日米合同プロジェクトで米国高校生に平和教育

寄稿者:関 博子(東京米山友愛ロータリークラブ会員)

「核廃絶と平和構築」をテーマとする模擬国連を開催

10月22日、南カリフォルニアのPalos Verdes Peninsula 高校で開催された「ロータリー模擬国連会議(ROTARY MODEL UN Peace Conference)」 に参加してきました。これは、ロス在住の中曽根牧子ガバナーエレクトの協力で実現した高校生対象のプログラム「南カリフォルニアにおける青少年に対する平和教育活動」の一環であり、ロータリー財団のグローバル補助金を活用しています。同校で日本語を教える岩見幸子先生(元ロータリー財団奨学生)の協力もあり、日米ロータリークラブ、地元高校、Model UN(模擬国連)を推進する団体Best Delegateが連携して開催できました。目的は、高校生に平和について考えてもらいながら、将来のリーダーを養成することです。

南カリフォルニアという土地は、日系人も多く、多様な人種が共存する地域です。いじめ、ヘイトクライム、戦争が起きている状況の中で、子どもたちが命の尊さを学び、生きていく勇気を与えたいという思いもありました。

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アフガニスタン元留学生の命を救え!

寄稿者:勢井由美子(宮崎アカデミーロータリークラブ会員)

日本のアフガニスタン避難民が抱える問題

アフガニスタンの首都カブールが陥落し、タリバンが実権を掌握してからはや1年半。

コロキュームの参加者(命の危険が及ぶため一部の方は顔が見えないよう加工してあります)

元はというと、2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロを契機に始まったアフガニスタン紛争がきっかけとなっており、それが日本を含む西側諸国の「自由と民主主義」という正義を守る闘いへと発展。タリバン政権打倒後にアメリカ・NATO軍が駐留を続けながら、この国を二度とテロリストの温床にしないための国づくりが行われていました。

日本はアフガニスタン復興支援として、祖国の将来を担う若者への教育支援を行い、日本政府国費による留学や国際協力機構(JICA)の協力で数多くのアフガニスタン人が日本の大学で学びました。以来、日本へのアフガニスタン人留学生の数は、20年間で約1400人にのぼります。

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日本留学で出会った被爆者との再会

~元平和フェローである私が考えた積極的平和と核軍縮の関係

記事:ロレーナ・ロドリゲス(2017-19年度ロータリー平和フェロー)

カリフォルニアで再会した川妻さん(右)と。

宿命、運命……。それを何と呼ぼうと、私は「偶然」というものは信じていません。私たちの体験は、自然、数、時間、事象、観念といった繊細な体系の中に織り交ざっています。最近に起こったいくつかの非偶然的なできごとも、私のこれまでの人生体験が紡いできた一本の糸とつながり、この記事を書くにいたっています。

ここに紹介する私のストーリーは、ロータリー平和フェローシップで修士号取得のために日本に留学し、初めて被爆者に出会ったときから、ロータリー積極的平和アクティベーターとなった最近までの、5年間にわたるストーリーです。

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ウクライナからデンマークへ:ロータリアンの家に身を寄せた17歳からのメッセージ

寄稿者:アルテム・ジアブロフ

私はカラジンハルキウ国立大学(ウクライナ)の1年生で、数学とコンピュータサイエンスの学士号を取得するために勉強しています。戦争が始まる1週間前、母は私をハルキウ(ウクライナ北東部)からイルピン(キーウに隣接)に連れ戻しました。

2月24日の朝5時、母に起こされ、戦争が始まったこと、そしてハルキウが攻撃されていることを知らされました。窓から外を見ると、10キロほど離れた空港に爆弾が落とされるのが聞こえました。その後、ウクライナの戦闘機がすぐ近くまで飛んできて、街からミサイルでロシア軍を爆撃しており、そこにいるのがとても恐ろしかったです。

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平和の祈りを込めたコンサート

広島の家族がロータリーを通じてウクライナを支援

エレナ・ボンダレンコ(平石)さん

寄稿者:エレナ・ボンダレンコ(平石)  

私は、ウクライナ東部のドニプロという都市で育ちました。父はウクライナ人、母はロシア人です。留学のため21歳で来日し、広島市内の会社に勤めました。広島西南ロータリークラブ会員である夫・雅史と出会って、今では10代の息子3人を育てています。夫を通じてロータリーについて知り、7年ほど前にベトナムに赴いてロータリーの孤児院支援活動にも参加しました。

