学友、アメリカでガバナーになる

山梨県出身のロータリー学友・中曽根牧子氏(アメリカ・グレンデールRC)が2023-24年度第5280地区(アメリカ・カリフォルニア州)のガバナーに選出されました。今回、スポンサー地区の第2620地区のロータリー財団学友会がインタビュー。その一部を抜粋して紹介します。

ロータリー国際親善奨学生への応募のきっかけ

本格的に留学したいと思うようになったのは、高校時代にアメリカ・サウスダコタ州に1年間留学したことがきっかけです。「外国語を習得するには少なくとも1年間その国へ行き、その国の四季を体感することが大切である」と感じたことが始まりでした。そこで、東京外国語大学ドイツ語科在学中、政府の奨学金に応募したのですが落選。どうしようかと思っていたところ、先輩からロータリーの奨学金について教えていただきました。それまで、私にとってロータリーの印象は、地元の名士ばかりが所属する、とても敷居の高いところ。ロータリーとは全く関係のなかった私が交流の機会を持つことはないものと思っていました。ですから先輩から教えていただいた時に、ぜひ受けたいと思い、応募したことがロータリーとのご縁の始まりです。

地元ロータリークラブへの入会について

私は結婚してからも子どもが生まれるまでがむしゃらに、1日に16~17時間くらい働いていました。それから子どもを育て、日本勤務を経て、アメリカに帰ってきてから学習センター(塾)を始めることになりました。その間も、ロータリーに留学の機会をいただいたことにずっと感謝していました。その気持ちはいつも頭の片隅にあったのですが、まず自分のキャリアを積み、子どもを育てる時間が必要だったので、ロータリーへの入会というところまではいかなかったのです。ただ、学習センターを設立するに当たって、地元の地域社会に入っていかなくてはいけない、と。その一策として、何か奉仕クラブに入りなさいと言われた時に、迷わずロータリーを選びました。恩返しをするという気持ちもすごくありました。今の私が行っていることは全てロータリーに恩返しをする、ということです。もちろん地元とかアメリカの社会全体に恩返しをするということもありますが、2004年にロータリーに入会して以来、私なりに恩返しをさせてもらっているつもりです。

ロータリークラブへの期待という意味では、ネットワークづくりの場ではありますが、学習センターを始めたから何とか軌道に乗せなくてはいけない、というプレッシャーばかりで、はじめはあまり何かを期待するということはなかったですね。入会前、子どもたちが通っていた幼稚園や小学校のPTA活動を活発にしていましたので、アメリカ人の奉仕活動がどういうものかということを少なからず理解していたつもりです。だから、ロータリーは具体的にこういう奉仕をするんだなと思いました。全く知らない人のために、困っている人のために何かを提供したいとか、尽くしてあげたい、生活が良くなるようにしてあげる。キーポイントは、友達や親戚や知っている人ではなくて、全く知らない人のために奉仕活動をする、ということ。素晴らしいなと感じました。日本人にはなかなかしにくいことだと思っています。それはすごく偉いなと思っています。 

2023-24年度ガバナーへの選出

アメリカでは女性会員の比率は高く、私の所属する第5280地区は36%です。確かにこの世の中、半分は女性ですから、それから考えると少ないですが、RIの世界平均、あるいは日本と比べるとはるかに高いのです。さらにガバナーに関しては、私がガバナーになる年度を含めて5人続けて女性がガバナーです。女性をガバナーにし続けていいのか、と皆思っていたところ、5人目のガバナーも女性を選んでしまったんですね。既に4人も続けて女性が選出されている中で選んでいただいた、ということを見れば、性別にかかわらずしっかりと審査して選んでいるのではないかと思います。

今回、私が初めての立候補でガバナーに選出されたのは、新クラブ創設委員長という役職をいただき、新しいクラブを一つ、衛星クラブを三つ設立し、約60人の新会員を地区に迎えることができたことなどが評価されたのだと思います。2012-13年度のRI会長の田中作次さんの通訳をするなど、他にも理由はあると思いますが、現在、会員増強というのが最重要課題となっているので、多分、それが一番評価されたのかなと思っています。

