「愛宕創業支援塾ビジネスプランコンテスト」~優勝特典はクラブメンバーの専門性の無償提供
寄稿者:加藤俊吾(東京愛宕ロータリークラブ会員、愛宕創業支援塾ビジネスプランコンテスト実行委員長)

東京愛宕ロータリークラブでは創立以来、“地域の社会課題の解決を目標とした起業家”を対象とした、現役の経営者を招いた講演会などの支援プログラムを定期的に開催してきました。
今回は、具体性と行動の伴った社会起業家をサポートしたいとの想いから、もう一歩踏み込んで、愛宕創業支援塾ビジネスプランコンテストを開催しました。
コンテストの応募総数は12社、予選審査を通過したファイナリストは4社。
優勝者、株式会社デフサポの牧野友香子さんは、すでに事業実績のある難聴者の女性社会起業家で、コーポレートミッションは「難聴者の言葉の力を高め、社会進出をサポート」。審査基準である、社会性、地域社会の問題解決を満たしており、今後3年間のクラブメンバーの専門性の無償提供が、事業の成長・発展に寄与可能と3名のロータリーメンバーの審査員によって評価されました。
困難を極めたコロナ渦でのコンテスト開催
コロナウイルス流行で、当初の予定であった、貸切会場単独での開催を断念し、オンラインと会場ライブのハイブリット運営へと変更しました。
出場者のプレゼンテーションは例会場の卓話枠での登壇、その録画動画をYouTubeで決戦当日に配信、決戦当日の専門家を招いたパネルディスカッションはZoomでの生配信としました。いかにも複雑なオペレーションとなりましたが、コロナ渦の感染リスクを最大限に考慮した結果の運営方法でした。
当クラブの平均年齢は48.6歳と若く、比較的ITリテラシーの高いメンバーが充実したクラブですが、オンラインとライブのハイブリッド運営は、メンバーにとっても未経験の分野。
本戦当日の生放送オンライン配信は、最後の最後まで気の抜けない瞬間の連続。会場の通信環境の制約への対応、突然の機器の誤作動など、度重なる想定外のアクシデントが発生しましたが、それらを迅速に乗り越えることができたのも、クラブメンバーや、実行委員会メンバーの好意に満ちたチームワークと参加者の協力の賜物でした。
多様性に満ちた出場者たち

惜しくも優勝とはなりませんでしたが、ファイナリストの中には、「子供たちが主役となって、新しい社会の形を作り出すこと」を目標とした、E-sportプラットフォームの開発を行う現役男子高校生、「猫と地域社会の共存を、AIを使って解決」をミッションとした、AIエンジニアの方など、年齢、性別共に多様性に満ち、社会のために、良いことをしたいという意欲にあふれた応募者に恵まれました。
愛宕のクラブメンバー全員の専門性は、起業家にとって必要不可欠なものばかりです。若いスタートアップの、乏しい経営資源を補って余りあるもので、事業計画立案、営業先開拓、契約書作成、広報、法務・税務アドバイスなど、ロータリークラブの職業奉仕の精神を発揮し、優勝者の事業を軌道に乗せるきっかけになればと考えています。
未来のお金と価値について考えるパネルディスカッション
社会起業家に限らず、経営者にとって、お金の問題は切っても切り離せないテーマ。そこで、今回は、暗号通貨という、あえて馴染みの薄い分野で、その分野の専門家たちを招いて、「未来のお金について考えてみよう」というテーマで行いました。
社会起業家は、熱い社会的ミッションを抱いている反面、経済・金融への関心が薄い傾向にあります。このパネルディスカッションをきっかけに、お金の信用の源泉や時間的価値、経済的成功と社会貢献のバランス、そして一歩先の未来の経済について考えるきっかけになることを願っての企画でした。
幸い、パネルディスカッション後に複数の女性参加者から、「暗号通貨と渡り鳥との類似性、自動車業界との親和性など大変面白かったです。とても勉強になりました!」との声をいただくことができました。
12月より私たちの職業奉仕によるサポートが始まりました。3年後の優勝者と私たちメンバーの成長を楽しみに、今後も継続的な社会奉仕に臨みたいと思います。
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1月はロータリーの「職業奉仕月間」です。職業奉仕にまつわるこのほかのストーリーもお読みください。
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