「多様性・公平さ・インクルージョン」から未来を語る

~小原ブラスさんと一ノ瀬メイさんを迎えたトークイベント

寄稿者:比留間 孝司(東京武蔵村山ロータリークラブ会員、国際ロータリー第2580地区青少年奉仕部門長、地区学友フェローズ委員)

(左から)嶋村文男ガバナー、一ノ瀬メイさん、小原ブラスさん

国際ロータリー第2580地区学友フェローズ委員会は、2023年3月5日(日)東京都江戸川区のタワーホール船堀にて「Rotary Future Festa ~語ろう!私たちの多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)~」というイベントを開催しました。これは、ロータリー会員とロータリーファミリーとが交流を深めながら、「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」をテーマに未来を一緒に考えてみようという企画です。当日は午前・午後の二部構成で進行しました。

自分の内にあるものを深める:小原ブラスさんとのトーク

「『多様性』から未来をひらく」をテーマとする午前のオープンフォーラムでは、ゲストにロシア出身のコラムニスト・テレビコメンテーターとして活躍する小原ブラスさんを迎え、スペシャルトークを行いました。このフォーラムには、地元の高校生たちにも参加してもらいました。

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みんなが安全にプレーできるバリアフリーの野球場

入念な立案とパートナーシップで実現したロータリーのプロジェクト

寄稿者:キース・ブロック(ファーゴ・ムーアヘッドAMロータリークラブ会員、米国ミネソタ州第5580地区パストガバナー)

バリアフリーの「ミラクルフィールド」球場は、障がいのある子どもも安全に野球が楽しめるようにゴム引きされています。

2010年春、ロータリー会員たちから、障がいのある子どもも安全に野球が楽しめるゴム引きのバリアフリー球場「ミラクルフィールド」を作るというアイデアを持ちかけられました。私のクラブを含む近隣5クラブが合同で設立した「ファーゴ・ムーアヘッド・ロータリー財団」(以下「FMR財団」)では、その5年前にも、ロータリー創立100周年記念として、障がいのある子も一緒に遊べるインクルーシブな公園をファーゴ市内に作っていました。このため、「ミラクルフィールド」はFMR財団にふさわしいプロジェクトのように思われました。

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視覚障がい者も自転車に乗るチャンスを

記事:Seoha Lee
写真:Seongjoon Cho

ペアを組んで自転車に乗ったキム・ミンホさん(クラブ会員)とリー・サンミンさん。

10月下旬のある朝、韓国のチョンジュ・ドリーム・ロータリークラブ会員たちがボランティアと一緒にチョンジュ市の川沿いの公園に集まりました。そこで行われるのは、4時間のタンデム自転車イベント。参加する視覚障がい者たちがやってくると、その場の雰囲気が一気に盛り上がりました。

過去5年間、このクラブは毎年、地元の視覚障がい者グループホームに住む人たちのためにタンデム自転車イベントを開催してきました。この施設の住人の多くはほかの障がいも抱えており、一対一でのケアを必要とします。このため、施設外に出るチャンスがほとんどありません。昨年のイベントは新型コロナのため今年5月に延期されましたが、今年のイベントは予定通り10月に開催されました。

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参加者の基盤を広げる

行動計画シリーズその2:ハリデイさんにお聞きしました

Q. ロータリーの行動計画は、参加者の基盤を広げることを呼びかけています。単に会員数を増やすというだけではなく、会員基盤についてどのようにもっと幅広く考えることができるでしょうか。

ハリデイ:これまでは会員数の目標、つまり「何名が入会したか?」に主な焦点を置いてきました。しかし、ロータリーが強く、効果的となり、次世代のリーダーを育てたいと願うのであれば、もっと多くの人を歓迎し、その後もずっとロータリーが居心地の良い場所であると感じてもらえるようにする必要があります。これは、もっと多様でインクルーシブ(包摂的)になり、すべての人に公平な機会を与えなければならないことを意味します。

Q. ロータリーが参加者の基盤を広げる上で、多様性、公平さ、インクルージョン(DEI)が重要なのはなぜですか。

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理数系分野のジェンダーギャップ解消をめざす

~女子高校生を対象としたワークショップでIT分野や社会問題への意識を喚起

寄稿者:川妻 利絵(広島西ロータリークラブ会員)

