
「平和構築と紛争予防」はロータリーの重点分野の一つです。しかし、「平和」といってもどこか漠然としていて、具体的にどんな活動をすればよいのか、とお考えの方もいるでしょう。
「どうしたら平和構築に寄与できるか?」 その答えは、ロータリーにあります。世界の隅々にクラブがあり、異なる国の会員同士による協力や親睦を土台するロータリーには、平和構築のさまざまな機会があります。
紛争の根源に取り組む
- ロータリー財団のグローバル補助金を活用して、ロータリーの重点分野におけるプロジェクトを支援できます。グローバル補助金プロジェクトの特徴は、重点分野に一致すること、持続可能であること、二国以上のクラブ/地区が協同提唱することです。貧困(地域社会の経済)、教育機会の不均等、水資源の問題など、すべての重点分野への取り組みが、紛争の根源をなくし、平和構築につながります。また、国際的な協力を通じた異文化理解も育まれます。(参考記事)
- 「平和構築と紛争予防」に焦点を当てたプロジェクトを実施したい、または他の重点分野のプロジェクトを通じて平和構築にも寄与したい、という場合は、平和のためのロータリー行動グループ(Rotary Action Group for Peace)からのサポートやアドバイスを得ることができます。このグループのミッションは、世界中の会員、クラブ、地区による平和活動を支援することです。
次世代のピースビルダーを育成する
- ロータリーは、「ロータリー平和フェローシップ」を通じて修士号または専門能力開発修了証を取得するための奨学金を提供し、平和構築と開発の分野のリーダーを育成しています。クラブと会員は、申請者募集の告知や申請者の推薦を行うことで、平和構築を支えることができます。ロータリー平和センターの一つが国際基督教大学(東京都)にあり、世界中から平和フェローが留学しています。平和フェローシップのための寄付も受け付けています。
現在、平和フェローシップの申請を受付中です(申請希望者がロータリー財団に申請書を提出する締切日は5月15日です)。(平和フェローシップ関連記事はこちら)
- グローバル補助金による奨学金で、ロータリーの重点分野と一致する専攻の学生を支援し、将来にこれらの分野で平和構築に寄与できる人材を育成できます。(参考記事)
平和について学ぶ
- ロータリーは、経済平和研究所(The Institute for Economics and Peace)との提携を通じて積極的平和アカデミー(Positive Peace Academy)というオンラインコースを提供しています。英語のみですが、積極的平和に関心のある方ならどなたでも無料でコースを受けることができます。積極的平和の考え方では、「‟平和”とは暴力の欠如のみではなく、すべての人のために正義が守られる社会を築くこと」を意味します。アカデミーで学んだ知識を、世界のどの地域でも実践できます。
また、「Positive Peace Activator Program(積極的平和アクティベータープログラム)」もあります。(参考記事)
- 国連の本部や機関で行われる「国連でのロータリーデー」、会長主催会議など、ロータリーでは平和関連イベントがよく行われます。また、国際基督教大学のロータリー平和センターでは、卒業するフェローが研究成果を発表する年次セミナーも毎年開催されます。こうした行事に出席して平和構築の方法を学び、平和に関心をもつ人たちとのつながりを築くことで、今後の活動や協力につなげることができます。
地域社会で対話を促す
- 地域に密着して活動するクラブは、コミュニティエンゲージメント(地域社会の巻き込み)を通じて対話を促すことができます。市民を招いてパネルディスカッションや講演会を開催し、平和に関する対話の機会を設けましょう。地元団体と共同で催したり、平和フェローシップや奨学金の学友をパネリストとして起用したりするのも一案です。こうした活動に地区補助金を活用できる場合もあります。
国際的な友情を育む
- ロータリーには、国際大会、例会のメークアップ、国際共同委員会、親睦活動グループ、ロータリー行動グループ、友情交換など、国際交流の機会が無数にあります。こうした機会を最大限に活用して異文化理解を深めることが、平和構築の第一歩となるでしょう。
- ロータリー青少年交換は、15~19歳の学生が海外に滞在し、言語や文化を学びながら、海外に友人をつくり、世界市民としての自覚を養うことのできるプログラムです。かつて、ステンハマー元国際ロータリー会長は、「すべての国の高校生が青少年交換プログラムに参加すれば、世界のすべての戦争はなくなる」と述べました。地元高校生を海外に派遣したり、ホストファミリーになって海外からの高校生に日本文化を教えることで、未来の平和づくりに貢献できるでしょう。
すべての国の高校生が青少年交換プログラムに参加すれば、世界のすべての戦争はなくなる
元国際ロータリー会長(2005-06年度)
カール・ヴィルヘルム・ステンハマー
ロータリーのほぼすべての活動、すべてのプログラムが平和の構築につながります。これだけ多くの機会があるとわかった今、「何をすればいいのか」ではなく、「さあ、どれを始めようか」という気持ちが沸いてきたでしょうか?
大切なのは、行動を起こすことです。最後に、国連創設にかかわったロータリアンで、元パナマ大統領のリカルド J. アルファロの言葉をご紹介します:
「平和とは客観的なものであって、主観的なものではない。平和が存在するか、攪乱(かくらん)されるかは、感情ではなく、行動によって決まるのだ」
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2月はロータリーの「平和構築と紛争予防月間」です。平和に関するそのほかの記事もご覧ください。
(執筆担当:時山)
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