By Victoria Ifould(災害救援団体「シェルターボックス」スタッフ)
ロータリーとシェルターボックスは、20年以上にわたり、災害時に人びとが「家」と呼べる場所をもつことができるよう協力活動を行ってきました。シェルターボックスは、災害に見舞われた世界各地の家族に緊急シェルターやその他の必要な援助を提供し、生活の再建を支援しています。
通常の状態でジェンダーにおける不平等を経験する女性や女児は、災害時にも不平等を経験します。災害時や紛争時において女性が死亡する割合は男性より高いことが分かっています。また、女性に対する暴力が増加し、生活手段や教育へのアクセスにおいても女性は多くの困難を経験します。このため復興プロセスでは、女性の強さと立ち上がる力に着目することが極めて重要となります。
二人の女性をご紹介します。

スーザンさんは、南太平洋に浮かぶバヌアツ島に住んでいます。サイクロン「ハロルド」が襲来する前、彼女は美しい家に住み、家族や地域住民と共に生きる喜びを享受していました。彼女はコミュニティの柱であり、地域の災害・気候変動委員会(CDCCC)のメンバーでもあります。サイクロン発生後の2日間は心に傷を負って活動ができませんでした。しかし3日目、彼女は被害状況を記録して政府に支援を要請し、地域住民に重要な支援物資を配布する役割を担いました。家を失ったことは大きな悲しみをもたらしましたが、シェルターボックスの支援物資のおかげで再建に向けて動き出し、コミュニティも回復に向かっています。
シェルター(住むところ)があるということが復興の基盤となります。シェルターがあれば将来のことを考え始めることができます。シェルターボックスは、家を再建するための道具と研修を提供しており、これにより女性は家族の世話をしたり、教育を受けたり、生活を再開したりするための安全で、プライバシーが守られた空間をもつことができます。

2014年、ナイジェリアの農村に住むエスターさんの家族は、ボコ・ハラムの兵士から激しい攻撃を受けました。両親と兄弟の悲惨な死を目の当たりにした彼女は、同じ経験をした多くの少女たちと一緒に逃げ出しました。現在、23歳となったエスターさんは、カメルーンの難民キャンプで生活を送っています。
エスターさんは、若い女性のために開催された研修に参加して、裁縫スキルを学びました。現在、キャンプで最も人気のあるドレスメーカーの一人となっており、将来的にはビジネスを拡大したいと考えています。
エスターさんは次のように話します。「このキャンプだけでなく、より大きなスケールで有名なドレスメーカーになって、私の作った服を着る大勢の人を見たいです」
シェルターボックスとロータリーのパートナーシップにより、エスターさんやスーザンさんのような何千人もの女性が自分の人生を取り戻し、生活を立て直すことができました。彼女たちの体験談は、女性の強さと立ち上がる力が災害復興でいかに重要となるかを示しています。
今年の国際女性デーでは、シェルターボックスとロータリーが共に活動してきた女性たちの苦難と立ち上がる力、そして勇気を伝えるストーリーを紹介しました。詳しくはこちらのページ(英語)をご覧ください。
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