By スティーブン・サンドストローム(ロータリー財団 地域別補助金担当オフィサー)
私は米国イリノイ州エバンストンにあるロータリー世界本部に勤務する補助金担当スタッフで、日本の第2ゾーンと3ゾーンを含む世界のロータリアンをお手伝いしています。エバンストンと日本の間には14ものタイムゾーンがあり、当然、連絡はEメールで行っています。私がこの仕事で初めて日本を訪れたのは、名古屋で開かれたロータリー研究会のときです。そこで、何年もEメールで連絡を取り合っていたロータリアンの方々と初めて会いました。互いに顔を合わせるのは初めてなのに、もう長年の友人のような感覚で「お会いできてうれしいですね!」と挨拶を交わしました。
昨年11月、神戸でのロータリー財団セミナーに出席するため、再び訪日しました。2年前に出会った「旧友たち」との再会を果たすと共に、補助金プロジェクトに熱心に取り組んでいる新たな方々とお会いしました。会員制団体であるロータリーでは、会員一人ひとりがロータリーの顔であると言えます。ロータリアンと知り合い、自己紹介する機会をもてたことで、初めてロータリーの心に触れた気がしています。
私は補助金担当スタッフとして、ロータリアンによるプロジェクトを補助金の支給という形でお手伝いすることに専念してきました。ロータリアンが人道的プロジェクト、職業研修チーム、奨学金を計画する際にアドバイスをするのも私の仕事です。ロータリアンと知り合い、その心を理解することで、より良い仕事ができるようになったと感じています。ロータリアンの奉仕プロジェクトをサポートするために、より的確な情報とガイダンスが提供できるようになりました。
昨年11月の日本訪問では、ロータリー財団セミナーへの出席に加え、グローバル補助金活動を実施した方々にお目にかかり、ロータリアンがどのようにプロジェクトの計画を立て、実行しているのか、どのようなプロジェクトを今後実施したいと考えているのか、どうすればより良くサポートできるかを学びました。
最初にお目にかかったのは、ホテル経営とホスピタリティの研修を受けるためにバヌアツから来日した4名の職業研修チームを受け入れた委員会の方々です。委員である伊丹ロータリークラブの吉岡博忠さん、中島勝美さん、佐藤栄一さんは、私のために時間を割いて、このプロジェクトの準備をどう行ったのかを親切かつ丁寧に説明してくださいました。ロータリアンの方々は、研修先のホテルまで電車で行く方法や、経費と領収証をノートで管理する方法をバヌアツのチームに教えました。研修先となったホテルのスタッフも、チームの指導にあたり、ロータリーのプロジェクトに進んで参加しました。グローバル補助金の機会があったらまた参加したいとホテルの方々がおっしゃったそうですが、これはロータリアンと研修チームメンバーが熱心に取り組んだおかげにほかなりません。
日本滞在中、私は広島を日帰りで訪れ、2年前にカンボジアで実施されたプロジェクトのチームリーダーだった広島南ロータリークラブの井内康輝さんとお話しする機会にも恵まれました。このプロジェクトは、グローバル補助金を活用してロータリアンが職業スキルを活かした良い例です。井内さんは、画像を遠隔で検査する遠隔医療の専門家です。このプロジェクトは、乳がんの早期発見と治療の向上を支援するのが目的でした。私は以前から書類を通じてこのプロジェクトについて知っていましたが、井内さんと顔を合わせて初めて、プロジェクトにいたるまでの数年間の経緯、カンボジアの人たちとのつながり、プロジェクトの計画方法などについて知ることができました。また、プロジェクトがもたらしたインパクトもより良く理解できました。例えば、カンボジアの医療関係者たちは、プロジェクトで学んだスキルを今も活かして、現地に新しい相談センターを立ち上げたそうです。プロジェクトに参加した方々は、無料の乳がん検診を提供するために、今も協力しあっているとのことです。
奈良ロータリークラブの柳澤育代さんは、東北大震災を生き延びた人たちの精神的ケアを支援するために福島で実施したプロジェクトについて話してくれました。また、郡山北ロータリークラブの早川敬介さんは、東北被災地の経済復興支援の一環としてなたね油を製造するワークショップの見学を手配してくれました。ここで言及できない方が大勢いるのが残念ですが、出会ったすべてのロータリアンが心を開き、私がロータリーの心を理解できるよう助けてくれました。
日本で多くのロータリアンと出会う機会に恵まれたことに感謝しています。14のタイムゾーンで隔てられていても、世界に広がるロータリーの一員でいられることを幸せに感じます。これからもロータリーの「行動人」たちと共に世界の課題に立ち向かい、より良い世界を築くためにお手伝いしていきたいと思います。
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