シリアの子どもたちを守る

寄稿者:ムーイー・ヤン(2019-21年度ロータリー平和フェロー、ウプサラ大学)

運動場の清掃のあとにゴールネットを修繕する生徒たち。
ムーイー・ヤンさん

10年前、もし誰かに「あなたは紛争後の国に非営利の学校を設立するだろう」と言われたら、私はきっと笑い飛ばしていたでしょう。当時、私は商品取引会社のセールス担当としてクライアントの訪問や炭鉱の視察をしていました。

同僚たちとクライアントを訪問したときのことです。私は、炭鉱で子どもが働いているのを見て驚きました。10歳に満たないような子もいました。そのクライアントは、就労の法的年齢に達していない子がいる事実を隠していたことを認めました。

その村には小学校がひとつあり、教師は二人だけ、そのうち一人はパートタイムです。生徒が小学校を卒業できたとしても、また中学校の学費を払えたとしても、一番近い中学校までトゥクトゥク(小さな3輪のオートバイ)で片道一時間以上かかります。現実には、ほとんどの子が幼い頃から炭鉱で働き、親と同じように一生そこで働く運命を背負っていました。

すすで汚れた子どもたちの顔が脳裏から離れませんでした。私は仕事を辞め、大学に戻ることを決心。そして、イリノイ州の公選弁護人事務所でインターンとして働き、収監された未成年たちを担当した後、数カ国で恵まれない子どもたちの支援に携わりました。ロータリー平和フェローシップ(奨学金)に申請して留学し、その後もあれこれあって、シリアで社会から取り残された子どもたちのための非営利学校を設立、運営することとなったのです。

転機は、ウプサラ大学(スウェーデン)へのフェローシップ留学でした。ロータリー平和フェローシップ学友会の第1回世界平和カンファレンスを手伝った私は、そこでもう一人の平和フェロー、アン・キェール・バテルさんに出会いました。社会から取り残された人たちの生活改善に力を注ぐ彼女の体系的アプローチに、私は触発されました。シリアのホームレスの子どもの支援に一緒にあたっていた私たちは、ロータリアンの方々からのアドバイス、知識、サポートもあって、「チャンピオン・スクール」を立ち上げました。

チャンピオン・スクールでの日々の仕事は、やりがいがあり、学ぶことも多くあります。昨年10月のある午後、コーチから電話を受けたときのことを今も鮮明に覚えています。市内で3つの爆弾攻撃があり、まだ犯行声明が出されていないと言うのです。翌日、私たちは生徒たちの家を訪れ、授業への送迎は学校が行うと親たちに約束しましたが、それでも生徒の半数しか授業に来ませんでした。

シリアでは電力供給が限られているため、通常、会議は深夜に行いました。低空飛行でパトロールする戦闘機のエンジン音がうるさく、何度も話し合いを中断しなければなりませんでしたが、それも冗談にして笑い飛ばしました。

2020年の秋学期には、6つの異なる民族・宗教から40人以上の生徒が参加しました。クリスマス休暇前には、運動場の清掃や公共スポーツ施設の修復など、社会奉仕に生徒が参加する特別活動も実施。こうした体験型プログラムを通じて、地域の未来のリーダーとなる生徒たちに公共奉仕の心を学んでもらいたかったのです。

充実した秋学期の後、2021年1月に始まった春学期には、立ち上げ以来ずっと力を注いできたBlue Bow programを正式なプログラムとしました。これは、ホームレスの子どもたちを性的搾取や未成年売春から守るプログラムです。

この仕事がたやすいものでないことはわかっています。しかし、あるプログラムアドバイザーがかつて私たちを「見事な楽観主義者」と呼んだように、成せば成ると信じています。必ず成功させるという決意をもって。

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2月はロータリーの「平和構築と紛争予防月間」です。平和に関するそのほかの記事もご覧ください。

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