エチオピアで新生児の命を救う

執筆:カリン・デイビス医師(米国カリフォルニア州、デルマー・ロータリークラブ)

•カリン・デイビス医師(左から二番目)とブロムバーガー医師(右から二番目)。研修の参加者とともに。

• カリン・デイビス医師(左から二番目)とブロムバーガー医師(右から二番目)。研修の参加者とともに。

私は、今は退職した小児科医です。幼い頃に過ごしたエチオピアを最近訪れ、この美しい国、素晴しい人びとと強いつながりを感じました。エチオピアは新生児の死亡率が高い国です。私はここで、自分のスキルを活かした社会貢献ができないかと考えました。

そこで思いついたアイデアが、職業研修チーム(VTT)を派遣し、現地の大学に新生児医療の教育プログラムを作るというものです。このプロジェクトには、発展途上国で新生児蘇生法を教えた経験のあるパット・ブラムバーガー医師、エチオピアのゴンダール大学に勤務するゼメネ・ティガブ医師(ロータリアン)とその同僚が参加しました。

ブラムバーガー医師を含む計5名のVTTチームが米国から派遣され、私がそのチームリーダーを務めました。ほかのメンバーは、新生児ICU専門の看護師、エリサ・イモンテさん、呼吸療法士のエミリー・ジーンさん、看護師でロータリアンのファリー・モイニさんです。

新たに研修を受けた医療従事者

新たに研修を受けた医療従事者

2週間のエチオピア滞在中、ゴンダール大学医学部で、医療従事者17人(小児科医、産科医、内科医、助産師、看護師を含む)に新生児蘇生法の研修をしました。研修の実施にあたっては、デルマー・ロータリークラブをはじめとする複数のクラブ、地区、そしてロータリー財団からの支援がありました。

「本当にうまくいく!」そう叫んだのは、産科研修生3年目のコージィさんです。逆子出産で生まれてきた赤ちゃんが呼吸しておらず、研修で学んだ蘇生法を試してようやく息を吹き返したときのことでした。数分もすると赤ちゃんは元気よく泣き声を上げました。私たちが教えた技術で、子どもの命が救われたのです。職業研修によって、医療が改善され、命が救われるのを実際に目にした瞬間でした。

研修中のカリン・デイビス医師

研修中のカリン・デイビス医師

研修は、4人一組のグループから始めました。研修を受けた人は、ほかの医療従事者に研修を行います。さらに、新生児医療に携わる67人が研修を受け、最終的に84人が蘇生法を学びました(小児科医16人、内科医3人、産科医23人、助産師20人、看護師23人)。

研修を提供する側も、受ける側も、今回の研修に非常に熱心でした。その評判は人づてに広まり、研修最終日には、駆け込みで追加10名の参加がありました。エチオピアでは、医療教育の多くがレクチャー形式です。ですから現地の医療従事者は理論はよく理解しています。しかし、機器を手にした実践的なスキル研修があまりありません。私たちは参加型の練習を重視し、受講者には実践に向けた自信をつけてもらうようにしました。

看護師に蘇生法を教えるブロムバーガー医師

看護師に蘇生法を教えるブロムバーガー医師

ロータリー財団の補助金と、ロータリークラブや地区の支援のおかげで、ゴンダールの医学部には機器と教材が備えられ、医療従事者と学生が貴重な研修を受けられるようになっています。私たちの目標は、新生児蘇生法の研修プログラムを医学部に設置し、今後も継続して運営できるようにすることでした。私たちが研修した人たちは今では「エキスパート」になっています。

2015年10月に2度目のVTTとしてエチオピアに戻り、新生児の蘇生後のケアについて現地の医師や看護師に研修を行う予定です。

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