ガバナーに就任したら、田中元RI会長が推進した当時のテーマ「PEACE THROUGH SERVICE(奉仕を通じて平和を)」のガバナーバージョンとして、アメリカ国内への奉仕活動、これを地区規模で大々的に行いたいと考えています。それから、もう一つは「DEI(多様性・公平性・インクルージョン)」。私もアメリカではマイノリティーですが、日系アメリカ人一世の方々のおかげで、勤勉で正直という認識が広がり、私自身差別を受けたという経験は1回しかありません。その差別も今から思うと勘違いかもしれませんが、例えば、銀行で日本人だからといって口座が作れないとか、そういうあからさまなものは経験したことが幸いにもないのです。でも、今のアメリカではアジア系の女性が、路上で後ろから突き飛ばされるといった事件が幾つも起こっている。そういう意味で、まずはロータリアンの中から自分たちの在り方を振り返りたいと思います。無意識の差別というのはまだあると思っています。そこにもう少し焦点を当て、是正するようなしっかりとしたプログラムを立てて取り組みたいと考えています。また、私は日本の第2620地区の出身ですから、地区同士の友好関係を、さらに深めていけたら良いと強く願っています。

最近の社会の変化とロータリークラブについて

私がロータリアンになったのは40代の後半で、50歳の時にクラブ会長になりました。その前は、キャリアと子育てで精いっぱいで気持ちのゆとりもなかったのですが、人は誰しも自分を振り返ってみる時期があるべきだと思います。私のように自分の体一つで事業をしたりとか、キャリアを積みたいといった時には、一つのことに没頭する時期も必要です。ただ、そうはいってもやっぱりテイク(Take)だけじゃいけないと。ある時期がくれば恩返ししなくちゃいけないと、私はすごく思います。人間として。直接支援してくださった方に対してでなくてもいいけれども、誰かに恩返しをする。それが大切なことではないかと。

約10年前に創立した東京米山友愛RCは、米山奨学生だった人たちを中心に創立したと聞きました。いわば米山学友会から出てきたクラブという感じですね。そのクラブが、数年後にEクラブをつくりました。その二つは親子みたいな感じなんですけれども、東京米山友愛RCと東京米山ロータリーEクラブ2750が手に手をとって、ものすごく活発に奉仕活動をしています。日本にもそういう例があるので、皆さんもぜひ考えてほしいなと思います。

実は今、地区で新クラブ創設委員長と学友会委員長をしているのです。私のガバナー年度末までには、学友会中心のロータリークラブをつくりたいです。

最後に、第2620地区パストガバナーで、現・髙野孫左ヱ門さんの言葉を紹介します。「ロータリーって、差し上げるよりいただく方がずっと多いんですよ」と。自分がお金を寄付をしたり、奉仕をしたりするんだけども、でもね、もらうものが多いんだと。17年間、ロータリーの会員になっていて、私も本当にそうだな、と思います。他のロータリアンの友人と一緒に奉仕をする中で、人間としてすごく成長できたなって思います。もちろん指導者としても成長させてもらえたな、とすごく思います。

学友へメッセージ

今じゃなくてもいいですから、いつかロータリアンになってください。ロータリーとコミュニティーに恩返しをしてあげてください。それだけです。

(本稿は『ロータリーの友』誌10月号に掲載されたものです。)

【プロフィール】
中曽根 牧子(なかそね まきこ)

第5280地区(アメリカ・カリフォルニア州)ガバナーノミニー。山静学友会所属。東京外国語大学卒業後、1982-1983年度財団国際親善奨学生(スポンサー・甲府RC)として当時の西ドイツ・フライブルク大学に留学(ドイツ史専攻)。その後、カリフォルニア大学サンタクルーズ校でジャーナリズムを学ぶ。帰国後、日本リーダーズ・ダイジェスト編集部、オーストラリア・シドニー・モーニング・ヘラルド紙東京支局を経て日本経済新聞東京本社に勤務。日系アメリカ人三世の夫と結婚後、アメリカに移住。日経アメリカ社ロサンゼルス支局で記者として活躍。出産を機に退職。夫の転勤に伴い東京に逆駐在。帰米後、2004年アメリカ・グレンデールRCに入会、2008年同クラブ会長。2015年リトル東京RC創立会長、2020年グレンデールRCに移籍。

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