寄稿者:梅澤 見堂(妹背牛[セモウシ]ロータリークラブ会長)
妹背牛(セモウシ)町は、北海道の中西部に位置し、石狩川がもたらした肥沃な大地が広がり、稲作を基幹産業とする、北海道で面積が3番目に小さな町です。妹背牛ロータリークラブは、1967年に創立し、昨年創立50周年を迎えました。会員数9名と小さなクラブですが、「地域に根差した活動」を合言葉に、和気あいあいと活動しています。
人口の減少や高齢化が進むなかで、お年寄りが安心して暮らせるために何かできないだろうかと考えたのが、「救急リレーバトン」です。このプロジェクトは、一人暮らしのお年寄りが、自宅で急病や事故が起きたとき、救急隊員や医師に正しい情報を伝え、遠くにいる身内に連絡してもらうことを目的としています。
具体的には、本人の名前、生年月日、住所、電話番号、血液型、緊急時の連絡先、通院先、持病、特別な病気、アレルギー、健康保険証番号や服薬中の薬の情報をカードに記載し、専用のボトル(バトン型)に入れ、冷蔵庫の内扉に保管します。冷蔵庫にはこのバトンが保管されていることを示すシールが張り付けられ、命をつなぐことから「救急リレーバトン」と名付け、2011年に500本を作成し、妹背牛町に寄贈しました。
高齢者から万が一のお守りとして大変好評な上、高齢者に限らず、体に不安のある方の設置希望も多く、2015年には在庫が無くなってしまいました。その後、社会福祉協議会から追加作成の要請がクラブにあり、社会奉仕事業の一つとして計画、関係者とバトンの大きさやシールのレイアウトなど協議を重ねました。例会終了時間を利用し、全員で一本一本、真心込めて500本を作成、社会福協議会へ贈りました。
バトン寄贈は今回で2回目となり、高齢化が進む町で、緊急時における高齢者等の安心感はもとより、地域の皆さんに妹背牛ロータリークラブの活動について一層のご理解を得たプロジェクトとなりました。
何よりもこのプロジェクトが、第2510地区の嵯峨ガバナーの推薦をいただき、RI意義ある業績賞を受賞できたことは、小さなクラブにとってこの上ない光栄なことであり、今後の活動の励みとなりました。
<救急リレーバトンの概要>
緊急時に必要な情報を冷蔵庫に保管し、救急隊が情報を参考にして、迅速に救急活動を行い命を守るものです。
・設置希望者は、社会福祉協議会に申請する。
・救急情報カードの記載事項:氏名・生年月日・住所・電話番号・血液型・連絡先・通院先・持病・病歴・特別な医療・アレルギー・健康保険証番号・服薬の説明
・カードを専用の容器に入れ、冷蔵庫のドア内側に保管する。
・シールを冷蔵庫に貼り「救急リレーバトン」があることを示す。
・救急事態が発生したとき、かけつけた救急隊員や医療関係者が冷蔵庫のシールに気付き、情報を参考に救急医療活動を行う。
・近親者への連絡もスムーズに行う。
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