近年、理数系分野におけるジェンダーギャップが世界中の課題となっています。その中でも日本は、2021年ジェンダー平等指数が156カ国中120位であり、特に、大学の理数系分野における女性の割合はOECD加盟国では最下位というデータも発表されています。日本ではいまだに「理系=男性」という固定概念が強く、保護者や教員、教材が女子生徒を理数系選択から引き離しているとも言われています。

IOT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの新興技術の台頭で第4次産業革命の波が訪れている中、IT産業におけるジェンダーギャップは世界的課題として注目されています。わが国でもIT分野におけるジェンダーギャップの是正は重要性が高く、教育を通して課題解決することが必要と考えられていますが、特に地方都市ではIT分野を学ぶ環境が充分ではありません。

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ロータリーに存在する障壁について正直に話してみる

寄稿者:ブライアン・ラッシュ

(編集者メモ: ロータリーは2020年 9 月、ロータリーにおけるDEIの現状を評価し、組織全体でDEIを実践するための行動計画づくりを担うタスクフォースを結成しました。本ブログでは、タスクフォース委員のブライアン・ラッシュさんより、お話をお伺いしました。)

Q: ノーベル平和受賞者であるデズモンド・ツツ大司教やダライ・ラマ氏との共同作業を行った経験をお持ちですが、その経験からDEIについて学んだ重要なポイントは何ですか?

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倫理的ジレンマ:あなたならどうする?(例会場でのパワハラ)

回答者:日本のロータリーコーディネーター

今回の「倫理的ジレンマ」では、近年ニュースで取り上げられることが増えた「パワーハラスメント」への対応について検討します。次のシナリオについて、日本の3名のロータリーコーディネーター(RC)にご意見をお伺いしました。

あるクラブは、長年、同じレストランで例会を開いてきました。クラブ会員はこの会場を気に入っており、場所も便利だと言っています。しかし最近、レストランのスタッフ数名が辞職し、経営者(ロータリー会員ではない)が深刻なパワーハラスメントを行ったことで、パワハラ防止法に基づく勧告を受けたことが明らかになりました。

クラブには直接の関係がないことですが、近年の「パワハラ」への関心・認識の向上と相まって、レストランに対する批判が地域社会で厳しくなっています。レストランとクラブの関係は良好ですが、一部の会員は新しい例会場を検討すべきだと感じています。こんなとき、あなたがクラブリーダーならどうしますか?
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彼は砂糖を入れますか? 障がい者のインクルージョン

寄稿者:ジェレミー・オッパーマン(ロータリーDEIタスクフォース委員、ニューランズ・ロータリークラブ会員[南アフリカ])

最近、スーパーのレジでカードの暗証番号を入力し終えたときのことです。レジ係の人が、そこにいた私の友人に「(目が見えない)彼はどうして、どのボタンを押せばいいか知っているの?」と尋ねました。

私はそういう質問に慣れていたので、友人がどのような反応をするか興味深く待つことにしました。不思議なことに、障がいのある人に会うと、多くの人は本人に直接声をかけるのではなく、一緒にいる人に声をかけることが多いのです。

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「真実かどうか」

寄稿者:ジェレミー・オッパーマン(Newlandsロータリークラブ会員[南アフリカ]、ロータリーDEIタスクフォースメンバー

「大主教さん(The Arch)」の愛称で親しまれているノーベル平和賞受賞者、デズモンド・ツツ名誉大主教(※)の誕生日イベントを見ていた私は、国際的に尊敬されているリーダーたちからのメッセージを聞いて驚きました。それらはいずれも、感情的で大げさなお決まりの賛辞ではなかったからです。

南アフリカの大学教授であるトゥリ・マドンセラ氏、二人の元大統領(南アのマンデラ元大統領、モザンビークのマシェル元大統領)の未亡人であるグラサ・マシェル氏、アイルランド元大統領で国連特別顧問(環境)のメアリー・ロビンソン氏は、ツツ大主教への心のこもった短いメッセージを述べた後、すぐに「真実」について語り始めました。

