ロータリー奨学生としての英国留学

寄稿者:菅生 零王(すごう れお)

私は2016年9月から2017年8月までの約1年間、国際ロータリー第2750地区のグローバル補助金奨学生としてイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで紛争学(Conflict Studies)の修士課程に在籍していました。

留学の原点は、世界中で依然数多くの人びとを苦しめている武力紛争を何とかしたいという思いにあります。何とかしたい、と思うのは簡単です。しかし、実際に何をすべきか、何をすべきでないか理解するための第一歩として、紛争自体について、紛争解決のアプローチについてより深く知る必要があると考えました。

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小学校でのワークショップの様子

しかし、日本ではあまり紛争に関して包括的に学習できる環境がありませんでした。物足りなさ、そしてその必要性を切実に感じる中で、「日本学生平和学プラットフォーム」という学生団体を設立し、紛争や平和構築に関する勉強会やワークショップ、シンポジウムなどを定期的に開催するなどしてきました。

そういった活動に注力する中で、よりハイレベルな環境で紛争に関して学びたいという思いが強くなってきました。紛争研究は日本よりも欧米で盛んであり、あれこれ考えた末、社会科学に関しては世界トップクラスの大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで紛争に関して学びを深めることに決めました。そこで下地を固めて、より適切な紛争・平和構築の理解のもと、インパクトのある活動が将来的にできればと考えていました。

そんな留学はロータリーの奨学金によりサポートされていました。奨学金というと資金的な支援のみに着目されがちですが、ロータリーの奨学金は、日本、そして留学先のロータリーからの手厚いバックアップが受けられる点が特徴的です。留学中は、現地の地区から、そしてホストクラブからのサポートを受けることができます。地区としては、ロンドンの国際ロータリー第1130地区がロータリー奨学生へのオリエンテーションや様々なイベントを主催し、現地のロータリアン他、世界中から集まるロータリー奨学生たちと交流することができました。また、自身のホストクラブであるロンドン北部のエンフィールド・チェイスRCにも定期的に例会や食事に招いて頂いたり、ロンドンでの生活がより充実したものになるように取り計らっていただきました。世界各地に張り巡らされたロータリーのネットワークがあるからこそのサポート体制だと思います。現在私はアフリカ東部のルワンダに滞在しているのですが、そこでもロータリークラブを見かけ、その国際的なネットワークに驚きました。

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現地のホストクラブのコーディネーターと

ロータリーの国際的な基盤によって支えられた私の留学は、紛争学修士号の取得をもって無事に終了・実りのあるものとなりました。卒業後は国際機関やNGOで働くのですか、とよく聞かれます。実際、国際機関やNGOといった組織への就職が直接的で分かりやすいこともあり、周囲にもそうしたキャリアを志す学生が多かったです。しかし私は様々な国際協力活動を見、学ぶ中で、紛争解決に貢献しうる既存のパイ(国際機関等でのポスト等)を、国際協力を志す他の人材と奪いあうよりかは、官僚的な組織ではないところで経験を積み、そこでの経験を土台に何か新しい組織を作り、紛争解決・平和構築業界へ新しい風を吹き込むことができたらと考えるようになりました。

2018年4月からは外資系の会社で働きます。そこでビジネススキルを身に付けた後、大学院で身に着けた知識と合わせて、何か新しい紛争解決へのアプローチをとれる組織をつくれたらと考えています。ロータリーからの奨学金という形での自分への投資を、その際花開かせ、一人でも多くの人の役に立つことができれば幸いです。

関連リンク:
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>>グローバル補助金について

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