2年前から、末の息子のバイオリン留学のためドイツに住んでいます。ウクライナでの恐ろしい戦争が勃発したのは、2月下旬に日本に一時帰国していたときです。ウクライナの親せきや親友たちのことを考えると心配でたまりませんでした。キーウやドニプロだけでなく、マリウポリとドネツクから脱出できずにいる知り合いもいます。

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青少年交換学生が考える平和

ロータリー青少年交換の学友たちに「1. あなたにとって平和とは?」「2. その実現に必要なものは?」を伺いました(『ロータリーの友』2022年2月号に掲載された記事より)。

後藤 久美(2001-02年度、第2530地区からハンガリーに派遣)
看護師(東京北Exchangeロータリー衛星クラブ会員)

1.人々の健康が不公平に扱われることなく保障され、安心した生活を送ることができること。人は心身の健康を維持できれば、他者を思いやる心を育める。自分から周囲へ、さらにその周囲へと愛情が連鎖して自然と心地よい空間が広がると、私は思う。相互の思いやりをたくさんつくるために、健康を保つシステムを構築している社会であることが、平和につながると考える。

2.看護師である私が患者さんに対し意識していることは、心のケア。患者さんの身体的回復に併せ、心の状態もより良くなるよう、気持ちに寄り添い、いかに笑顔を増やせるか。日々の経験から学んだことは、相手を思いやる気持ちが心の平和につながる、ということ。これからは、ロータリー衛星クラブの一員としても、このことを大切にしながら活動していきたい。

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特攻隊の体験を生々しく伝える 「自分の命を大切に」

~千玄室・茶道裏千家大宗匠が語る

寄稿者:下村由加里(奈良西ロータリークラブ会員、第2650地区インターアクト委員)

講演をした茶道裏千家前家元 大宗匠・千玄室さん

第2650地区では、平和学習をテーマに、インターアクターが学校の授業では知ることのできない命の尊さについて学び、見て感じ、自分の心で考えるための夏期研修(3泊4日の鹿児島訪問)を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの感染状況によりこれを中止するという苦渋の決断が下され、楽しみにしていたインターアクターたちのがっかりする姿が思い浮かばれて身を切る思いでした。ロータリアンは自分が望めば一生ロータリアンでいることができますが、インターアクターは18歳までという制限があります。高校のインターアクトクラブの場合、3年生は就職や進学が絡むため、活動は1年と2年の実質2年間。2回続けて夏期研修が中止となれば、一度も夏期研修に参加する機会がなく卒業することになります。以前にインターアクトクラブの例会を訪問した時、「どうしてインターアクトクラブに入会したか?」と質問したところ、「夏期研修ですごい経験をしたと先輩から聞き、自分も参加したくて入会した」という声が少なくありませんでした。

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学問と実践を結ぶことを夢みて

寄稿者:ジャンルカ・ボナンノ(京都大学東南アジア研究所・トリノ大学世界情勢研究所准教授、国際平和と開発機構[IPSO]理事長、ロータリー学友)

私はイタリアと英国の二重国籍を持っていますが、ロータリーとともに歩む旅は、2009年に京都で始まりました。当時、大学院で国際関係の博士号取得を目指していた私は、ありがたいことにロータリー米山記念奨学金をいただき、博士課程での研究を続けることができたのです。

その時はただの奨学金だと思っていましたが、思いがけず、職業的、人間的に大きく成長する機会がもたらされることとなりました。

学問と現場の乖離に気づく

学者の家庭に生まれた私は、子どもの頃、世界中の大学の誰もいない教室でよく遊びました。日頃から身近なところで教育に触れていた私は、幼いときから、いつかは教授として教育に携わることになると思っていました。

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最新レポートで見る世界平和の現状

寄稿者:マイケル・コリンズ(Michael Collins、経済平和研究所、アメリカ局長)

画像をクリックするとレポート(英語、PDF)をダウンロードできます

去る6月、経済平和研究所(the Institute for Economics and Peace=IEP)が、今年で15年目となる世界平和度指数を発表しました。この指数は、全世界の平和度を測る主要な基準のひとつです。2017年以来、IEPとロータリーは戦略的パートナーシップを結び、世界各地で平和を効果的に築く新たなツールを会員に提供してきました。私も、世界平和度指数を算出するプロセスに携わりながら、ロータリー会員の皆さんと協力する機会に恵まれたことを嬉しく感じています。

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シリア紛争の10年

By Victoria Ifould(災害救援団体「シェルターボックス」スタッフ)

