津波が押し寄せたあの日  

~東日本大震災を振り返る~(第2回)

寄稿者:佐々木一十郎(名取ロータリークラブ会員)     

紙一重だった運命の分かれ道

震災後に自衛隊の指揮官らと捜索活動の協議をする佐々木さん(写真左)。

震災当時、私は名取市長の職にありました。名取市は仙台市の南隣に位置し、仙台空港の所在都市です。

2011年3月11日、名取市の沿岸部は想定を超える9メートルあまりの津波に襲われ、当時の人口73,502人のうち、911人の命が失われました。広大な仙台平野の一部で平坦な地形だったため、津波は海岸から5.5キロメートル入った内陸部まで到達していました。

私自身は、地震発生時に沿岸から6キロメートルほど離れた名取市役所3階の市長公室で会議中でした。震度6強というこれまで経験のないほどの激しい横揺れに耐えたのち、災害対策本部を立ち上げ、対応に追われる日々を過ごしました。

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