寄稿者:ジム・マーグラフ(Lamorinda Sunriseロータリークラブ[米国カリフォルニア州]会員)
4年前、妻がとっぴな質問をしてきました。
「火星探索に行く宇宙飛行士たちが、地球の家族や友人と連絡しあえる方法がないものかしら?」
この質問をきっかけに、私たちの旅が始まりました。とはいえ、火星への旅ではありません。その旅とは、この地球での社会的孤立の問題を理解し、テクノロジーを使って遠く離れた家族や友人とつながる新しい方法を開発するために、私の7番目となる会社Kinoo.familyを立ち上げる旅、そしてロータリーとのかかわりをさらに深める旅です。
火星に行くロータリアンはまずいませんが、私たちの多くが社会的に孤立し、愛する人たちの近くにいたいという気持ちを抱いています。2020年には、驚くことに、コロナ禍でのロックダウン開始後間もなく、ロータリークラブの80%がZoomなどのビデオ会議ツールでバーチャル例会を開きはじめました。
ここに機会とニーズを見出した国際ロータリーも、将来にロータリーがバーチャルでつながる方法を模索するために会長任命タスクフォースを設置し、私もそのメンバーとなりました。LeapFrog(知育・学習玩具)、LiveScribeスマートペン、最近ではEyefluence(2016年にGoogleが買収)を創業した発明家・起業家である私は、やっかいな問題に最先端テクノロジーを使うことには慣れています。
Zoomは、世界の著名人を遠隔でバーチャル例会に招く機会をもたらしました。例会そのものを捉えなおし、従来の対面式例会をそのままパソコン画面で(全員の顔を並べて)無理に行う代わりに、バーチャルで何ができるかを模索しはじめたクラブもありました。
タスクフォースでのディスカッションから刺激を受けた私は、自分のアイデアを数人のロータリアンに投げかけました。するとすぐに、国際ロータリー、私が所属するLamorinda Sunriseロータリークラブ、私が共同設立したロータリー関係のNGO「Global Impact Group」(TGIG.org)がサポートしてくれました。そのアイデアとは、ハイブリッド例会をいかに簡単に実施できるかを動画で紹介することです。「ハイブリッド例会」とは、直接対面で例会を開くと同時に、離れたところにいる会員がオンラインでリアルタイムに参加できるものです。
ロックダウンが解除され、直接対面での例会を再開するクラブが出はじめる中、すぐに例会場に戻ることをためらったり、安全ではないと感じる会員もいます。また、あるアンケート結果によると、出張中、または渋滞を避けるために、時々遠隔から出席するのもよいと考えるロータリアンがいることがわかっています。さらに、ビデオチャットを使えば、遠隔からエキスパートを招いて講演や質疑応答を行ってもらうこともできます。
そこで私は、妻と一緒に自宅のガレージを片付け、クラブの熱心な会員たち(マスク着用とソーシャルディスタンスを遵守)の助けもあって、ガレージをハイブリッド例会動画の収録スタジオへと変身させました。
しかし、ハイブリッド例会のノウハウをほかのクラブに伝授したいという私たちの熱意も、すぐに動画視聴への関心にはつながりません。この動画を多くのロータリアンに見てもらい、クラブで同じアプローチを採用してもらうには、何らかの「仕掛け」が必要でした。
そこで考えました。有名人に登場してもらい、世界的危機の中にあって私たちロータリアンがどのような存在であるのかを語ってもらったらどうだろうか、と。私の友人であるイェール大学公衆衛生学部長ステン・ヴァームンドさんにかけあったところ、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長、国際ロータリーのジョン・ヒューコ事務総長とホルガー・クナーク会長へのインタビューがZoomで実現しました。
火星旅行を計画する必要はありませんが、夢は大きく持ちましょう。そうすれば、皆さんご自身の次なるロータリーの旅が始まるかもしれません。
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