ポリオ根絶活動の現場から:研究所のイノベーションをリードする女性たち

ポリオ根絶活動のあらゆるレベルで、女性は重要かつ不可欠な役割を担っています。この度、デジタル技術を駆使して意思決定を行うWHO EMRO(世界保健機関の東地中海地域事務局)の4人の女性の視点に迫りました。

社会的規範への取り組み

©WHO/Pakistan

エジプトのギザには、世界的に有名なピラミッドだけでなく、現代医療の粋を集めたポリオ研究所(Polio Regional Reference Laboratory、略称RRL)があります。

そこで所長を務めるアミラ・ザグルールさんは、五つの部門を統括し、25人のチームと密に連携しています。彼らは子どもから採取した便や汚水サンプルを基に、定期的なポリオウイルス検査を行っています。さらに、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、スーダン、シリアでポリオ陽性と確認されたサンプルの塩基配列を確認し、その配列がほかのポリオウイルスと関連しているかどうかの判断を行っています。ポリオウイルスが検出された際に、厳しい時間的制約の中で迅速に対応することを目標としています。

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ユニークなだけじゃない、世界各地のポリオ根絶活動

ポリオの根絶は、ロータリーが最も長く続けている重要なイニシアチブの一つです。パートナーとともに、122カ国で26億人以上の子どもたちにポリオの予防接種を行いました。ポリオの発症数は世界で99.9%減少しており、この疾病を永久になくすまで、私たちは活動を続けます。

今年も、各地のクラブや地区によって、さまざまな活動が実施されており、個々の取り組みが大きなインパクトを生んでいます。世界中のロータリー会員がどのようにポリオとの闘いを支えているか、以下にご紹介します。

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世界ポリオデー2020:コロナに負けず今年も

「新型コロナの流行により世界は大きく変わりました。しかし、変わらないものが一つあります。それは、ポリオ根絶の必要性です」~アデ・アデピタン(BBCテレビ司会者、元パラリンピック選手、ポリオサバイバー)

今年は長引くコロナ禍の影響で、生活や仕事や学業などにおいてすべての人に影響が及んでいます。そんな中でも、10月24日の「世界ポリオデー」には、ポリオを世界から根絶するために、多くのロータリーファミリーが募金や認識向上に立ち上がりました。さまざまな制約や困難に直面しながらも、「ポリオのない世界」を目指してご尽力くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。ほんの一部ですが、今年の世界ポリオデーに日本で実施された活動やイベントをいくつかご紹介します。

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この日、世界がポリオに目を向ける:世界ポリオデー

コロナ禍によりロータリーの活動や行事の実施が困難な状況となっていますが、ロータリーは引き続きポリオ根絶を最優先目標として掲げています。10月24日の世界ポリオデーには、例年、日本を含む世界中のクラブや地区がイベントを実施しており、今年もオンラインや三密を避けた活動など、工夫を凝らしてポリオへの認識向上や募金を行うことができます。

これまでにロータリーをはじめとする世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)によって築かれてきたポリオ根絶のインフラは、新型コロナウイルス対応においても、ウイルスの追跡やサーベイランスのために役立てられています。ロータリーは、1918年のスペインかぜ、ポリオ、新型コロナウイルスなど、ウイルスの世界的流行時に率先して行動を起こしてきました。

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日本発:世界ポリオデー2018

10月24日の「世界ポリオデー」の前後に世界中でポリオ撲滅のためのイベントが行われ、日本でも数多くのイベントが実施されました。情報が寄せられた世界のイベント数は4,005件、日本からも128件のイベント情報が寄せられました。

ごく一部ですが、日本で行われたイベントをいくつかご紹介します。

2680地区(兵庫)Hyogo 1
「地球のために、平和のために、未来のために」をテーマに、11月3・4日に神戸メリケンパークにて「ひょうご五国+ワールドフェスタ」を開催。兵庫県から「兵庫県政150周年記念事業」としてご協力いただき、五国からの「ゆるキャラ」20体も大集合。約75,000人が来場しました。END POLIOの募金のほか、インターアクターが奉仕活動紹介やキッズコーナーでの子どもたちの世話をし、ローターアクターが独自の活動を紹介。青少年交換来日学生とVTT研修生、米山学友、財団学友、RYLA学友会も大活躍し、まさにロータリーファミリーが一丸となってイベントを作り上げました。 続きを読む

世界ポリオ根絶推進活動(GPEI) 今年で30周年

「ロータリーの先見性のおかげで、私たちは歴史的な公衆衛生における偉業に近づいています。皆さんのおかげで、ポリオの根絶は本当にあと少しです」
(マーガレット・チャン、
WHO元事務局長)