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人の力とつながり:2022-23会長テーマのロゴ

イマジン ロータリー」。これが、ジェニファー・ジョーンズ会長エレクトが、2022年1月20日(木)に発表した2022-23年度会長テーマです。ジョーンズ氏は、大きな夢を抱き、行動を起こすことをロータリー会員に求めています。「私たちには皆、夢があります。しかし、その実現のために行動するかどうかを決めるのは私たちです。想像してください、私たちがベストを尽くせる世界を。私たちは毎朝目覚めるとき、その世界に変化をもたらせると知っています」

このテーマロゴと2023年国際大会のロゴは、オーストラリア先住民族の現代アート、デザイン、コミュニケーションを専門とするアーティストでグラフィックデザイナーのリキ・サラム氏(Riki Salam)によってデザインされました。ケアンズのYidindjiの地で生まれ育ったサラム氏は、父方がMuralag、Kala Lagaw Ya、Meriam Mer、Kuku Yalanjiの人びと、母方がニュージーランド南部の島に住むNgai Tahuの人びととのつながりを持っています。

このロゴは、オーストラリア先住民族の現代アート、デザイン、コミュニケーションを専門とするアーティストでグラフィックデザイナーのリキ・サラム氏(Riki Salam)によってデザインされました。サラム氏は、メルボルンで開催される2023年ロータリー国際大会のロゴも手がけており、二つのロゴを視覚的な共通言語で結び付けています。

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医療業界でバリアフリーの必要性を伝える

~自身の障がいを受容し、チャレンジし続けるロータリー元奨学生

寄稿者:野口万里子(2002~2003年度ロータリー財団奨学生)

不安を抱えながらドイツに留学

「障がい者もおしゃれし、みんなと同じステージで輝く場所があっていい」と思い、ミセスコンテストにチャレンジした野口さん。

私は、ロータリー財団の国際親善奨学生として、ドイツ・フランクフルトへ異文化体験留学をさせていただきました。大学卒業直後で22歳の時でした。

私自身オランダ生まれで2歳で帰国し、幼少時より外国は身近であり、海外で勉強するという夢を抱いていました。多くの国を見て、一人で外国へ行けるようになることを望んでいました。

2002年8月、大阪よりフランクフルト空港に到着。最初はとても大きな不安を抱いていました。本当にフランクフルトで生活できるのだろうか。なぜならば、私は生まれつきの聴覚障がいだからです。胎内時に母が風疹を発病したため、難聴児として出生しました。加えて、重度聴覚障がいにより独特の発音です。

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障がい者インクルージョンのパラダイム転換

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第8回

2020年9月、ロータリーは組織内における多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の現状を評価し、ロータリー全体でDEIの価値と実践を推進するための包括的な行動計画を作成することを目的に、DEIタスクフォースを設置しました。一連のブログ記事で、タスクフォースの取り組みと「多様性・公平さ・インクルージョン(包摂)」の重要性について、メンバーの方々に伺っていきます。第四弾となる今回は、ジェレミー・オッパーマンさんにインタビューします。

Q:ご自身も障がい者であることは、障がい者問題についての考え方にどのように影響したと思いますか。

オッパーマン:私は、自分が盲目だから多様性や障がい者の公平さを推進するスペシャリストになったわけではありません。その前に10年以上、満足できるキャリアに就いていましたから。ただし、盲目であることによって、この主題について真実味をもって話せるという利点はあります。障がいを身をもって体験し理解している私は、十分な理解と共感をもってこの問題を扱うことができます。

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DEIで大切なのは小さな変化で一歩ずつ前進すること

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第7回

2020年9月、ロータリーは組織内における多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の現状を評価し、ロータリー全体でDEIの価値と実践を推進するための包括的な行動計画を作成することを目的に、DEIタスクフォースを設置しました。一連のブログ記事で、タスクフォースの取り組みと「多様性・公平さ・インクルージョン(包摂)」の重要性について、メンバーの方々に伺っていきます。第三弾となる今回は、トッド・ジェンキンズさんにインタビューします。

Q:ウォルマート、グーグル、フェイスブック、アメリカン航空、ケロッグといった大手企業と仕事をされてきましたが、DEIという点でロータリーはこれらの企業から何を学ぶことができますか。