シリア危機は、これまでにシェルターボックス*が対応してきた最大かつ最も長期にわたる課題です。2012年12月以来、40万人以上を支援し、テントや冬用衣類の提供など、必要な支援を行ってきました。
(* シェルターボックスは、災害救援活動におけるロータリーのパートナー団体です

紛争開始から10年が経過した現在も、繰り返される争いによって故郷を追われる家族が後を絶たず、緊急シェルターが引き続き必要とされています。また、長年使用され、修理が必要なシェルターも多くあります。

年月を重ねるごとに、シリアの惨状は主要なニュースメディアで取り上げられなくなります。しかし、世界中のロータリークラブやローターアクトクラブからの継続的な支援のおかげで、シェルターボックスは支援活動を続けることができています。 シリア紛争の報道では、しばしば数字や統計が注目されます。現地では、これまでに1,230万人もの市民が避難生活を余儀なくされていますが、この数字から状況を想像し、紛争が人びとに与えている影響を理解することは難しいでしょう。統計の背後にある、10年間の悲惨な現実を伝えることが重要なのです。

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世界で機会の扉を開くロータリーの「外交官」たち

寄稿者:ジュディス・ディメント(ロータリー代表ネットワーク リーダー)

この1年は誰にとっても未曾有の時となりましたが、国連など22の機関のロータリー代表である私たちにとっても同じです。いわばロータリーの「外交官」である私たちの仕事は、これらの機関の主要人物と会い、関係を深めながら、ロータリー重点分野での協力を推進することです。しかし、コロナ禍の現在、これは容易な仕事ではありません。ほかの多くのロータリアンと同様、私たちもバーチャルな方法を活用して「ネット外交」を行っています。

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シリアの子どもたちを守る

寄稿者:ムーイー・ヤン(2019-21年度ロータリー平和フェロー、ウプサラ大学)

運動場の清掃のあとにゴールネットを修繕する生徒たち。
ムーイー・ヤンさん

10年前、もし誰かに「あなたは紛争後の国に非営利の学校を設立するだろう」と言われたら、私はきっと笑い飛ばしていたでしょう。当時、私は商品取引会社のセールス担当としてクライアントの訪問や炭鉱の視察をしていました。

同僚たちとクライアントを訪問したときのことです。私は、炭鉱で子どもが働いているのを見て驚きました。10歳に満たないような子もいました。そのクライアントは、就労の法的年齢に達していない子がいる事実を隠していたことを認めました。

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ロータリーで平和を築く機会

平和構築と紛争予防」はロータリーの重点分野の一つです。しかし、「平和」といってもどこか漠然としていて、具体的にどんな活動をすればよいのか、とお考えの方もいるでしょう。

「どうしたら平和構築に寄与できるか?」 その答えは、ロータリーにあります。世界の隅々にクラブがあり、異なる国の会員同士による協力や親睦を土台するロータリーには、平和構築のさまざまな機会があります。

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中核的価値観としての「多様性」

ホルガー・クナークRI会長とのインタビュー/「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第1回

By デイブ・キング(RIBI『Rotary』誌編集者)

「もちろん、これからの10年がどうなるかは誰にもわかりませんが、どうなろうと、私たちが果たすべき特別な責任を常に意識しなければなりません。なぜなら、ロータリーで私たちは公平さ、寛容、平和という価値観を信じているからです。今まさに、世界各地で『寛容』の重要性が高まっています。ロータリーとは政治的な団体ではなく、これからもそうあってはなりませんが、明らかに間違ったことがあれば、目を背けることはできません。ロータリアンは沈黙してはなりません。私たちは、ロータリーの価値観と「四つのテスト」を身をもって示します。私たちの真価は、結果だけでなく、態度で試されるのです」 ホルガー・クナーク(2020年1月24日)

2020-21年度RI会長ホルガー・クナーク氏。ドイツ、ラッツェルブルグの自宅前にて。

今年はじめ、サンディエゴ(米国)で開かれた国際協議会の講演で、ロータリー会長エレクトだったホルガー・クナーク氏がこう語ったとき、その3カ月後にこれらの言葉がいかに予言的なものとなるかを知っていた人はいませんでした。

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原爆75周年に寄せる被爆者の声

寄稿者:ジャクリン・マカリスター(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学)

