日本留学で出会った被爆者との再会

~元平和フェローである私が考えた積極的平和と核軍縮の関係

記事:ロレーナ・ロドリゲス(2017-19年度ロータリー平和フェロー)

カリフォルニアで再会した川妻さん(右)と。

宿命、運命……。それを何と呼ぼうと、私は「偶然」というものは信じていません。私たちの体験は、自然、数、時間、事象、観念といった繊細な体系の中に織り交ざっています。最近に起こったいくつかの非偶然的なできごとも、私のこれまでの人生体験が紡いできた一本の糸とつながり、この記事を書くにいたっています。

ここに紹介する私のストーリーは、ロータリー平和フェローシップで修士号取得のために日本に留学し、初めて被爆者に出会ったときから、ロータリー積極的平和アクティベーターとなった最近までの、5年間にわたるストーリーです。

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シリアの子どもたちを守る

寄稿者:ムーイー・ヤン(2019-21年度ロータリー平和フェロー、ウプサラ大学)

運動場の清掃のあとにゴールネットを修繕する生徒たち。
ムーイー・ヤンさん

10年前、もし誰かに「あなたは紛争後の国に非営利の学校を設立するだろう」と言われたら、私はきっと笑い飛ばしていたでしょう。当時、私は商品取引会社のセールス担当としてクライアントの訪問や炭鉱の視察をしていました。

同僚たちとクライアントを訪問したときのことです。私は、炭鉱で子どもが働いているのを見て驚きました。10歳に満たないような子もいました。そのクライアントは、就労の法的年齢に達していない子がいる事実を隠していたことを認めました。

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日本のマイノリティに光をあてる平和フェロー

「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」シリーズ第4回

寄稿者:ファラ・ハスナイン(国際基督教大学 ロータリー平和フェロー)

「私の目標は、アメリカに対する生徒たちの見方を変えること。日本での英語教員は白人が圧倒的多数ですが、アメリカの真のアイデンティティがいかに多様で多面的であるかを身をもって示したいと思います」

2014年、日本の高校での英語教員としてJETプログラムに参加するため、私は申請書にこう書きました。当時、このことが私の日本生活にどれほどのインパクトを与えるかは想像もしていませんでした。教壇に立ち、居眠りする生徒を起こし、日本のコピー機の使い方に頭を悩ませる毎日を過ごすうち、浜松市(静岡県)の田園風景と工場の煙の中に、もう一つの世界が存在することを少しずつ意識するようになりました。

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母の夢

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姪に囲まれたReem Ghunaimさん(写真提供:Moataz Al Sadey)

By Reem Ghunaim

私は、パレスチナ出身のロータリー平和フェローです。母は1948年に家族とともに難民となり、父の村でも1967年に村民全員が避難を余儀なくされました。私の家族の半分近くがパレスチナ難民です。 続きを読む

ハーフとしての人生を伝える

~ドキュメンタリ―映画『HAFU』を製作

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映画撮影中の西倉さん。

By 西倉めぐみ(2006-2008年度 ロータリー平和フェロー)

rv2020_minidokaasiasociety-1私のキャリアを形成した3つの重要な瞬間があります。最初は6歳の時でした。日本人の父とアメリカ人の母がハワイのパール・ハーバー国立記念館に連れて行ってくれました。戦艦アリゾナの残骸を見た時、私が属する2つの国がかつて戦争をしていたことを知ってショックを受けました。後に、両祖父母の国が敵として戦っていたこと、終戦から25年後、両祖父母は自分の子のパートナーを憎むことなく家族に迎え入れたことを知りました。

2番目の瞬間は2011年9月11日。私は当時、ニューヨーク大学の4年生で、映画について学んでいました。 続きを読む

私がICU(東京)の平和センターを選んだ理由

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2019年8月にICUで研究開始

2019年の夏、私は国際基督教大学(ICU)にあるロータリー平和センターに18期生として入学します。

私がICUを選んだ10の理由をご紹介します。

1. 異文化への浸透

ICUは東アジアで唯一、ロータリー平和センターがある教育機関です。 続きを読む

自然から学ぶ人間のあり方

寄稿者:ロレーナ・ロドリゲス(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学)

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田島さん(左から2人目)とロドリゲスさん(右端)

去る11月、私は栃木県に住む田島さんの農園を訪ねました。田島さんは、日本の農業家で思想家でもある福岡正信が提唱した「自然農法」を実践しています。福岡正信は、地球の存続と食料生産を両立させる道としての自然農法の確立に人生を捧げた人物です。

近代化により私たちは、より「洗練された」農法、すなわち、より早く作物を収穫し、より少ない肉体労働でより生産性の高い農法を追い求めてきました。社会は「食料生産の産業化こそが、繁栄し効率のよい未来にいたる道」であると信じています。その結果、 続きを読む

広島への旅:「記憶」について考える

寄稿者:ロレーナ・ロドリゲス(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学) 

Lorena Hiroshima 2去る3月、国際基督教大学のロータリー平和フェローである私たちは、広島を訪れる機会に恵まれました。東京のホスト地区と広島ロータリークラブによる計らいのおかげで、1945年に投下された原爆を生き延びた方と会ったり、広島平和記念公園と資料館を訪れることができました。広島では、数多くのストーリーが、写真、絵画、慰霊碑、詩、そして被爆した人間以外の生物たち(例えば被爆樹木)など、さまざまな形で語られています。これらのストーリーは、「記憶」と「平和」という私の主なテーマについて、これまでとは違う視点で考えるきっかけを与えてくれました。

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私が平和フェローシップを志した理由

寄稿者:宇治川 貴史(第15期生ロータリー平和フェロー、ウプサラ大学)

クラスメートと

クラスメートと

私は大学卒業後の4年間は名古屋でサラリーマンをしていました。とても居心地の良い会社だったのですが、国際協力に携わるという夢を叶えるため、一念発起してNGOに転職しました。そして、2013年12月からの2年7ヶ月間、スーダン共和国でNGO駐在員として働いていました。

 平和フェローシップとの出会い

スーダンでは長年にわたり紛争が続いており、広大な土地に地雷が埋設され、不発弾が遺棄されています。そして、その地雷や不発弾による事故で、手足や命を失う人が絶えません。 続きを読む