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ロータリーDEIタスクフォースとの対話

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第6回

2020年9月、ロータリーは組織内における多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の現状を評価し、ロータリー全体でDEIの価値と実践を推進するための包括的な行動計画を作成することを目的に、DEIタスクフォースを設置しました。今後の一連のブログ記事では、タスクフォースの取り組みと「多様性・公平さ・インクルージョン(包摂)」の重要性について、メンバーの方々に伺っていきます。第二弾となる今回は、タスクフォースの委員長であるバレリー・ウェイファーRI副会長にインタビューします。

Q: ティムホートンズ(カナダのコーヒー・ドーナツチェーン)のフランチャイズ店を経営されていますが、インクルーシブ(包摂的)な従業員の雇用で知られていますね。インクルージョンを優先した事業経営が他社との競合において有利になることを、直に学んでこられたと思います。ロータリーのような団体にとって、DEIを文化の一部とし、運営のアプローチとして積極的に取り入れることには、長期的にどのようなメリットがあるでしょうか。

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適応力であなたのRYLAを創造する

寄稿者:カレン C. ローブ(米国コロラド州のロータリー会員)

ロータリーで最近、「多様性、公平さ、インクルージョン」(DEI)という言葉をよく耳にします。DEIと聞いて、RYLA(ロータリー青少年指導者養成プログラム)を思い浮かべる人はいないかもしれませんが、RYLAでもDEIを強化することができます。

第5450地区(米国コロラド州)では、「RYLAプラス」と銘打った、障がいのある青少年を対象とする活動を行っており、障がい者支援団体Easterseals Coloradoとの提携の下、障がい者法に準拠した施設でユニークなプログラムを開催しています。参加者のニーズをサポートするため、訓練された医療スタッフとカウンセラーが配置されています。「1週間でうちの子に何をしたの?」と言う保護者もいますが、それは参加者のポジティブな変化を目の当たりにし、誇りをもってそういってるのです。

個人的な動機

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DEIの文化はロータリーにとってなぜ大切なのか

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第5回

ロータリーは2020年9月、組織内における多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の現状を評価し、ロータリー全体でDEIの価値と実践を推進するための包括的な行動計画を作成することを目的に、DEIタスクフォースを設置しました。今後の一連のブログ記事では、タスクフォースの取り組みと「多様性・公平さ・インクルージョン(包摂)」の重要性について、メンバーの方々に伺っていきます。第一弾となる今回は、ケイティ・ハリデーさんにインタビューしました。

問:ロータリーのDEIタスクフォースのメンバーとして、DEIの実践と理解の促進においてロータリーが抱えている課題は何だと思いますか。これらの課題を克服するには、何が必要でしょうか。

ハリデー:ロータリー特有の課題は、組織の巨大さです。世界各国の文化の違いもあります。また、DEIに疎い企業や組織で働く会員のいるクラブは、この取り組みやDEIという点で自分たちに何が求められているのかをよく理解していないことがあります。

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ロータリーでハラスメントのない環境をつくる

寄稿者:ケイティ・ハリデー(アデレードライト・ロータリークラブ会員)

ロータリーにハラスメントが存在する余地はありません。ハラスメントがあったら、誰も入会したり、ロータリーで活動を続けたいとは思わないでしょう。

会合、行事、活動でハラスメントのない環境を維持するというロータリーの方針は、ハラスメントが一切容認されないことを明確に述べています。クラブ会長をはじめ、ロータリーの全リーダーがハラスメントに関するロータリーの方針について毎年研修を受けることも規定されています。

しかし、ロータリーでハラスメントをなくすことは、リーダーだけの仕事でしょうか。ハラスメントを認めず、無視せず、言い訳しない文化をつくり、維持する責任は、私たち一人ひとりにあります。

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日本のマイノリティに光をあてる平和フェロー

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第4回

寄稿者:ファラ・ハスナイン(国際基督教大学 ロータリー平和フェロー)

「私の目標は、アメリカに対する生徒たちの見方を変えること。日本での英語教員は白人が圧倒的多数ですが、アメリカの真のアイデンティティがいかに多様で多面的であるかを身をもって示したいと思います」