長崎原爆被爆者、池田道明さん

私はアメリカのニューメキシコ州で育ちました。核実験と聞いてニューメキシコを思い浮かべる人は少ないと思いますが、実際には、広島と長崎に投下された原子爆弾と同じ設計の核爆発装置実験が、1945年7月16日、ここで行われました。広島と長崎に原爆が投下されたのは、その後1カ月も経たない8月6日と9日のことです。今年は、この恐ろしい破壊力をもつ核兵器が初めて、そして唯一、戦争で使用されてから75周年となります。

原爆が原因で亡くなった人は推定129,000~226,000人。その多くが一般市民でした。ほとんどの方が1日目に亡くなり、残りの方はやけどや放射線病、けが、栄養失調で苦しんだ末に亡くなりました。

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母の夢

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姪に囲まれたReem Ghunaimさん(写真提供:Moataz Al Sadey)

By Reem Ghunaim

私は、パレスチナ出身のロータリー平和フェローです。母は1948年に家族とともに難民となり、父の村でも1967年に村民全員が避難を余儀なくされました。私の家族の半分近くがパレスチナ難民です。 続きを読む

ハーフとしての人生を伝える

~ドキュメンタリ―映画『HAFU』を製作

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映画撮影中の西倉さん。

By 西倉めぐみ(2006-2008年度 ロータリー平和フェロー)

rv2020_minidokaasiasociety-1私のキャリアを形成した3つの重要な瞬間があります。最初は6歳の時でした。日本人の父とアメリカ人の母がハワイのパール・ハーバー国立記念館に連れて行ってくれました。戦艦アリゾナの残骸を見た時、私が属する2つの国がかつて戦争をしていたことを知ってショックを受けました。後に、両祖父母の国が敵として戦っていたこと、終戦から25年後、両祖父母は自分の子のパートナーを憎むことなく家族に迎え入れたことを知りました。

2番目の瞬間は2011年9月11日。私は当時、ニューヨーク大学の4年生で、映画について学んでいました。 続きを読む

私が寄付する理由

~坂本精志氏(名古屋名東ロータリークラブ会員)へのインタビュー

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坂本精志さん

ウガンダにあるマケレレ大学にアフリカ初となるロータリー平和センターが設立されました。アフリカの人びとが待ち望んだ平和センターの設立。その実現の裏に、一人の日本人ロータリアンからの支援があったことをご存知でしょうか。

その方の名は、ホシザキ株式会社取締役会長の坂本精志さん。マケレレ大学ロータリー平和センター設立のために25万ドルを寄付し、第2760地区(愛知県)からの寄付25万ドルにこれをマッチングすることによって、日本からの50万ドルの支援を実現させました。 続きを読む

各地で育ちつづける被爆樹木二世たち

『原爆で黒焦げになった太い木が 翌年、白い芽を出した。 今でも元気である。広島の人は自分たちも生きていけるかと思った。我々も生きていく。
このツバキが原爆の惨状を見ていた。ツバキは亡くなった人の死を悼み、また世界に向けて平和を呼びかけた』
川妻二郎(ロータリー会員・被爆者、ツバキ植樹式[米国パサデナ]でのスピーチより)

Kofu South

「イチョウがつなげる平和の願い」に参加した地元保育所の子どもたち。写真提供:甲府南ロータリークラブ

原爆投下後「75年は草木も生えない」と言われた広島には、「被爆樹木」と呼ばれる木々があります。爆心地から半径2キロメートル以内に散らばるこれらの木は、原爆を生き延びた「被爆樹木」として広島市から特別に認定されています。原爆で焼け焦げた樹木から新しく芽吹いた芽は、被災した市民に生きる勇気と希望を与えたと言われています。 続きを読む

新しい平和拠点をつくる

~広島・長崎 爆心地 中間点 上毛町-未来へつなぐ平和の架け橋事業~

寄稿者:錦織 亮雄(広島東南ロータリークラブ、創立60周年記念事業実行委員長)

Three mayors

(左から)松井一實氏(広島市長)、坪根秀介氏(上毛町長)、田上富久氏(長崎市長)

広島東南ロータリークラブは、被爆都市広島の中心部をテリトリーとするクラブとして60年前に創立されて以来、多様な平和推進活動に力を入れてきました。創立5年目には、「知客寮」(チカクリョウ)という原爆孤児の帰郷のための家をつくりました。1982年にはパールハーバー・ロータリークラブ(米国ハワイ州)と姉妹縁組を結び、「ヒロシマ」と「パールハーバー」という戦争体験の恩讐を超えて交流や共同奉仕活動を続けています。最近では、広島の被爆樹木の保護や苗などを各地に配布する平和運動の支援にも力を入れています。

