京都東みつばちプロジェクト(Kyoto-East NICO² HONEY PROJECT)
寄稿者:仲田吉儀(京都東ロータリークラブ)
平安神宮のすぐ近くで
京都市左京区に位置する岡崎地区は、平安神宮、京都国立近代美術館、京都市動物園、コンサートホールなどが集まる京都の文化ゾーン。私たちは、平安神宮の大鳥居を間近に臨むビルの屋上で、みつばちの飼育を始めました。
きっかけは、かつて35年の歴史ののちに終結したローターアクト復活の呼び水にするという発案で、かねてから都市養蜂に関心があり、都市養蜂家とのネットワークを有する森田会長肝いりのアイデアでした。巣箱を置いている岡崎地区は京都東クラブの所在地で、クラブのバナーには平安神宮の大鳥居の絵柄があしらわれています。まさに京都らしい、最高のロケーションでの試みとなりました。
2020年2月に準備を始めたときは、巣箱の場所探しに大変苦労しました。人を刺す蜂のイメージのため、どうしても敬遠されがちです。しかし、あきらめかけていた時にクラブ会員の会社ビルの屋上はどうかとの助言をいただき、早速お願いしたところ、二つ返事でのOK。トントン拍子で巣箱の設置へと進展しました。どうにもできそうにないことでも、メンバーが集えば実現できてしまうのがロータリーのパワーです。
都市養蜂ってなに?
都市養蜂では、近隣住民がガーデニングで育てている花々や、桜、ハナミズキ、ツツジなどの街路樹が蜜源となり、そこから働きバチが蜜を集めることでハチミツが作られます。農薬が散布されない都市部の植物は、養蜂に適しているとされます。ごく身近にある自然から生まれた、味わい深い美味しいハチミツを味わえるという体験は、まさに「地域の自然、動物、そして人間の営みの繋がり」を体現するものです。
養蜂はハチミツを採ることが目的ですが、それには年間を通して巣箱をチェックするなど適切な対応が必要となります。その時々の気温や外敵の状況を見つつ、季節の移ろいと植物の変化、そして生き物とのつながりを紡ぎます。そんな体験を街中で実施し、その努力の結晶であるハチミツを地域の人たちと共に味わえる都市養蜂は、地域コミュニティを活性化させる素晴らしい活動です。
都市養蜂は、大学のフィールドワークの題材にもなっています。クラブの会員は、理解をさらに深めるため、「同志社ハニカム研究会」に参加して全国の都市養蜂家による体験談を聞き、地域の自然と人間の営みがつながっているという感覚を共有しました。
なお、このプロジェクトでは、ソーシャルイノベーションを専門とし、都市養蜂の社会的意味について研究されている、同志社大学政策学部の服部篤子先生にもご協力いただきました。
リモートで屋上から実況中継
コロナ禍でロータリーの例会が開催できない状況の下、リモートで親睦を図る、その名も「繋ミーティング」がクラブで企画されました。「繋がり」は今年度の本クラブ会長方針です。繋ミーティング2回目となった2021年2月19日、巣箱のある屋上からの中継で参加しました。いつもの例会場からの眺望を背景にスマホを据えて、みんな和気あいあいと親睦を深めました。
桜の季節が楽しみ
京都は桜の名所です。桜が咲き誇る季節、みつばちの活動はいよいよ活発になり、たくさんの蜜が集まります。採れたハチミツについては、菓子作りをやっている養護施設に寄贈する案や、ハニーカステラを作って例会のデザートで食べる案など、さまざまなアイデアが寄せられています。
現場はまだまだ前途多難ですが、何とかやり遂げて新しい奉仕のスタイルを築き上げてゆきたいと思います。
【寄稿者プロフィール】
仲田吉儀(なかたよしぎ)
株式会社仲久 代表取締役
2013年京都東ロータリークラブ入会
職業分類:精密機械器具製造
2020-21年度社会奉仕委員長
第2650地区青少年交換委員
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