寄稿者:鈴木浩幸
(京都洛中ロータリークラブ)
皆さんは「不登校」をご存知ですか?
言葉はお聞きになったことがあっても、詳しくは知らないという方が大多数ではないでしょうか。
京都洛中ロータリークラブの2017-18年度テーマは「限りない友情と奉仕の心~地域を育む奉仕活動~」。これを受け、山本恵奉仕プロジェクト委員長は、「不登校の子どもたちへの支援」を提案しました。
良い提案だと誰もが認めました。しかし、不登校は非常に重い社会問題です。ロータリーとして「取り組むべし」の課題であるものの、複雑で個々にケースも異なり、本当に何かできるのかと、ずいぶん議論になりました。
議論をふまえ、山野貫一郎クラブ会長は、クラブテーマに掲げた育むべき地域とは「そこに生きる人」であるとして、難しいかもしれないが不登校支援に取組んでみよう、と会員に呼びかけました。
当クラブの地元には、全国に先駆けて不登校支援をはじめた京都市の機関「子ども相談センターパトナ」もあります。こうした地域とのご縁もあり、京都市教育委員会と同機関よりご指導をいただきながら、市民向けの『不登校の子どもたちへの支援フォーラム』を事業の柱に据えることを決断しました。
支援フォーラムは11月23日、池坊学園「こころホール」で開催することとなりました。
ただし、その前に、まず私たち自身が不登校について知らなければなりません。専門家である藤原勝紀氏(京都大学名誉教授)と長谷川智広氏(子ども相談センターパトナ)をクラブに招いてお話しいただきました。私たち会員は、不登校の深刻な現状とともに、不登校が特殊な問題行動ではないこと、そして、「何かをしてあげる」のではなく「寄り添ってあげる」ことが大切だと学びました。
支援フォーラムではシンポジウムを開催し、石﨑立矢氏(京都新聞論説委員)の進行のもと、次のパネリストが発表を行いました。
- 竹宮惠子氏 (京都精華大学学長)
- 石井志昴氏 (全国不登校新聞編集長)
- 長谷川智広氏 (子ども相談センターパトナ)
- 鈴木浩幸 (当クラブ会員)
発表では、何をおいても不登校に対する社会全体の理解、温かいまなざしで見守ること、子どもたちを支援する横連携の社会的仕組みの整備が必要であること、などが焦点となりました。

フォーラム当日、会員・スタッフ全員で最終の打ち合わせ
クラブ会員がパネリストの役割から、受付、案内誘導までを行い、まさに「クラブ手作り」のフォーラムとなりました。会場を埋めた約180人の市民・教育関係者は、最後まで熱心に参加してくださり、励みになった、また開催してほしいなどのお声を頂戴しました。
クラブはまた、フォーラムに合わせ、京都市に遊戯療法玩具を贈呈し、啓発目的のクリアフォルダを市立小6年生にプレゼントしました。
今回の事業を通じて、地域社会、ひいては世界を切り拓いていく青少年の育成がいかに重要であるか実感しました。また、ロータリーを通じて社会における課題を常に学び、課題の大きさに怯むことなく、地域社会と連携しながら、解決に向けて挑戦し続けるべきであることを、会員一人一人が再認識できました。
「挑戦してみてよかった」「参加できて嬉しかった」と会員が感じることができた今回の支援フォーラムは、クラブの将来に向けた大きな財産となったと考えています。
本プロジェクトの協力団体
>> 全国不登校新聞:日本唯一の不登校に関する新聞。「ひきこもりの子は何を心に抱いているのだろう」「親としてどうすればよいのだろう」など、不登校について深く知りたいという方の優れた情報源となります。試し読み/定期購読ができます。
>> 子ども相談センターパトナ(京都市):不登校をはじめ、不安や悩みのある子どもや保護者の相談に応じ、自立を促す支援を行っています。
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京都洛中RCの不登校フォーラム事業に出席し、一般に暗いイメージ、表に出したくない話を受け入れやすい内容にして、皆さんの共感を呼んだと思います、漫画家で教育者の竹宮学長のストレートな表現も良かったし、なにより、保護者代表のメンバーの発言に説得力があったかなと思います、素晴らしいフォーラム事業でした。
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