ロータリーでの平和推進活動は、多くの難しい側面をもっています。「平和」という誰もが望む大きく深い命題では、その到達への道筋は多様であり、到達点さえも定かではありません。それゆえに活動は、 続きを読む

2019年の活動を振り返り 2020年の奉仕を発展させる

昨年、数多くのプロジェクトが日本のクラブ・地区によって実施され、その一部が本ブログで紹介されました。いずれも素晴らしい活動ですので、以下にご紹介します(青字のリンクをクリックすると記事に移動します)。2020年も大きな変化を生み出すたくさんのプロジェクトが実施されますように!Untitled design (2)

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第15回日韓親善会議を終えて

提供:日韓親善委員会

第15回日韓親善会議 委員長
市川伊三夫(東京銀座ロータリークラブ)

第15回ロータリー日韓親善会議は、先日9月28日東北仙台地区で盛大に行われ、無事すべての日程を終了しました。

開催に先立つ数カ月、私たちはその準備にいつもの数倍の会議をもち、あらゆる可能性について討議を重ねました。日韓両国の関係は、この数十年でも最も良くない状況にあり、私の関与するいくつかの両国の慣例の会議は中止になりました。3002

嬉しいことに、本会議について、日本の中からも、韓国からも、中止を期待する声は全くありませんでした。私たちは客観情勢の如何に関わらず、 続きを読む

元RI会長が語る日韓ロータリーの強いきずな

提供:日韓親善委員会

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李 東建2008-09年度RI会長

【注記:以下は、2019年9月28日に仙台で開催された第15回ロータリー日韓親善会議での、李東建(D.K. Lee)元RI会長による挨拶です】

皆さん、こんにちは!

ここ、うつくしき杜の都で、ロータリアンの皆様にお会いできましたことを心から嬉しく思います。そして、感無量です。

韓国と日本は、一衣帯水ということばでよく言い表されます。一端の水路に向かい合い、隣りあう両国の関係を意味する言葉です。宿世の縁とも言うべき韓国と日本の関係をよく表してくれる言葉であると思います。つまり、ここの土地に人が暮らしはじめた大昔の時から、私達は隣同士だったのです。長い歳月、隣同士として生を営んでまいりました。当然いいこともあれば、困ったことも多くあるのは当たり前の事です。

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ハリスの肉声:1933年のラジオ放送

~1933年ボストン国際大会で行われたポール・ハリスのラジオ演説から~

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ボストン国際大会でのポール・ハリス(一番右)。コロンビア、キューバ、英国、ドイツ、スペインからの大会出席者たちと。

1933年6月27日、ボストン(米国)で開かれたロータリー国際大会でポール・ハリスが演説し、国際理解と寛容の精神が世界各国のロータリー会員を結びつけていると語りました。

この演説は、ロータリー国際大会の演説としては初めてラジオ放送されました。ハリスは、自宅でラジオを聴くリスナーに向け、ロータリーを通じて文化の壁を超えた友愛を実現できると呼びかけました。「同胞である人間への愛を心に抱いているなら、あなたは潜在的なロータリアンです」

86年前のこの演説には、今も通じるメッセージが含まれています。この演説の録音でハリスの肉声をお聴きください続きを読む

私がICU(東京)の平和センターを選んだ理由

ローレイン・ヘイマン(Lorraine Hayman)CaptureICU
2019年8月にICUで研究開始

2019年の夏、私は国際基督教大学(ICU)にあるロータリー平和センターに18期生として入学します。

私がICUを選んだ10の理由をご紹介します。

1. 異文化への浸透

ICUは東アジアで唯一、ロータリー平和センターがある教育機関です。 続きを読む

自分より大きな何かの一部になること

エドゥアルド・ロドリゲス・ダ・コスタ
2010-12年度ロータリー平和フェロー、グローバル補助金奨学生(カナダ、マニトバ大学に留学)

私はブラジルのアマゾン出身として初のロータリー平和フェローとなりました。アマゾンの熱帯雨林では、開発、森林破壊、先住民と関連する争いが今も絶えません。このため、持続可能な開発を通じて平和をどう促進できるかに関心がありました。 続きを読む

脱北者のロータリークラブ

【クラブ会長とのインタビュー】1042

大半の会員が脱北者であるロータリークラブが韓国にあります。蔚山自由(Ulsan Jayu)ロータリークラブです。韓国には、命を落とすリスクを冒して北から逃れてきても、その後の生活で困難を経験する人びとが大勢います。そのような中、脱北者が安らぎを得て、誇りをもって新天地で活躍できるよう、韓国のロータリークラブが人道的奉仕プロジェクトを実施しています。

この度、同クラブの会長であるソギ・ジュユンさん(Ju-Eun Seok)に、自らの脱北経験と彼女の人生におけるロータリーの意味についてお話しいただきました。

—— 韓国に逃れてくる前に、どのような困難を経験されましたか?

