米山奨学生の視点から【5】:日系ブラジル人の誇り

寄稿者:古藤ウィルソン忠志(米山学友、ブラジル出身)

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元・米山奨学生で弁護士の古藤氏(左)

はじめまして。私はブラジル生まれの日系二世、古藤ウイルソン忠志と申します。父は島根県松江市生まれ、母はブラジル生まれの日系二世です。私は19歳のときに日本へ渡り、父の故郷である松江で日本語を勉強し、島根大学農学部で専門的な知識を身につけました。

大学3年のときにロータリアンに出会ってから、日本に対する印象が変わりました。当時のカウンセラーだった方から日本の歴史、習慣、社会、しきたりなどを教えていただき、大変充実した大学生活を送りました。毎月クラブの例会に出席して、卓話を聞いたりロータリアンと意見を交換したりしながら日本の素晴らしさを知りました。ロータリー米山奨学会のご支援があったからこそ大学を卒業できましたので、感謝の気持ちでいっぱいです。

ブラジルでは、私利私欲を基本として行動することが多いと思います。私はロータリアンに出会い、気遣いの心や、仲間への配慮などを習い、今でも自分の生きがいに強い影響を与えています。

去る2019年1月、私はJICAの研修員として13年ぶりに日本にやってきました。多くの日本人に接し、日本の伝統であるおもてなしや手厚い対応を受け、大変ありがたく感じるとともに、あらためて日本の素晴らしさに感動しました。

研修先の法律事務所へ地下鉄で通勤するときに感じたことがあります。車中の乗客があまりにも真面目に座っていて、正直に言って暗い印象を受けました。ちょっと明るさ、微笑みが足りないと強く感じた次第です。

戦後ブラジル社会における日系人の歴史は悲惨ですが、ブラジル人は過去のことにこだわりません。私はブラジルに住みながら、日系人である認識や誇りを抱きつつ、ブラジル社会に役に立つ人間になりたいと思っています。また、日系人の一人として日伯相互の理解を深め、ブラジルで日本の伝統、文化などを伝え続けたいと思っています。

私たち日系人、一世、二世、三世、四世、ハーフなどは、ブラジル社会で今でも人びとから尊敬や信頼を寄せられます。私は、先輩たちが作り上げた在ブラジル日系社会を多くの人に知ってもらいたい、また、もっと多くの日本人にブラジルに来てもらいたいと感じています。互いに訪問することが日伯関係を強めることに繋がるでしょう。

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家族と一緒に

寄稿者紹介
古藤ウィルソン忠志(Wilson Tadashi Koto)。弁護士。2018年9月に独立し、現在はサンパウロにあるAGSF法律事務所ジャパン・デスクのパートナー。同事務所には日本語に堪能かつ日本市場とブラジル市場で優れた経歴をもつ多くの弁護士が所属。両国の文化的違いを深く理解し、ブラジル国内の多くの日本企業をサポート。

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