奉仕を通じた学び

2021年インターアクト賞(エッセイ部門)受賞作品より

受賞者:イサベル・オー、メスタ・スマナスカラ(オーストラリア、Balwyn高校インターアクト委員会)

フリンダース通りを歩くと必ず聞こえてくる「チャリン」という硬貨の音。フッと息を吸い込んでから私も「チャリン」と硬貨を容器に入れたが、駅に入るやその音は電車にかき消された。最後にちらりと振り返ると、その男性の希望をたたえた目がこちらを見て、都会の喧騒の中でやさしく「ありがとう」と口が動くのが見えた。街を行き交う人たちは皆、自分のことに没頭して、道端の(ホームレスの人たちが持つ)「Help」(助けてください)と書かれた紙や毛布には気づいていない。大勢の目があるにもかかわらず、そのすべてがスマホにくぎ付けで、地面に座っている人たちからあからさまに目を遠ざけているかのようだ。

電車に乗り込むと、その喧噪が徐々に薄れ、すぐに暖房の温かい空気が体に当たった。両親と体を寄せ合って座り、コートを無造作に膝にかけて、少しずつ遠ざかる高層ビル群を見つめていた。どんよりとした都会が離れていくのを見ながら、背筋が震えた。するとすぐに、あの冷たく無容赦な環境で暮らす人たちを思い、胸がぎゅっと痛くなった。

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子どもたちの未来に夢を馳せる ~遺贈の選択~

林直子先生とインターアクターたち。

約四半世紀にわたり桐光学園インターアクトクラブの顧問をされている林直子先生より、この度、ロータリー財団への遺贈のお申し出をいただきました。インターアクトクラブ顧問として、なぜロータリーに寄付することを選択されたのか。その理由を林先生に伺いました。

先生とロータリーとの最初の接点はどのようなものだったのでしょうか。

林:学校で、部活動の顧問としてインターアクトに携わるようになったのがきっかけです。それ以前は接点がありませんでした。顧問になってはじめて、ロータリーが素晴らしい活動をされていることを知りました。

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特攻隊の体験を生々しく伝える 「自分の命を大切に」

~千玄室・茶道裏千家大宗匠が語る

寄稿者:下村由加里(奈良西ロータリークラブ会員、第2650地区インターアクト委員)

講演をした茶道裏千家前家元 大宗匠・千玄室さん

第2650地区では、平和学習をテーマに、インターアクターが学校の授業では知ることのできない命の尊さについて学び、見て感じ、自分の心で考えるための夏期研修(3泊4日の鹿児島訪問)を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの感染状況によりこれを中止するという苦渋の決断が下され、楽しみにしていたインターアクターたちのがっかりする姿が思い浮かばれて身を切る思いでした。ロータリアンは自分が望めば一生ロータリアンでいることができますが、インターアクターは18歳までという制限があります。高校のインターアクトクラブの場合、3年生は就職や進学が絡むため、活動は1年と2年の実質2年間。2回続けて夏期研修が中止となれば、一度も夏期研修に参加する機会がなく卒業することになります。以前にインターアクトクラブの例会を訪問した時、「どうしてインターアクトクラブに入会したか?」と質問したところ、「夏期研修ですごい経験をしたと先輩から聞き、自分も参加したくて入会した」という声が少なくありませんでした。

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11月5~11日は「世界インターアクト週間」

毎年、11月5日を含む1週間は、世界インターアクト週間(World Interact Week)に指定されています。この一週間、インターアクトにスポットライトを当ててみましょう。WIW2018

インターアクトとは?

インターアクトでは、12~18歳の中学・高校生が、地元でのボランティア活動や海外のインターアクト会員(通称「インターアクター」)との交流を通じて視野を広げ、国際感覚を養っています。 続きを読む