1997年に、高校の友人と一緒に国境の川を渡って北朝鮮から抜け出しました。 続きを読む

倫理的ジレンマ:あなたならどうする?(資金の使い道)

回答者:日本のロータリー財団地域コーディネーター(RRFC)file000959098415

日本では現在、海外労働者の受入拡大を2019年4月に控え、自治体がさまざまな状況を想定した準備を進めています。また、世界で深刻化している難民問題を受け、日本での受入れに関する議論も盛んになっています。どのような状況になったとしても、地域社会で大きな動きがあった場合は、地元ロータリークラブの出番となることが考えられます。

今回の「倫理的ジレンマ」では、このような世界の情勢変化の余波を受けたクラブでのジレンマを取り上げました。

「Aさんのクラブでは、海外文化交流を通じた平和推進のための奨学金を地元高校生に提供するため、募金活動を行いました。Aさんが担当者となり、会員みんなで募金しました。 続きを読む

平和と紛争予防/紛争解決

Peace国連難民高等弁務官事務所によると、紛争や迫害により家を捨てて逃げなければならない人は、毎日44,400人に上るそうです。

ロータリーでは、平和フェローシップ、奨学金、奉仕プロジェクトを通じて、紛争や対立の原因となる課題(貧困、不平等、民族対立、教育の欠如、リソースの不平等分配など)に取り組んでいます。

以下に、日本と海外のクラブによって実践された関連プロジェクトをご紹介します。 続きを読む

「四つのテスト」を照らして争いに対処する

寄稿者:デニス・ワン(平和のためのロータリアン行動グループ創設者/ウェストポート・サンライズ・ロータリークラブ[米国コネチカット州]会員)

「四つのテスト」は、ロータリー会員が私生活や職業上の関係の中で生かしている倫理的な指針です。しかし、「四つのテスト」は、争いに対処し、期待する成果を出すために問題を解決し、決定を下すためにも生かすことができます。互いにとって利益があり、持続可能で、測定可能な解決策にたどり着く手助けとなるのです。平和とは、人びとが暴力なしに紛争を解決できたときに実現できるものであり、より良く、公平な人生のためにお互いに協力しようという意思がなければなりません。Rotary Peacebuilding Summit. Toronto, Ontario, Canada. 22 June 2018. 続きを読む

国連誕生にかかわったロータリアンたち

~サンフランシスコでの熱き議論から見える平和への切望

peace blog NY photo世界平和を推進する国際機関の代表ともいえる国連ですが、その創設にロータリーがかかわっていることをご存知でしょうか?その経緯はこちらの記事から詳しくお読みいただけますが、今回は『The Rotarian』誌(1945年7月号)に掲載された「Report from San Francisco」(サンフランシスコからの報告)という記事をご紹介します。この記事は、同誌編集者リーランド・ケースが書いたサンフランシスコ会議(*下記注)の報告記事に対し、ロータリー代表として同会議に出席した数人のロータリアンがコメントを寄せるという興味深い形式をとっています。 続きを読む

自然から学ぶ人間のあり方

寄稿者:ロレーナ・ロドリゲス(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学)

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田島さん(左から2人目)とロドリゲスさん(右端)

去る11月、私は栃木県に住む田島さんの農園を訪ねました。田島さんは、日本の農業家で思想家でもある福岡正信が提唱した「自然農法」を実践しています。福岡正信は、地球の存続と食料生産を両立させる道としての自然農法の確立に人生を捧げた人物です。

近代化により私たちは、より「洗練された」農法、すなわち、より早く作物を収穫し、より少ない肉体労働でより生産性の高い農法を追い求めてきました。社会は「食料生産の産業化こそが、繁栄し効率のよい未来にいたる道」であると信じています。その結果、 続きを読む

米山奨学生の底知れぬ可能性にふれて

~ ロータリアンとなった元・米山奨学生から奨学生に潜在する力について学ぶ ~

日本のロータリーが世界に誇る米山記念奨学会にとって、2018年は躍進の年となったのではないでしょうか。昨年の財団設立50周年に続き、2月には米山梅吉氏の生誕150周年行事が盛大に開催。ロータリー会員からの支援を受け、これからも米山の歴史は語り継がれ、未来の平和を担う奨学生が育っていくことでしょう。

