子ども食堂とともに歩むロータリークラブ

寄稿者:藤野直子(名古屋名東ロータリークラブ会員)

皆さんは、「子ども食堂」をご存知ですか?

「夏休みに、一日の食事がバナナだけ」というお子さんがいることを知った東京都大田区の八百屋さんが、ご飯を食べさせてあげたことから「子ども食堂」は始まりました。それから9年、今では日本中に、約5000カ所もの「子ども食堂」ができました。地域のボランティアグループなどが運営する子ども食堂では、無料または安い金額で食事を用意しています。本当に空腹なお子さんもいれば、わいわい楽しいから来るお子さんもいます。「こども食堂が、唯一の外食」というシングルマザーの親子も来ます。「一人で食べるご飯はつまらない」と言って、子ども食堂のボランティアをしてくれるおじいちゃんもいます。学校には足が向かない中学生がお子さんの遊び相手になってくれたり、大学生が宿題を教えたり、それぞれの思いやりと優しさが集まって“心休まる居場所”となっているのが「子ども食堂」なのです。

ロータリーで広がった子ども支援活動

「子ども食堂をやりたいけど、自分ではできないなぁ~、そうだ!それなら、子ども食堂の支援をやろう!」 そう思い立ったのが4年前。

愛知県内の子ども食堂運営者さんたちのネットワークを支える形で、「ロータリー地域社会共同隊」(Rotary Community Corps、略称RCC)を結成しました。今では、子ども食堂のみならず、学習支援団体、ひとり親支援団体、生活困窮者支援団体や行政などとも連携して、子どもの貧困や教育格差に立ち向かう奉仕活動を行っています。

2020年のコロナ禍の中、この奉仕活動は大きく広がりました。子ども食堂は、フードパントリーや宅配弁当などで、地域の食を支えるようになったのです。そのためには、たくさんの食料支援が必要でした。

さあ、ロータリークラブの出番です!

私が所属している国際ロータリー第2760地区(愛知県全域)すべてのクラブに、「食料支援のお願い」を送ったところ、たくさんの食料品が次から次へと届き、子ども食堂から地域の方々へ配られました。今でも食料支援は続き、ありがたいことに、クラブを越え、分区を越え、どんどん規模が大きくなっています。例会が休会になった資金を充ててくださったクラブ、毎週冷蔵便でお惣菜を配達してくださる食品メーカーのロータリアン、毎月たくさんのお米を送ってくださるロータリアン有志の会、季節ごとの高級お菓子を送ってくださるお菓子メーカーのロータリアンなどなど……。

ロータリークラブのありがたさ、ロータリアンの友情に感謝の日々です。

子ども食堂や学習支援の運営者さんからは、「ロータリークラブのおかげで活動を続けられる」といった感謝のお言葉もたくさんいただき、奉仕活動の原動力となっています。

現実にひそむ「子どもの貧困」

ここ数年、マスコミでも「子どもの貧困」が取り上げられるようになりました。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2018年の子どもの貧困率は13.5%、なんと7人に一人のお子さんが、目安とされる基準を下回る困難なご家庭で暮らしているのです。その基準というのは、『世帯所得の中央値の半分』ですから、実際には、この数字に現れないご家庭でも、厳しい生活をなさっている方がとても多いと感じています。

そして、悲しいことに、経済的な貧困は、“経験の貧困”をも引き起こしています。家族での海水浴やバーベキューなどの経験がないお子さんも多いのです。そこで、今年3月、ロータリー財団の地区補助金を活用して、『農業体験とバーベキュー』を行い、子ども食堂とつながりのあるお子さんたちを招待しました。「母と子だけでは、バーベキューをしたことがないから、とっても楽しかった」など、たくさんの感想が寄せられて、お子さんたちの心に少しは寄り添うことができたかなと感じております。

「愛知子ども応援プロジェクト」に生まれ変わる

これまで、「ロータリー地域社会共同隊(RCC)」として活動してきましたが、活動範囲が広がるにつれ、RCCとしての活動の枠を越えるようになりました。このため、これからはRCCとして築いてきたこの支援ネットワークを生かし、「愛知子ども応援プロジェクト」としてもっと積極的に活動を行っていくこととなりました。

現在は、約160名の心強い地域ボランティアがいます。地域に寄り添うボランティア、情報を持つ行政、支援するロータリー。この協力体制がとても大切です。食料支援はもちろんのこと、進学支援・就業支援にも取り組んでいきます。きちんとした教育を受けられず、満足な仕事に就けない「負の連鎖」から、ひとりでも多くのお子さんを引っ張り出してあげたいと考えています。

先進国における「子どもの貧困」は、見えづらいのが現実です。“赤信号・黄色信号”のお子さんも、“青信号”のふりをして、我慢して頑張ってしまいます。皆さんの近くにも、そんなお子さんがいらっしゃるかもしれません。気になるお子さんがいたら、近くの子ども食堂を教えてあげてください。そして、子ども食堂をぜひ、支えてあげてください。キーワードは「つながり」です。一つひとつの小さなつながりが、大きな輪になっていくことを願っています。

私のFacebookにこれまでの活動をアップしていますので、ぜひご覧ください。

【寄稿者プロフィール】
藤野 直子(ふじの なおこ)
東京都生まれ。NHH-FM・東海ラジオ・CBCテレビなどのパーソナリティーを務め、司会者としても活動。2004年に有限会社ジャスティスを起業し、ディナーショー・ブライダルパーティー・企業パーティーなどの企画運営を行う。特別支援学級での絵本読み聞かせなど、子どもに関するボランティア活動を行う。 名古屋名東ロータリークラブ所属。国際ロータリー第2760地区ロータリー財団補助金委員会副委員長。

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子ども食堂とともに歩むロータリークラブ」への5件のフィードバック

    • 嶋村ガバナーエレクト、コメントありがとうございます!
      ロータリアンとして、誠心誠意努めて参ります。
      今後とも、宜しく御指導のほど、お願い申し上げます。

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  1. 素晴らしい活動だと思います。頑張ってください。応援しています。
    東京武蔵野中央RC、子供への学習支援基金理事 髙橋榮治

    いいね

    • 高橋様
      コメントありがとうございます!
      これからも色々情報共有させてくださいませ。
      宜しくお願い申し上げます。

      いいね

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