視覚障がい者教育のための教師研修:ブラジルと日本のクラブによる協力活動

読書の補助機器の使い方を学ぶ教師

By Aurea Santos

視覚障がい者の教育を支援するにしても、そのための訓練を受けた教師がいなければ実現は困難です。そこで、ブラジルのロータリー会員は、専門スキルのある教育者を増やすために、教育支援団体 Dorina Nowill 財団とのパートナーシップを結びました。

サンパウロ・リベルダージ・ロータリークラブが、日本の富士宮ロータリークラブの支援を受けて実施したこのプロジェクトでは、2019年4月から5月にかけて、169名の教師が研修を受けました。

主にサンパウロの公立学校に勤務する教師たちは、教室での最善の学習条件を評価する方法や、生徒の視覚的ニーズに応えるための機器の使用方法を学びました。

Dorina Nowill 財団でインクルージョン教育を担っているエリアナ・クーニャさんは、次のように説明します。「研修では、生徒が黒板を見ることができるかどうか、どのくらいの大きさの文字を見ることができるか、適切な照明は何か、距離の違いが生徒にとってどのような意味をもつか、といった点を評価する方法を取り上げました。また、教師たちは、低視力がどのような影響を与え、低視力の生徒がほかの生徒たちと同じように学ぶには、どのような環境が必要とされるかを学びました」

このプロジェクトでは、幼稚園や小学校の教師を対象としたワークショップも行われ、参加者は点字システムや、視覚障がい者用の機器の扱い方などを学びました。また、点字プリンター、電子拡大鏡、眼鏡、配布資料など、研修に必要な備品の購入も行われました。「自分たちも力になれると感じ、驚くばかりだった」と、サンパウロ・リベルダージ・ロータリークラブ会員のホセリト・フェリペさんは振り返ります。

視覚障害や低視力の子どもたちに対応できる教師を育成することは、生徒たちの公平な教育への参加を実現するための基本的要件です。「すべての障がいの中でも、視覚障がいは国内で最も専門家が少ない」とエリアナさんは話します。地域に有資格の専門家が数人しかいない場合、視覚障がいのある生徒に対応しなければならない教師たちに必要な知識を伝えることはさらに困難です。

Dorina Nowill 財団との関係構築を担ったセリア・ジリオさんは、「教育学のコースでインクルーシブ教育について学ぶことができるが、教室での実践的サポートを提供するには不十分」だと話します。「自分の子どもが低視力であることに保護者が気づくまで時間がかかることがありますが、このワークショップでは教師がその兆候に気づくためのスキルを学ぶことができる」と彼女は指摘します。

エリアナさんによると、研修に参加した教師たちが指摘する最大の課題は、リソースや教材の不足でした。一般的に教師たちは、手持ちの教材や教室環境を視覚障がいのある生徒に適応させる方法を知りません。

この教師研修は、こうした問題を軽減することも目的としていました。例えば、低視力の学生への指導に関するワークショップでは、眼の構造と生理学、環境への適応と光学に関するリソース、低視力に対応する技術的リソース、教育的リソースなどのテーマが取り上げられました。また、視覚障がい学生の指導に関するワークショップでは、点字の綴り(アルファベット、斜体、句読点、付属記号)や数字、数学上の点字コードのほか、点字による読み書きの習得を妨げる要因などをテーマにして、実践的な活動を行いました。

「視覚障がいの分野では、スキルと知識をもった専門家が不足している」とエリアナさん。「だからこそ、研修を実現するためのパートナーシップが重要なのです。ロータリーのおかげでコースを準備し、教師に必要な質の高い研修を無償で提供できました」

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