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ラシタ・エリヤーワさん

本稿では、ひとりの元米山奨学生をご紹介します。スリランカ出身のラシタ・エリヤーワさん(甲府南ロータリークラブ会員)です。人懐こい笑顔ではきはきと話すラシタさんは、米山支援の意義、ロータリーにとっての米山の価値、そして世界平和にとっての重要性を物語る人です。

2001年、スリランカでの内戦で学業が困難となったため来日。山梨学院大学で経営情報学を学んでいたときに米山奨学金について知り、カウンセラー制度に魅力を感じて申請しました。

しかし、あえなく落選。 続きを読む

米山奨学生の視点から【4】:剣道世界選手権に挑む

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楊 敢峰さん(中国、2004-05米山奨学生、筑波大学大学院に留学、世話クラブ:水戸南ロータリークラブ)

楊 敢峰さんとの一問一刀 !

2018年9月14~16日に世界剣道選手権が開かれます。ほとんどの過去大会で日本が優勝しているものの、最近は諸外国チームからの突き上げがすさまじく、幼いころから竹刀を握って育った日本人選手が苦戦を強いられることも珍しくはなくなりました。とくに今回は、いつも接戦となる相手、韓国の地元での開催。優勝への道のりは今までにも増して険しくなりそうです。

そんな中、「剣道は世界平和につながる」と信じて、中国から参加する元米山奨学生がいます。楊敢峰(ヨウカンホウ)さんです。筑波大学大学院で武道を学び、現在、水の都として知られ、高層ビルも立ち並ぶ蘇州で剣道を教えています。 続きを読む

第二の人生を平和活動に捧げる

~川妻二郎氏(東京米山友愛ロータリークラブ会員)とのインタビュー

Kawatsuma原爆で家族や親せきを亡くし、戦後に広島で事業人として一途に働いてきた川妻二郎さん。事業を引退し、現在は東京暮らし。バンクーバーでの平和会議から帰国した翌日のインタビューだったにもかかわらず、身を乗り出し、生き生きとお話しする姿は、とても91歳とは思えません。思わず「お元気の秘訣は?」とお聞きすると、「第二の人生で生まれ変わったから」と冗談っぽく語ります。東京に上京して以来、会員平均年齢が30代だった東京米山友愛ロータリークラブに入会し、若い会員たちと和やかに歓談する姿が印象的です。

『The Rotarian』誌の今年1月号(『ロータリーの友』誌2月号)には、川妻さんの原爆体験を記した記事が掲載されました。そんな川妻さんに、広島での事業人しての人生、そして東京での平和活動家としての第二の人生にいたった経緯についてお話を伺いました。 続きを読む

広島への旅:「記憶」について考える

寄稿者:ロレーナ・ロドリゲス(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学) 

Lorena Hiroshima 2去る3月、国際基督教大学のロータリー平和フェローである私たちは、広島を訪れる機会に恵まれました。東京のホスト地区と広島ロータリークラブによる計らいのおかげで、1945年に投下された原爆を生き延びた方と会ったり、広島平和記念公園と資料館を訪れることができました。広島では、数多くのストーリーが、写真、絵画、慰霊碑、詩、そして被爆した人間以外の生物たち(例えば被爆樹木)など、さまざまな形で語られています。これらのストーリーは、「記憶」と「平和」という私の主なテーマについて、これまでとは違う視点で考えるきっかけを与えてくれました。

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ミャンマーの学生を支え続けて29年

~ 今泉清詞氏(今泉記念ビルマ奨学会創設者、川越ロータリークラブ会員)とのインタビュー

国際ロータリー地区ガバナー(第2570地区)を務めた1993-1994年度、今泉清詞さんは地区のスローガンを「建前より本音  形式より内容を」としました。25年経った今も、その姿勢は変わっていません。

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今泉清詞さん(川越ロータリークラブ会員)。鶴ヶ島市にあるご自宅にて。

戦時中に亡くなった戦友たちのため、そして、ミャンマー人に命を救ってもらった恩返しとして、30 年近く前に今泉記念ビルマ奨学会を設立。約180人ものミャンマー人学生に奨学金を提供してきました。今ではその卒業生たちが奨学会の運営を手伝い、地元鶴ヶ島市(埼玉県)とミャンマーとの交流が進んでいます。鶴ヶ島市で開かれた同奨学会のパーティーには、ミャンマー大使も出席するほど。この縁がきっかけで、鶴ヶ島市が2020年東京オリンピックの際にミャンマー選手団の受入都市になることが決まりました。

