現状でした。 続きを読む

SDGs:「つづく社会」へのキーワード

 SDGs市民社会ネットワーク 稲場氏・新田氏とのインタビュー ~

SDGs goals

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3月24日(土)、パリのユネスコでロータリーデーが開かれます。そのテーマは「SDGs(持続可能な開発目標)」。17の目標から成るSDGsは、今や日本社会でもキーワードとなりつつあります。

今回のブログでは、一般社団法人SDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀氏(専務理事・事務局長)と新田英理子氏(地域連携アドバイザー)からSDGsについてお話をうかがいました。 続きを読む

まわりの水環境、どうなってますか?

寄稿者:水と衛生のロータリアン行動グループ
(末部:日本のクラブ活動例をショーケースから転用)

今日、18億人が汚染された水を飲用水としており、コレラ、赤痢、腸チフス、ポリオのリスクに晒されています。20100128_GT_172

国連は2015年に持続可能な開発目標を定め、極度の貧困をなくすカギとして、安全な水へのアクセス確保を目標に定めました。

グローバルに考え、ローカルで動く

水は河川・湖沼からやがては海に流れ、広範囲の環境に影響をおよぼします。 続きを読む

教育支援 — できることから

学校に通っていない子ども、およそ570万人
15歳以上で読み書きできない人の数、およそ7億人(3分の2は女性)。
これらは国連調査で明らかとなった、同じ世界に生きる私たち全員の課題です。Fukui

ロータリー会員は、基本的教育と識字率向上を支え、教育における性差を減らし、成人識字率の向上に努めています。その活動は、教育関連のテクノロジー支援、教師養成、職業訓練、給食プログラム、教科書の配布などのプロジェクトなど多岐に渡ります。日本のクラブでも多くのプロジェクト 続きを読む

創造的な理科教育で教育格差を縮める

寄稿者:ポーリン・リャン(台北北安ロータリークラブ会員・第3520地区パストガバナー)taiwan blog story

4年前の春の雨の日、私は数人の若い教師たちと台湾の教育制度について話していました。国は12歳までの子どもへの無償教育を拡大しようとしており、私は非識字を減らすのにいい政策だと思っていました。

しかし、その教師たちはリソースが少なく競争力を保つのが難しい遠隔地の学校への影響を心配していました。そういった学校の子どもたちは、大学や短大に入るのに必要な課外学習を受けていないのだと言っていました。

2014年1月、児童福利連盟の報告書で、都市部と農村地域の大きな格差が指摘されました。遠隔地のリソース不足が、多くが先住民族である子どもたちの成績不振につながっていたのです。 続きを読む

世界で活動するチャンスを若者に

寄稿者: 地齋 和雄 (足利東ロータリークラブ 2016-17年度国際奉仕委員長)

足利東ロータリークラブがフィリピンで行っている活動をご紹介します。私たちは、奉仕の機会を若者に与えることが、ロータリーにとって重要な使命と考えており、実際に若者の国際理解によい影響を与えています。

第2550地区(栃木)では、1992年より国際理解・世界平和を目的とし、世界社会奉仕活動を実施してきました。2000年に地区の活動が終了後、足利東ロータリークラブが活動を引き継ぎ、 続きを読む

赤ちゃんとお母さんの命、みんなで守る

By 国際ロータリースタッフ

ロータリーの「母子の健康」月間である4月、クラブではどのような活動に取り組んでいますか?20110110_IN_045

世界保健機関(WHO)によると、毎日およそ830人の女性が、妊娠と出産に関連する予防可能な病気で命を落としています。妊産婦死亡の99%が開発途上国で起きており、母親と新生児のおよそ半数が出産時、出産後におけるケアを受けていません。

5歳未満の子どもの死因の上位は、出産時の合併症、肺炎、出生時仮死、下痢、マラリアです。これらはいずれも、医療によって予防できる問題です。 続きを読む

ロータリーの「水と衛生月間」で行動を起こそう!

きれいな水と衛生設備が利用できることは人権の一つですが、その恩恵を受けられない人も大勢います。ロータリー会員は地域社会において、安全な水への持続的なアクセス、衛生設備の改善、衛生管理の研修を提供しています。特に子どもがきれいな水や改善された衛生設備を利用でき、より良い衛生習慣を身につけられるようになれば、その生活はより健康的で実りあるものになります。

ロータリーの「水と衛生月間」である3月には、2030年までにすべての人に安全な水と衛生設備、衛生環境を提供するというロータリーの目標達成に向けた取り組みを呼びかけます。以下の事例は、この目標を目指すクラブの奉仕活動の例です。

  • ネパールのダルバールマルグ・ロータリークラブは、双子クラブやフルバリ・ローターアクトクラブ、エコヒマルネパール・ローターアクトクラブと連携し、公立学校の生徒が安全な飲み水を利用できるようにしました。それまで生徒が飲んでいた水は、水源から直接汲み上げた未処理の汚染水でした。そこでロータリー会員は、強力なフィルター機能を備えた安価な浄水器を14カ所に設置しました。このフィルターは現地で製造されたもので、安全な飲み水を得るための伝統的な手法によるものです。

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海外での奉仕プロジェクトを始めてみませんか

筆:ロータリー奉仕コネクション担当部 アズカ・アシフ

海外での奉仕活動は、世界中に新しい友人を作れるだけでなく、支援を必要としている地域社会に自立への道を開くことができます。これまで海外でのプロジェクトを実施したことがないという場合は、グローバルなインパクトを生む活動を実現するため、ぜひプロジェクトフェアへの参加をご検討ください。

img_2565プロジェクトフェアは、国際奉仕プロジェクトやその協力を目的として、各地域で開催されている行事です。参加者は、開催地について学んだり、新しい友人を作ったりできるほか、奉仕プロジェクトのパートナーとなるクラブを見つけることができます。また、現地のクラブや地区が実施しているプロジェクトが紹介されるため、地元の重要なニーズを把握することもできます。 続きを読む

教師であることは、未来に触れること

執筆:ジュリア・フェルプス

151215_philippine_vtt2013年5月、職業研修チーム(VTT)の一員として、フィリピン人の4人の理科教師が米国にやってきました。一行は30日間、授業や科学博物館の見学、政策責任者との会合、マサチューセッツ州とニューハンプシャー州にあるロータリークラブでのプレゼンテーションといったスケジュールをこなしました。

理科の教授法をはじめ、互いから多くを学んだ私たちにとって、別れは悲しいものがありました。どの国の出身であれ、生徒たちに最高の教育を与えたいというのが、教師である私たちの望みであることを学びました。生徒たちに明るい未来を歩んでもらいたい、子どもたちの人生をよくしてあげたいと、私たち教師は考えています。

ホストとしてできる限りのことをしました。フィリピンの学校に戻った教師たちは、VTT訪問の成果をすぐに実証しました。地域と全国の教師コンテストで優勝しただけでなく、master teacher(上級教師)として昇進し、生徒たちの成績も大きくアップしました。 続きを読む