~有田ロータリークラブ創立60周年記念事業として「まちづくりサミット」を開催~
寄稿者:上野山 栄作(2018-19年度有田ロータリークラブ会長)
私はロータリー活動とは別に、地域のまちづくりにかかわっています。「まちづくり」の定義は難しいですが「住んで楽しいまちになるための行動」と私は考えています。行政ではなく民間が主体となり、いわば「自分たちが楽しくて行なっている」取り組みが、結果的にそこに住む人びとを豊かにしている。それが各所に多数あって連鎖が生まれることが大切だと考えています。
私の場合、5年前より行政に働きかけ、アメリカ・オレゴン州ポートランド市と有田川町をまちづくりのために連携させることから始まり、市民団体を発足しました。以来、多くのことを学び、現在ではポートランドと有田川の民間同士での連携が進み、文化交流や共同事業を行なっています。そのような活動を行なっていると、自ずと仲間が増えてきます。仲間が仲間を生んで相方向へと波及し、少しずつ地域が輝いていくことを実感できるのです。
このような日頃の個人的な奉仕活動がベースにあり、5月12日、有田ロータリークラブの事業として「まちづくりサミット」を開催しました。参加者は若者を中心とし、行政関係やロータリアン合わせて200名程集まっていただき、会場は満員でした。
まちづくりアジェンダ①:若者が参加する
当クラブでは、昨年の7月から8月にかけて、中高生を対象に、自らの夢を実現することで地域を楽しくさせる企画を募集する「僕らがありだを楽しいまちにする!」コンテストを実施しました。今回のサミットでは、その最優秀賞のグループにプレゼンテーションを行ってもらいました。
まだ高校生である若者が、このコンテストへの参加を通して地域への愛情に目覚め、深く考えていった内容を、会場の全員で共有することができました。
サミットの冒頭に、大人が学生の柔軟な考えに触れ、もっと大人にできる事があるがあること、また、地域への責任に目覚めてもらう機会としました。
まちづくりアジェンダ②:地域への貢献者を称える
有田ロータリークラブでは、まちづくりに貢献しているグループを称える「有田グッドクリエーション賞」を創設し、4つのまちづくりグループを表彰しました。
サミットでは、受賞4グループ(AGW、Gainaあそびーと、ジョブライブ、CHARLLS)の取り組みについてプレゼンテーションを行っていただきました。各グループともに的を得たもので、聴衆からは、身近な場所で楽しい活動を行なっていることへの興味と賞賛の声がありました。地域の魅力を地域の方が理解しにくいのと同様に、身近な地域で行われている活動も知られていないことが多くあります。それを一般の方々に知ってもらえる良い機会となりました。受賞した方々からは、「定評ある団体であるロータリークラブから日頃の活動が認められたことは栄誉だ」と言っていただけました。
まちづくりアジェンダ③:つなげる
4名のグループリーダーたちと、開催地である有田市を代表する市長とともに「持続可能なまちづくり」というキーワードでパネルディスカッションを行いました。
事前に打ち合わせを進める中で、各グループとの信頼関係や仲間意識が生まれ、グループの枠を超えた協力体制を生むことができたと考えています。また、特別にご参加いただいた有田市長のまちづくりに対する住民へのメセージには素晴らしいものがありました。堅苦しい話ではなく日頃の悩みや行政との関係性、市民を巻き込む方法や協力体制について議論が交わされました。
まちづくりアジェンダ④:キーマンを生み出す
まちづくりにはキーマンが必要だと思います。そこには企業にはない人を巻き込む独自のリーダーシップが必要です。今回のサミットの目的は、まちづくりにつながる活動を行なっているグループ同士をつなげる目的と、次世代を担う若者の中から新たにまちづくりに興味を持つ人材(キーマン)を生み出すことでした。
まちづくりという前提にとらわれずとも、行政指導で行う大きな活動でなくても、自分たちが楽しんで行なっていることが結果的にまちづくりとなる取り組みが多数あります。そのような活動の積み重ねが、地域をより豊かに変えて行くのだと思います。そのような活動のキーマンに集まってもらい、活動を共有し、「グループ同士のつながり」をつくることによって、活動の幅が広がり、より大きな活動へとつながる可能性があります。また、次世代の地域の中心となる若者たちが、まちづくりに対する概念を変えて「それなら僕らにも何かできる」という考えが湧けば、新たなキーマンが生まれ、新たな活動の輪が広がることを期待しています。
まちづくりアジェンダ⑤:インスピレーションになる
今回のサミットを通じて、参加者全員が地域の可能性に目覚め、自分たちのできることを模索し、モチベーションを高められたのではないかと思います。このような取り組みを通じてさらなるグループが生まれ、地域活性化に向かうインスピレーションとなれたことを願っています。
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