貧しくても奉仕:アフリカの人びとから学ぶ

寄稿者:ヘレン・ダドリー(Coconut Groveロータリークラブ[米国フロリダ州]会員)

村の清掃プロジェクトに参加するユンベ・ロータリークラブ(ウガンダ)の会員たち。村の人たちに、手洗い、溜まり水をなくす方法、そのほかの健康・衛生習慣に関する研修も行いました(2022年2月)。

ユンベ(ウガンダ)の仮ロータリークラブのZoom会議に出席したときのこと。クラブ会員たちが話し合うのを聞きながら、私は涙を抑えきれませんでした。まだ国際ロータリーから正式に加盟認証されていないにもかかわらず、近くの村の人たちを助ける奉仕プロジェクトの計画をもう話し合っていたのです。しかも、創立会員である女性たちは、貧困ラインを大きく下回っていました。会議を聞いていたほかの参加者にチャットを送ったところ、その人も涙が出そうだとメッセージが返ってきました。

この仮ロータリークラブの22名のメンバーは全員、TCP Global から共同融資を受けている「Women’s Village Savings and Loan Association(VSLA)」グループのリーダーたちです。子どもを学校に通わせ、家族が日に三食食べられるよう、定期的な融資を利用して商売を改善し、収入を増やしていました。

平均150ドルの融資を定期的に利用できる自分たちは恵まれている、そう感じた女性たちは、もっと恵まれないコミュニティのために奉仕するべきだと考えました。近くの村々から提案を出してもらい、衛生設備のないコミュニティにトイレをつくる奉仕プロジェクトを実施することに決めました。

アフリカの人たちとZoom会議をするたびに、驚き、そして時に自分への恥ずかしさを感じます。私はその女性たちを過小評価していたのです。市場の行商人や自給農家たちから成るVSLAには奉仕プロジェクトを実施する能力も関心もないだろう、と最初から思い込んでいたのです。しかし、その思い込みが正しくないことを、何度も思い知らされました。

TCP Globalのパートナーは通常、非政府団体(NGO)です。VSLAは30名から成るグループで、週に50セントほどを共同貯金して相互の融資を行っています。融資の価値を知ったメンバーたちは、もっと多額の融資を頻繁に利用したいと考えましたが、銀行口座もインターネットもなく、 TCP Globalが直接VSLAを援助することができませんでした。

ユンベにある「ケア・コミュニティ教育センター(Care Community Education Center = CCEDUC)」が無償で財務を代行すると申し出てくれました。しかし、私としてはこの方法は「みんなに公平か」と「みんなのためになるかどうか」のテストに見合っていないと思い、通常は融資を直接管理する団体に支払われる収入の一部をCCEDUC が受け取ることを提案しました。このプログラムの成功がみんなのためになるなら、成功に向けてみんなが努力するでしょう。みんなに公平であり、みんなのためになることが実証されたこの方法を通じて、今では、CCEDUC を財務代行者としてマイクロローン(小口融資)を受けているVSLAの数は34になりました。この女性たちは人びとに奉仕する力が十分にあり、またCCEDUCはその収入で女性たちの奉仕をしっかりと後押ししています。やはり、私の思い込みは明らかに間違っていたのです。

アフリカのマイクロローンのパートナーたちから届く動画には、ほかのコミュニティのVSLAにも同じようなサービスを提供してほしいというリクエストが頻繁に含まれています。ユンベでの最初の二つの融資プログラムを開始してから9カ月以内に、CCEDUCは15Km離れたスーダン難民キャンプでも二つの融資プログラムを開始しました。これらのコミュニティでは、トイレのある家庭はわずか13%、安全な水源を利用できる家庭は48%、平均収入は日に2ドル以下。それにもかかわらず、難民の人たちの力を信じて支援するその姿勢は、裕福な米国市民の反応とはまったく対照的としか言えません。私たちはアフリカから多くを学ぶべきなのです。

【寄稿者プロフィール】
ヘレン・ダドリー(Helene Dudley)
 Coconut Grove ロータリークラブ(米国フロリダ州)会員・元会長。TCP Global常任理事。元平和部隊ボランティア(1968-70年にコロンビア、1997-99にアルバニア/スロバキアで活動)

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