2014年、日本の高校での英語教員としてJETプログラムに参加するため、私は申請書にこう書きました。当時、このことが私の日本生活にどれほどのインパクトを与えるかは想像もしていませんでした。教壇に立ち、居眠りする生徒を起こし、日本のコピー機の使い方に頭を悩ませる毎日を過ごすうち、浜松市(静岡県)の田園風景と工場の煙の中に、もう一つの世界が存在することを少しずつ意識するようになりました。

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共通言語は日本語:多国籍の新世代クラブ

寄稿者:阮 潔(さいたま大空ロータリークラブ会員)

例会がそのまま国際交流に

クラブ会員たち(写真一番右が阮さん)

私たち「さいたま大空ロータリークラブ」は、ロータリー財団の学友と米山記念奨学金の学友から成るクラブです。会員は7つの国と地域の出身で、平均年齢は30代後半、女性が多いのも特徴です。中国に在住し、遠隔で例会に参加している会員もいます。共通言語は日本語です。

一番の醍醐味は、クラブでの例会が、そのまま国際交流であることです。国際色豊かなメンバーと一緒にいる中で、お互いに異国文化や習慣に触れあい、国際理解を深めることができます。

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LGBTQ+の人びとが参加しやすいクラブづくりを

~「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第3回

寄稿者:グラント・ゴディノ(LGBTと仲間のロータリアン親睦活動グループ会長エレクト、Strathmoreロータリークラブ[オーストラリア]会員)

LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、クエスチョニング、ジェンダー多様性)の人たちが参加しやすいロータリーについて私がアイデアや意見や事例を話すと、多くのリーダーがこう言います。「うちのクラブ/地区の会員はいい人ばかりで、悪い人はいない。だから問題ないだろう?」と。また、「なぜロータリーがそんな政治的なことをしているのか」とか「私の地元にはゲイはいない」といった言葉も耳にします。

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「多様性・公平さ・インクルージョン(包摂)」をローターアクターが推進

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第2回

寄稿者:ジャネル・ブリーン(Cupertinoロータリークラブ、Silicon Valleyローターアクトクラブ会員、Big Westローターアクト多地区合同情報組織 代表)

2019年10月に米国シカゴでロータリー主催により開催された「多様性・公平さ・インクルージョン」に関するパネルディスカッションの出席者たち

ちょっとした連想ゲームをしてみましょう。私はアメリカ人です。そう聞いて、皆さんは私についてどんなことを想定しますか?

私の両親はフィリピンからの移民です。こう聞いて、その想定が変ったでしょうか。

私たちは無意識に、ほとんど知らない人について思い込みをします。誰でも、多少の偏見を持っているものです。そのように社会から教えられているからです。実際、私が住む社会でそうであるように、肌の色が薄いのが普遍的な美であると、どのようにして定義づけられてしまったのでしょうか。しかし、私たちはこれを変えることができます。意識を高めさえすれば、このような考えに立ち向かうことができます。自己防衛に走るのではなく、世界に対する人びとの見方が変わってきていることを認め、この新たな認識を行動に反映させていく必要があります。

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中核的価値観としての「多様性」

ホルガー・クナークRI会長とのインタビュー/「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第1回

By デイブ・キング(RIBI『Rotary』誌編集者)

「もちろん、これからの10年がどうなるかは誰にもわかりませんが、どうなろうと、私たちが果たすべき特別な責任を常に意識しなければなりません。なぜなら、ロータリーで私たちは公平さ、寛容、平和という価値観を信じているからです。今まさに、世界各地で『寛容』の重要性が高まっています。ロータリーとは政治的な団体ではなく、これからもそうあってはなりませんが、明らかに間違ったことがあれば、目を背けることはできません。ロータリアンは沈黙してはなりません。私たちは、ロータリーの価値観と「四つのテスト」を身をもって示します。私たちの真価は、結果だけでなく、態度で試されるのです」 ホルガー・クナーク(2020年1月24日)

2020-21年度RI会長ホルガー・クナーク氏。ドイツ、ラッツェルブルグの自宅前にて。

今年はじめ、サンディエゴ(米国)で開かれた国際協議会の講演で、ロータリー会長エレクトだったホルガー・クナーク氏がこう語ったとき、その3カ月後にこれらの言葉がいかに予言的なものとなるかを知っていた人はいませんでした。