今回、94歳にして現役ロータリアンである今泉さんから、ミャンマーやロータリーへの思いを伺いました。 続きを読む

バンクーバーでのRI会長主催平和会議に参加して

寄稿者:中前 緑(東京米山ロータリーEクラブ2750、香港在住)

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分科会の様子

今年2月、私が参加している日米クラブ合同奉仕プロジェクト「Heiwa: Rotary Hiroshima Survivor Trees」チーム関係者が、カナダのバンクーバーで開催されたRI 会長主催平和会議に参加しました。私自身、RI会長主催平和会議には今回で2度目の参加で、バンクーバーは私が20代後半に過ごした懐かしい場所です。

この会議では、松井一實広島市長より川妻二郎パストガバナー(原爆体験者)に託されたビデオメッセージと記念品をお預かりし、広島から平和を願う心をお届けするという大切な役目がありました。会議実行委員会に挨拶に伺ったところ、一同が作業の手をとめ、日本から唯一の講演者である川妻パストガバナーを拍手で迎えていた光景は今でも忘れられません。松井市長はビデオの中で、163カ国7558都市が加盟中の平和首長会議の活動とその意義について語られ、ともに一体となって核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を目指していこうと呼びかけられました。
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国際大会で伝える平和のメッセージ

寄稿者:田村泰三(国際ロータリー第2710地区パストガバナー)ブースの写真1

広島の平和記念資料館には、国際ロータリー元会長数名を含め、世界中から多くの人が訪れます。広島の被害と復興を見た訪問者の多くは、平和を維持することの大切さについて「芳名録」にメッセージを残します。

広島市を含むロータリー第2710地区では、2011年から毎年、ロータリー国際大会にブースを出し、世界の著名人によるこれらの平和のメッセージを「平和を求めるさまざまな意見」として展示し、訪れる人たちに紹介してきました。 続きを読む

私が平和フェローシップを志した理由

寄稿者:宇治川 貴史(第15期生ロータリー平和フェロー、ウプサラ大学)

クラスメートと

クラスメートと

私は大学卒業後の4年間は名古屋でサラリーマンをしていました。とても居心地の良い会社だったのですが、国際協力に携わるという夢を叶えるため、一念発起してNGOに転職しました。そして、2013年12月からの2年7ヶ月間、スーダン共和国でNGO駐在員として働いていました。

 平和フェローシップとの出会い

スーダンでは長年にわたり紛争が続いており、広大な土地に地雷が埋設され、不発弾が遺棄されています。そして、その地雷や不発弾による事故で、手足や命を失う人が絶えません。 続きを読む

平和の心を世界に広げる樹木

寄稿者:関 博子(東京米山友愛ロータリークラブ)

Tsubaki California

Storrier Stearns 日本庭園に植えられた被爆樹木二世の椿

国際大会中の6月12日、アトランタにあるカーターセンターで、広島原爆を生き延びた被爆樹木二世のイチョウの正式な植樹が行われました。カーターセンターは、ノーベル平和賞受賞者カーター元米大統領により設立された施設です。

当日はあいにくの大雨で、当初予定していた屋外での植樹はなくなり、室内でのセレモニーとなりました。田中作次元会長も出席され、ジャーム会長やカーターセンターCEOが挨拶されたほか、広島出身の川妻二郎パストガバナーがスピーチされ、被爆樹木の証明書が贈呈されました。セレモニーの後には、雨の中、庭に植えられていた被爆樹木を各自見学しました。一般の方にも見ていただける緑の美しい庭園内にあります。 続きを読む

平和フェローとの出会い

寄稿者: 水野 正男 (埼玉県、上尾西ロータリークラブ)

平和フェローに出会ってから、私のロータリーライフに新しいページが増えましたIMG_5984

私自身、ロータリークラブ入会前よりイスラエルやヨーロッパを中心とする諸外国から産業用工具を輸入する会社を経営していたので、外国人との交流は多かったのです。クラブへの入会を地域の人たちとの交流のためと考えていたのですが、イスラエルの会社との合弁会社を経営していたこともあり、普段の仕事では常に海外の人たちに囲まれて生活していました。

上尾西ロータリークラブに入会して7年後に、 続きを読む