皆さんは「世界ポリオ根絶推進活動(Global Polio Eradication Initiative=GPEI)」という言葉を聞いたことがありますか。これは、国際ロータリーをはじめとするパートナー団体と各国政府による、世界からポリオを根絶することを使命とする官民共同のパートナーシップです。 続きを読む

『ブレス しあわせの呼吸』~鑑賞した会員の声

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©2017 Breathe Films Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute. All Rights Reserved

映画「ブレス しあわせの呼吸」が9月7日から劇場で公開されます。この映画は、1950 年代にアフリカでポリオに感染した父親のロビン・カヴェンディッシュとその妻ダイアナの激動の半生を、息子であるジョナサン・カヴェンディッシュが自ら映画化した感動作です。

この映画の公開に向けて、国際ロータリーが協力し、本作の公式ウェブサイト、ポスター、チラシ、映画本編のオープニングクレジットにRotaryとEND POLIO NOW のロゴが入っています。

作品の公開に先駆け、ロータリアンに鑑賞していただき、コメントをいただきましたのでご紹介します。 続きを読む

世界ポリオデー イベント実施が大切な理由

袋井RC(写真)_210月24日の「世界ポリオデー」まであと2カ月余りとなりました。クラブや地区でのイベントの計画は進んでいますか?「世界ポリオデーとは関係なくても、ポリオ募金は毎年やっている」とか、「なぜわざわざ世界ポリオデーにイベントをするの?」とお考えのクラブもあるでしょう。

世界ポリオデーにちなんでその前後にイベントを行うことは、なぜ重要なのでしょうか。

1.  一斉に推進して認識向上の効果アップ

メディアは「…の日」とか「…デー」の話題を好みます。 続きを読む

ポリオが残したもの

~映画『ブレス しあわせの呼吸』を観て

寄稿者:稲村敦子(「ポリオの会」世話役、ポリオサバイバー)

Breathe Inamura photoこの映画の主人公ロビンは、28歳でポリオに罹患。余命数カ月を宣告されて36年、人工呼吸器と共に、世界一幸せに生きた男とその家族の奇跡の実話です。

主人公ロビンはまぎれもなくポリオサバイバーとして生きたのですが、その姿は一般的なポリオサバイバーとは少し違うかもしれません。ポリオを知る人は「えっ!ポリオ?」と思うでしょう。それはロビンが大人になって骨格が完成してから罹患したことと、もうひとつ、ロビンのような致命的とも思える呼吸まひを伴った人の生存率は非常に低かったからです。 続きを読む

ポリオとともに生きる

寄稿者:小山万里子(「ポリオの会」責任者、ポリオサバイバー)

1歳でポリオに罹患し、40代でポリオ後症候群を発症Mariko Koyama 1

野生株ポリオに1歳9か月頃罹患した私は、もう70年近くポリオと<ともに>生きています。人生最初の記憶は、脊髄穿刺の痛みに耐えていたこと。やがて、ポリオによる障害を隠して生きていけると思えるほどに、麻痺は回復しました。

しかし、40代、仕事に打ち込んでいた時、よいはずの部位に激しい痛みや新たな筋萎縮といった症状が出てきました。当時は、ポリオ後遅発性進行性筋萎縮症という病名でしたが、現在はポリオ後症候群、ポストポリオという病名が一般的です。ポリオ発症から十数年~数十年して新たに症状が現れるのです。発症時、どこまで悪化するのか、治療の方法はと、先の見えない孤独感、不安、症状悪化に打ちのめされて、電車ホームに立っていると思わず飛び込もうとする自分が恐ろしかったのです。「先生、私は松葉づえですか、車いすですか」と問いかけ、ドクターショッピングをし、左足だけと思っていた症状が右足にも両手にも出てきて、耐えがたい思いでした。 続きを読む

ポリオ撲滅 ロータリーへの期待

寄稿者:岡安 裕正(ジュネーブインターナショナル・ロータリークラブ、WHO世界保健機関ポリオ撲滅イニシアティブ)polio blog okayasu

有史以来、人類を苦しめてきたポリオ(小児麻痺)。そのポリオを地上から撲滅するという大きな夢が実現する日が近づいています。7月21日現在、2017年に報告された野生株ポリオの症例数はわずか8例(アフガニスタン5例、パキスタン3例)で昨年同時期の19例を大きく下回っています。

先月のロータリー国際大会では、各国政府や主要ドナーが改めてポリオ撲滅に向けた決意を新たにするとともに、13億ドルの寄付を約束しました。

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