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ロータリーにもっと多くの女性の参加を

寄稿者:シンディ・ドラ(第34ゾーン・ロータリーコーディネーター補佐、Fort Myers Southロータリークラブ[米国]会員)

30年ほど前、私はロータリーに入会したいと思っていました。入会を希望する旨をあるクラブに伝えましたが、「銀行員の入会はもう受け付けていない」と言われました(当時、ロータリークラブが職業に基づいて入会者数を制限することがよくありました)。1カ月後、そのクラブに男性の新会員が入会したことを知りましたが、その人は銀行員でした。

ロータリアンになりたいという思いが強かった私は、その後間もなく、私を喜んで受け入れてくれるクラブを見つけました。以来、28年間、会員として誇りを抱きつづけています。しかし、ロータリークラブ入会を希望する女性にとって、障壁は今も存在します。全世界の女性会員の割合はわずか23%であり、もっと改善できるはずです。何としてでも、私たちはリーダーとして、誰もがロータリーに歓迎されていることを地域社会に示す必要があります。

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ハーフとしての人生を伝える

~ドキュメンタリ―映画『HAFU』を製作

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映画撮影中の西倉さん。

By 西倉めぐみ(2006-2008年度 ロータリー平和フェロー)

rv2020_minidokaasiasociety-1私のキャリアを形成した3つの重要な瞬間があります。最初は6歳の時でした。日本人の父とアメリカ人の母がハワイのパール・ハーバー国立記念館に連れて行ってくれました。戦艦アリゾナの残骸を見た時、私が属する2つの国がかつて戦争をしていたことを知ってショックを受けました。後に、両祖父母の国が敵として戦っていたこと、終戦から25年後、両祖父母は自分の子のパートナーを憎むことなく家族に迎え入れたことを知りました。

2番目の瞬間は2011年9月11日。私は当時、ニューヨーク大学の4年生で、映画について学んでいました。 続きを読む

2019年の活動を振り返り 2020年の奉仕を発展させる

昨年、数多くのプロジェクトが日本のクラブ・地区によって実施され、その一部が本ブログで紹介されました。いずれも素晴らしい活動ですので、以下にご紹介します(青字のリンクをクリックすると記事に移動します)。2020年も大きな変化を生み出すたくさんのプロジェクトが実施されますように!Untitled design (2)

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「学友参加推進週間」に寄せて ~ブリタニー・アーサーさんとのインタビュー~

10月7~13日はロータリーの「学友参加推進週間」です。世界中のロータリー学友による活動にスポットライトをあてるほか、ロータリークラブが地元の学友とのつながりを深め、一緒に協力する機会をつくるきっかけとする週間でもあります。

学友のひとつであるローターアクターにとって、2019年は重要な年になったと言えるでしょう。4月に行われた規定審議会で、ローターアクトがRIに正式加盟することが認められました。これにより、ローターアクトの立場が向上し、ロータリーからローターアクトへの支援が強化されることとなりました。

今回のブログでは、元ローターアクターで、現在はロータリーで活躍する若きリーダーであり、日本在住のブリタニー・アーサーさんに、これまでの経験や今後ローターアクトに期待することなどを伺いました。IMG_7458 続きを読む

よりインクルーシブなクラブをつくる3つの方法

寄稿者:ケイティ・ハリデー(アデレードシティ・ローターアクトクラブならびにアデレードライト・ロータリークラブ会員)(オーストラリア)

ロータリーでは最近、「多様性、公平さ、インクルージョンに関する国際ロータリーの方針」が採択されました。これは、ロータリーがインクルージョンを重視しているという力強いメッセージとなっています。世界中にクラブを擁するロータリーでは、さまざな層の人たちにインパクトをもたらす奉仕プロジェクトが実施されています。この意味でロータリーはすでに多様性がありますが、多様性がもたらすメリットを最大のものとするには、「インクルージョン」が重要なカギとなります。inclusion

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東京オリンピックに向けて日本流おもてなし:ブラジルについて学ぼう!

寄稿者:名高祐子(相模原橋本ロータリークラブ、社会奉仕委員長)DSC_0690-2

ポンデケージョ、エスペチーニョ、ムケッカ...皆さんはめしあがったことがありますか?

