世界ポリオ根絶推進活動(GPEI) 今年で30周年

「ロータリーの先見性のおかげで、私たちは歴史的な公衆衛生における偉業に近づいています。皆さんのおかげで、ポリオの根絶は本当にあと少しです」
(マーガレット・チャン、
WHO元事務局長)

皆さんは「世界ポリオ根絶推進活動(Global Polio Eradication Initiative=GPEI)」という言葉を聞いたことがありますか。これは、国際ロータリーをはじめとするパートナー団体と各国政府による、世界からポリオを根絶することを使命とする官民共同のパートナーシップです。

1988年に世界保健総会がポリオ根絶を決議し、GPEIが立ち上げられて以来30年間、懸命な活動によりポリオの発症数は99.9%減少。根絶実現に向けたラストスパートを迎えた今、このパートナーシップの重要性はさらに高まっています。

今回は、30周年を迎えたGPEIにスポットライトを当ててご紹介します。

主要パートナー団体がそれぞれの強みを生かす

GPEIでは、主要パートナー団体がそれぞれ異なる役割を担っています。

  • 世界保健機関(WHO)は「戦略担当」:GPEIの実施と管理、各国保健省に技術面や運営面のサポートを提供。活動成果のモニタリング、戦略の立案。
  • 米国疾病対策センター(CDC)は「ウイルス対策担当」:疫学者、公共保健専門家、科学者を起用してポリオ流行について調査。ウイルスの種類と感染源を特定。
  • UNICEF(国連児童基金)は「予防接種担当」:ワクチンの購入と分配。予防接種の効用に関する認識向上。UNICEFのフィールドワーカーは現地のヘルスワーカーやボランティアと共に予防接種を実施。
  • ロータリーは「アドボカシー担当」:会員の持つ事業と専門職、ボランティアのネットワークを生かし、ポリオの認識向上、募金、地域社会の動員、政府や民間への支援の働きかけ(アドボカシー)を実施。これまでに100万人以上の会員がボランティア活動や募金を通じてポリオ根絶を支援。
  • ビル&メリンダ・ゲイツ財団は「リソース担当」:民間団体としてポリオ根絶に最も多額を寄付。技術面でのリソースも提供。

始まりはロータリーのビジョン

ロータリーがGPEIにもたらした最も大切なもの、それはおそらく「ポリオのない世界」というビジョンではないでしょうか。

GPEIのウェブサイトには、ロータリーについて次のように書かれています:
「ロータリーは、1985年に創設されたポリオプラスプログラムを通じて、“ポリオのない世界”というビジョンを初めて思い描きました」

ロータリーがこのビジョンを描いたのは、GPEI発足よりもずっと前のことでした。1979年、ロータリーは、3-H(保健、飢餓追放および人間性尊重)プロジェクトとしてフィリピンで600万人の子どもへの一斉予防接種を計画。費用70万ドルという5年間のプロジェクトに乗り出したのです。

このプロジェクトの成功で、ロータリーは、膨大な資金をかけた大規模かつ組織的な一斉予防接種が可能であることを世界に示しました。ロータリーが後に「ポリオプラス」を立ち上げ、最初のポリオ募金キャンペーンで2億4700万ドルという募金に成功した頃(1988年)には、ロータリーはGPEIのパートナーとなるにふさわしい団体であることを実証していました。

日本政府は世界で4番目のドナー国

前述のように、GPEIは官民共同のパートナーシップであり、各国政府からの支援を欠かすことはできません。日本政府もこれまでにポリオ根絶に多額の支援をしており、支援額ではアメリカ、英国、カナダに次いで4番目となっています(2017年6月時点)。

そんな日本政府からの支援を受け、今年6月には、UNICEFをはじめとするGPEIの外交団が来日し、ポリオ議連総会に出席しました。外交団はまた、国際ロータリー日本事務局(東京都港区)を訪れ、日本のロータリアンからの支援に感謝を示しました。

今年の「世界ポリオデー」イベントはGPEIの30周年を記念

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ネット中継の視聴方法は上の画像をクリックしてご覧ください。

上述のように、ロータリーは最初のポリオプラスキャンペーンで2億4700万ドルという募金に成功しましたが、この結果が発表されたのが、1988年のフィラデルフィア国際大会でした。また、ポリオ根絶活動での協力についてロータリーがWHOから連絡を受け、GPEIが芽生えたのも同大会中のことでした。

GPEIの30周年を記念する今年の「世界ポリオデー」特別イベントは、このフィラデルフィアで開かれます。現地時間10月24日午後6時半(日本時間の25日午前7時半)から同時通訳つきでネット中継されますので、ぜひご覧ください。

(執筆担当:時山)

【関連情報】
>> GPEIウェブサイト
>> ポリオ根絶支援サイト
>> ポリオ撲滅の実現がソーク博士とセービン博士への恩返し
>> ポリオ撲滅  ロータリーへの期待

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世界ポリオ根絶推進活動(GPEI) 今年で30周年」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 国際ロータリー第2510地区(北海道西部) » ポリオプラス委員会より

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