By リズ・シアム(国際ロータリー ブランド担当スタッフ)

ブランドを専門とする職業柄のせいか、いたるところでロータリーのロゴが目につきます。職業病と言ってもいいかもしれません。私の子どもたちさえ、どこに行ってもロータリーの標識をすぐに見つけます。昨年、故郷の町でロータリーのイベントに出席したときも、ロゴの使われ方がどうしても気になってしまいました。
まず、出席者を歓迎するバナーには、クラブ名が正しく入ったロゴが使われていたのでホッとしました。ところが、ほかのバナーには、ロータリーの歯車がホットケーキとして描かれていました。また、テントの中には、今は使われていない古いロゴの入った大きなバナーが掲げられていました。私を出迎えてくれたクラブ会員の方々は、古いロゴのついた揃いのポロシャツを着て、クラブ名入りの新しいロゴが印刷されたパンフレットを来場者たちに配っていました。五つの手段でロータリーをアピールしながら、そのそれぞれで異なるロータリーのロゴを使っていたのです。これには戸惑いました。
なぜこれが問題なのでしょうか。
クラブがロゴを正しく使用していない場合、混乱や不信感を生む原因となります。2012年、コカ・コーラ社は、クリスマスシーズンに合わせて、同社の象徴である赤い缶の代わりに、北極グマのイラストをあしらった白い缶のコーラを販売しました。しかし、小売店や消費者から苦情が寄せられ、回収を余儀なくされました。白い缶は、ダイエットコーラの缶と酷似しているため、普通のコーラを飲みたい消費者にとって混乱の原因となったのです。
これは、ロゴやブランドアイデンティティを正しく使わないことによって引き起こされる混乱の一例にすぎません。缶の色を変えただけで、消費者が苛立ち、商品への信頼が失われ、ブランドに悪影響が及んだのです。
では、各ロータリークラブ、ローターアクトクラブ、インターアクトクラブがそれぞれ違うロゴを使ったらどうでしょうか。どのロータリークラブが信頼できるのか、どのクラブに入会または寄付したらよいのか、一般の人びとは戸惑うでしょう。
ロータリーの歯車をホットケーキとして描いたり、フォントや色を変えたりたりして、ロータリーのロゴを改変したら、世界的なブランド力が弱まってしまいます。そうなれば、入会への関心を高め、寄付者からの信頼を築き、奉仕活動のボランティアを募り、他団体との協力の機会を確保するのが難しくなります。古いロゴを使いつづけることは、クラブが時代遅れであるというイメージを人びとに与えかねません。ロゴの使用法が一貫していなければ、ロータリーがどのような団体であるかについて、ばらばらなメッセージを送ることにもなります。
一貫したロゴの使用が、団体への信頼と認知を築く上で重要であることが、調査で示されています。私たちの誰もが、地域社会で信頼される団体になりたいと思っているはずです。
これからの1年間、ブランディング、そしてロータリーロゴの適切な使用法に関する記事をお届けしていきます。強いロータリー、すなわち、広く認知され、信頼され、人びとを結びつける力のあるロータリーを築けば、入会への関心が高まり、ボランティア、支援、協力団体を募るチャンスも高まります。地域リーダーや地区リーダーの方々も、ブランディングの重要性に関するこのメッセージを一緒に伝えていきます。
まずは、クラブで正しいロゴを使っているかどうかを見直してみましょう。ロータリーやローターアクトのロゴにクラブ名を入れていますか?正しい色を使っていますか?ほかのデザイン要素を重ねたりせずに、ロータリーの歯車がはっきりと表示されていますか?これらの問いへの答えが「はい」でない場合には、クラブのロゴを見直すときが来ているでしょう。まずは、ロータリーのブランドリソースセンターからクラブの正しいロゴをつくる方法をご覧ください。
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