途上国開発のキャリアをめざす

~ロータリー奨学生からのレポート~

寄稿者:田中佑依(2019-20年度ロータリー財団奨学生)

2019年9月から、ロータリー財団グローバル補助金による奨学金をいただき、イギリスのサセックス大学院で学びました。この1年間の留学は、私の人生でとても意味のある大きな1年でした。

今回、奨学金を探すにあたり、ほかの多くの日本の奨学金制度も検討しましたが、その多くが、申請時に日本に住んでいることを条件としており、当時ミャンマーで開発分野の仕事をしていた私には申し込める奨学金の選択肢があまりありませんでした。そんな中、ロータリーの奨学金は門戸が広く、私のような状況の人にもフレキシブルに対応してくださいました。また、現地で多くのロータリアンや、ロータリー奨学生とつながることができたのも、世界中にネットワークのあるロータリーの素晴らしさだと思いました。

途上国の孤児院の問題を研究

開発分野の中でも子どもの権利や保護に関する分野に興味があっため、卒業論文では、途上国の孤児院に住む子どもの問題について取り上げました。

世界では約8百万人の子どもが親元ではなく孤児院で暮らしているとされていますが、そのうち約80パーセントは、片親、もしくは両親が生存していると言われており、正確には「孤児」ではありません。そして、その多くが、貧困が理由で孤児院に預けられていると言われています。

しかし、孤児院のように、家庭的ではない環境で育った子どもは、さまざまな発達の遅れ、行動上の問題、愛着障害、ライフスキルの欠如等、多くの問題を生じる可能性があるという研究が数多くされています。また、このような施設の運営は、費用面でも低収入国政府を圧迫し、十分に管理できていないのが現状です。またこのような施設の存在は、貧しさを理由に親が子どもを簡単に手放してしまう要因にもなっています。そこで、近年、多くの国で孤児院の数を減らし、子どもを家庭的環境に戻そうという「Deinstitutionalization(脱施設化)」の動きが始まっています。

この動きに関し、貧困などの根本的な問題を解決せぬまま、単に家庭的な環境に無理やり戻したところで、子どもの福祉の向上にはつながらないのではないかという懸念を抱き、ガーナ政府の「Deinstitutionalization policy(脱施設化政策)」を取りあげ、その有効性について調査し、執筆しました。

イギリスのロータリアンとの交流

ロータリークラブの例会は授業の時間と重なっていたので、毎回は参加できませんでしたが、授業のない週に何度か例会にお招きいただき、日本文化や大学での研究について発表する機会がありました。ブライトン・ロータリークラブの皆さんはとても気さくで、とても親切にしていただきました。

ロータリーのイベントでスピーチ

9月には、イギリスに留学するすべてのロータリー奨学生がロンドンに集まり、交流を図る機会がありました。また、イギリスのロータリーの歴史やイギリス文化についてロータリアンがプレゼンテーションをし、多くのことが学ぶことができました。

また、11月には私の受入クラブであるブライトン・ロータリークラブだけでなく、ブライトンとホーブ全域にあるクラブの会員とグローバル補助金の奨学生が集まって交流しました。この会では、各奨学生が自己紹介のプレゼンテーションをし、互いの理解を深めました。

今後のキャリア目標

今後は、国際NGOや国連機関などで途上国開発の分野、特に子どもの支援に関わる仕事をしていきたいと思っています。卒業してすぐ海外で仕事を探そうと思っていましたが、昨今のコロナウイルスの影響で海外渡航の規制が厳しくなっていることから、まずは日本で仕事を探すことにしました。ですが、いつかまた近い将来に海外での仕事にチャレンジする予定です。

おわりに

3月初旬に授業の一時的なオンライン化が決定し、海外からの留学生たちはイースター明けに戻ってこられるという希望をもってそれぞれの国に帰りました。しかしその後、今年度は通常授業の再開がない旨の連絡を受け、友人やフラットメイトとは直接お別れの挨拶もできぬまま、大学院が終了することとなってしまいました。想像していなかった留学生活の終わり方に、当初は心の整理がなかなかつかず、寂しさを感じることもありましたが、今でもコースでできた友人とはインターネット上で連絡を取り合っており、このようにコース終了後も長く続く友人が世界中に出来たことを本当に嬉しく思います。

1年間の学びは、ここには書ききれないとても多くのものがありました。いただいたこの素晴らしい機会に学んだことを生かし、将来、世界のより多くの人びとに貢献できる人間になりたいと思います。あらためて、この度は本当にありがとうございました。

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途上国開発のキャリアをめざす」への2件のフィードバック

  1. 田中佑依さん、この新型コロナ騒動で一時は本当にどうなることやら心配しました。5月のイギリス訪問は断念せざるを得ませんでしたが、田中佑依さんがこうして立派な足跡を残していただいた事を本当にうれしく思います。これからが本当の人生の勝負ですのでがんばってくださいね!
    RID2500@直前DRFC@笹谷芳夫

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  2. 田中佑依さん、無事卒業おめでとうございます。最高成績 Distinctionとの評価、皆さん報告を驚き喜んでいただいております。今後のご活躍を楽しみにしております。2500地区直前財団委員長笹谷様、また多くのロータリー会員並びに財団委員会の皆様に準備、指示、御協力頂き無事、終了いたしました。ありがとうございました。RI2500帯広RC 小沢昌博

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