~小原ブラスさんと一ノ瀬メイさんを迎えたトークイベント
寄稿者:比留間 孝司(東京武蔵村山ロータリークラブ会員、国際ロータリー第2580地区青少年奉仕部門長、地区学友フェローズ委員)

国際ロータリー第2580地区学友フェローズ委員会は、2023年3月5日(日)東京都江戸川区のタワーホール船堀にて「Rotary Future Festa ~語ろう!私たちの多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)~」というイベントを開催しました。これは、ロータリー会員とロータリーファミリーとが交流を深めながら、「多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)」をテーマに未来を一緒に考えてみようという企画です。当日は午前・午後の二部構成で進行しました。
自分の内にあるものを深める:小原ブラスさんとのトーク
「『多様性』から未来をひらく」をテーマとする午前のオープンフォーラムでは、ゲストにロシア出身のコラムニスト・テレビコメンテーターとして活躍する小原ブラスさんを迎え、スペシャルトークを行いました。このフォーラムには、地元の高校生たちにも参加してもらいました。
ブラスさんは「自分だけの正義感を振りかざさない」「人を傷つけないなんて無理」「グレーゾーンは広い方がよい」など、刺激的な表現で分かりやすく話してくれました。「多様性」については、「頭で考えて外側から取り入れる」のではなく「私たちの内側にあるものを深めて行くこと」こそが大切だと語りました。
その上で注目されたのが、この日本で「平和」を語ることの意義です。ブラスさんは、ロシアのウクライナ侵攻以来、厳しい言葉をからけられることが増えたそうです。だからこそ、まず自分自身の安全を第一にしながらぶれずに発信を続けたい、という「軸」が確立できたと言います。言葉を大切にし、語彙力を高めることで思考力も深まるというお話は、会場にいる人たちに強い印象を残しました。
パラリンピック開催で日本社会にも変化:一ノ瀬メイさんを迎えて
午後のパネルディスカッションでは、「多様性」だけでなくDEI全体にわたるトークが行われました。メインパネリストにパラリンピアン・モデルの一ノ瀬メイさんをお迎えし、午前より引き続き小原ブラスさんにも加わっていただきました。
メイさんは高校生時代、「障害って何?」というテーマでスピーチコンテストで優勝した経験があります。また、多様性とインクルージョンについての企業研修で講演した経験もお持ちです。しかし、普段はアスリートとして厳しい競争の世界に身を置き、多様性・寛容性といった話とはやや距離があるような……そんなメイさんからどのようなお話が聞けるのか、関心がありました。
メイさんはこう語りました。「この日本でパラリンピックが開催されたことで、社会に変化が生まれたと思う。だからこそ、競技する機会に結果を出すことによって、自分の発言にも説得力が出てくると思う」
内面の葛藤を隠さず、しかも前向きな姿勢を崩さない発言はとても感動的でした。
ブラスさんからは、「差別」と「区別」の違いなど企業の実態への発言もあり、全体として厚みが感じられるセッションになりました。
午前・午後を通して、ブラスさん、メイさんのお二人には努めて個人的なお話をしていただきました。それゆえに、お二人の意見の交差するところに「普遍性」を発見できたのではないかと感じています。
「多様性」を言葉として定義したり、いろいろな解釈をしてみたりすることとはまったく別に、心から実感し、納得する機会になったのではないでしょうか。来場した方々にそのように実感していただけたなら、主催者としてこれ以上の喜びはありません。

【寄稿者プロフィール】
比留間 孝司(ひるま たかし)
東京都武蔵村山市生まれ。2001年4月東京武蔵村山ロータリークラブ入会(職業分類:司法書士)。2014-15年度クラブ会長。国際ロータリー第2580地区で米山奨学委員長、職業奉仕委員長、ロータリー財団地区資金推進委員長、近未来構想委員会アドバイザーを歴任。2022-23年度地区青少年奉仕部門長。
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