2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催となり、相模原ではブラジルチーム8競技の事前キャンプが実施されます。そこで当クラブでは4月、『ブラジルってどんな国』と題し、ブラジルについて理解を深めるためのイベントを開催しました。地球のちょうど反対側からお越しの 続きを読む

ロータリーと女性(パート3)

寄稿者:西村明美(神崎ロータリークラブ)

ロータリーに入会して8年目だった昨年度(2018‐19年度)、クラブ会長という役柄をまさしく自分の干支のごとく猪突猛進しながら果たすことができました。

私が所属する神埼ロータリークラブは、生粋の九州男児で成り立つ、いわゆる受けた盃は必ず返す強者ぞろい。そんな中に仕事がらみで入会させていただいたのが運の尽き。いえ、その真逆で運が付き、善きことが雪崩のようにやってきました。 続きを読む

脱北者のロータリークラブ

【クラブ会長とのインタビュー】1042

大半の会員が脱北者であるロータリークラブが韓国にあります。蔚山自由(Ulsan Jayu)ロータリークラブです。韓国には、命を落とすリスクを冒して北から逃れてきても、その後の生活で困難を経験する人びとが大勢います。そのような中、脱北者が安らぎを得て、誇りをもって新天地で活躍できるよう、韓国のロータリークラブが人道的奉仕プロジェクトを実施しています。

この度、同クラブの会長であるソギ・ジュユンさん(Ju-Eun Seok)に、自らの脱北経験と彼女の人生におけるロータリーの意味についてお話しいただきました。

—— 韓国に逃れてくる前に、どのような困難を経験されましたか?

1997年に、高校の友人と一緒に国境の川を渡って北朝鮮から抜け出しました。 続きを読む

ローターアクターとして国際協議会に参加して

バリー・ラシン会長と一緒に

第2700地区ローターアクト代表
福岡南ローターアクトクラブ所属
村上弘晃

2019年1月、アメリカのサンディエゴで開催されたロータリー国際協議会では、史上初めて、ローターアクターが協議会に参加するという新たな試みがありました。これにあたっては、2019‐20年度RI会長となるマーク・ダニエル・マローニーさんの強い想いがあったと聞いています。

そんな記念すべき大会に、私は出席者として選ばれました。世界中から選ばれたローターアクターは60人、その中で日本人は僅か3人。その事実を知ったとき、私はこの協議会へ参加できることへの幸運とともに、強い責任を感じました。協議会が近づくにつれ、徐々に緊張が増していたのを覚えています。

今回の参加を振り返って感じたことを3点、以下に書かせていただきます。 続きを読む

ロータリーと女性(パート2)

寄稿者:伊藤千恵(東京恵比寿ロータリークラブ)

「男性も女性も年長者も若い人も外国の人も、さまざまな人が会員として活躍する新しいロータリークラブをつくるんだ」

そう力を込めて語る東京恵比寿ロータリークラブの設立会長にお声がけいただき、入会させていたのは、1995年のことでした。今で言う「ダイバーシティ(Diversity)」のクラブの誕生。男性31名、女性17名でのスタートでした。チャーターナイトまでの準備では、「バナーはクラブ名の恵比寿に因んで、七福神の一神の恵比寿様にしよう」「名札やロースターの色は女性もいるクラブらしくワインレッドにしよう」などなど、女性らしい意見を多く取り入れ、女性が中心となって活躍しました。

東京恵比寿ロータリークラブ歴代女性会長たちとポールハリスの肖像画を囲んで

ポール・ハリスの肖像画を囲んで(右から2番目が筆者)

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どのようにロータリーで革新性を発揮するか?

By ジョン・ヒューコ(国際ロータリー事務総長、キエフ・ロータリークラブ会員)

革新性と柔軟性 ― この二つの言葉は、急変する環境に適応する組織について話をするとき、よく耳にする言葉です。ではロータリーにとって、これらは何を意味するのでしょうか。

GS2019IAspeechひと言でいえば、革新性と柔軟性は、 続きを読む

米山奨学生の底知れぬ可能性にふれて

~ ロータリアンとなった元・米山奨学生から奨学生に潜在する力について学ぶ ~

日本のロータリーが世界に誇る米山記念奨学会にとって、2018年は躍進の年となったのではないでしょうか。昨年の財団設立50周年に続き、2月には米山梅吉氏の生誕150周年行事が盛大に開催。ロータリー会員からの支援を受け、これからも米山の歴史は語り継がれ、未来の平和を担う奨学生が育っていくことでしょう。

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ラシタ・エリヤーワさん

本稿では、ひとりの元米山奨学生をご紹介します。スリランカ出身のラシタ・エリヤーワさん(甲府南ロータリークラブ会員)です。人懐こい笑顔ではきはきと話すラシタさんは、米山支援の意義、ロータリーにとっての米山の価値、そして世界平和にとっての重要性を物語る人です。

2001年、スリランカでの内戦で学業が困難となったため来日。山梨学院大学で経営情報学を学んでいたときに米山奨学金について知り、カウンセラー制度に魅力を感じて申請しました。

しかし、あえなく落選。 続きを読む

ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)コミュニティの親睦活動グループが結成

By ショーン・オハラ
LGBTと仲間のロータリアン親睦活動グループ(LGBT RAF)委員長

toronto-convention私は2年半前に、新クラブの初代会長としてロータリーに入会しました。しかし当時は、何を求めて入会したのか、自分でもよく分かっていませんでした。高校生のときにインターアクトクラブに所属し、大学でも1年間ローターアクトに入りましたが、「ロータリーでの豊富な経験」と言えるほどではありません。それでもクラブ結成について地元のパストガバナーに話をもちかけると、一も二もなくサポートしてくれました。 続きを読む

米山奨学生の視点から【2】:日本のリハビリ医療をアフリカで生かす

寄稿者: アドゥアヨム・アヘゴ・アクエテビ(米山奨学生、トーゴ出身)

私は、最新の義肢装具と福祉機器を研究するため日本に来ました。2013年に新潟医療福祉大学大学院に入学し、2年目に米山奨学生として研究に打ち込み、現在、博士後期課程で三次元動作解析装置*を用いた研究を進めています。Ahego 1
* 関節の動作を細かく記録する装置

下肢の切断、依存、孤立

研究の一環で、アフリカでの義肢装具に関する現状を調査しました。

サハラ以南のアフリカには7,800万人を超える障がい者がいます。しかし、リハビリ施設が不足しています。義足を買おうにも、高価であるため購入は困難となります。 続きを読む

視覚障害を乗り越えてネパール初の青少年交換留学生に

寄稿者:シーマ・タマン(ネパール、カトマンズからのロータリー青少年交換留学生)

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フェイスペイントをしてもらうシーマさん

2016年から2017年にかけての1年間、私はネパールから初のロータリー青少年交換学生としてアメリカに留学しました。視覚障害で目が見えない私にとって、ネパールとは何もかも違うアメリカでの生活は、とても不安でした。母国では姉妹や寮の友だちと同じ部屋で寝起きする生活でしたが、ホストファミリーの家では自分の部屋がありました。

最初のホストファミリーはローゼスさん一家で、次はカムラズさん一家でした。大きな家に住むのは初めてで、わくわくしました。安全に動き回れるよう、まずは家中すべての部屋を探検し、どこに何があるかの感覚をつかむことにしました。今思い出すと可笑しいのは、到着したばかりの頃、ネパールのようにトイレを流す水が入ったバケツはどこにあるのかと、ホストファミリーのお母さんに尋ねたことです。 続きを読む

米山奨学生の視点から【1】:矛盾から希望へ そして更なる光へ

寄稿者: 黄セミ(米山奨学生、韓日同時通訳者)1

「武秀」

これだけでは、韓国名なのか、日本名なのか、それとも中国名なのか区別がつかないでしょう。

父、武秀は日本の植民地時代に生まれ、創氏改名政策によって日本名がつけられました。同年代の多くの人がそうであるように、父は日本に対する反感が強かったのです。若い頃は、会社が呼び寄せた日本人から技術を教えてもらうことに耐えられず、独学で日本語を勉強し、技術で彼らを抜いてしまったそうです。また、テレビで日本の話が出るとチャンネルを変えるくらい、父にとって日本は家族や周りの人たちの苦労を思い出させる痛ましい過去のようでした。

そのような父が、 続きを読む