筆:クウェンティン・ウォドン
キャピトルヒル・ロータリークラブ(米国ワシントンD.C.)会長
世界銀行主席エコノミスト
ロータリアンのほとんどがさまざまな分野の深い専門知識やスキルを有しているにも関わらず、多くのクラブでは、会員の専門知識を奉仕プロジェクトに生かすシステムがありません。もちろん、ある特定の分野でのグローバル補助金プロジェクトでは、関連知識を持ったロータリアンが熱心に活動する場合もあります。しかし、私の印象では、奉仕活動で素晴らしい取り組みを行っていても、戦略が欠けていたり、ロータリアンが持つ専門知識が十分に生かされなかったりするために、十分なインパクトを与えられないケースが多いと思います。
この問題への解決策として、「Pro Bono Rotarian Teams(無償ロータリアンチーム)」のコンセプトをご紹介します。7月1日、私のクラブは、地元にある6つの非営利組織とパートナーシップを組み、無償サービスの提供をはじめました。このパートナーシップには4つのメリットがあります:会員のためのより良い奉仕の機会と地域社会でのより大きなインパクト、パートナー団体とクラブの可視性の向上、新会員の入会促進、奉仕チームの強化です。ご参考までに、この4つにいて簡単にご説明します。
より良い奉仕の機会とより大きなインパクト:私たちのクラブのロータリアンは、ほかのクラブと同様、専門職に就く人やビジネスリーダーです。これらのロータリアンとノンロータリアンから成る4~5名のチームをつくり、地元の非営利組織が抱える問題への取り組みに力を貸しています。この活動によって、クラブ会員にとってより興味深い奉仕の機会が提供でき、他団体と協力することでより戦略的に活動できるようになるほか、地域社会へのインパクトがさらに増大します。
パートナー団体とクラブの可視性の向上:可視性を高めるために私たちが行っていることをご紹介します。まず、コミュニティブログ「The Hill is Home」を利用して、ソーシャルメディアで奉仕活動の情報を拡散しています。クラブの活動だけでなく、パートナー団体との協力や彼らの活動についても投稿します。また、毎月発行している地域誌にパートナー団体について短い記事の掲載も始めました。
新会員:私たちのクラブは数年間、会員数が減少していましたが、7月1日以来、会員数が50%増え、18名から27名へと成長しました。無償サービスの提供と地元の非営利組織との協力が新会員の入会促進に役立っています。
奉仕チームの強化:私たちの「無償チーム」は地元の非営利組織と3カ月にわたって活動します。チームメンバーはロータリアンとノンロータリアンです。希望としては、チームに参加したノンロータリアンが行く行くはロータリーに入会することですが、それだけを目標としているわけではありません。大きな目標は、チームを強化し、それぞれのチームメンバーが持つ専門知識を学び、今はロータリーに関心はなくても、奉仕活動に意欲がある人たちとのネットワークをつくることです。私たちのモデルは、「ロータリー地域社会共同隊」と似たようなもので、地元の非営利組織をサポートし、強化するために協力しています。
ロータリークラブが地元の非営利組織と戦略的に協力する方法はたくさんあります。また、クラブの中には長年このようなパートナーシップを実施しているクラブもあるでしょう。無償で非営利組織へのコンサルティングを行う私たちの活動がすべてのクラブに適切ではないかもしれませんが、少なくとも私たちにとっては上手くいっていますし、公共イメージの向上と会員増強という面でも状況が好転しています。このモデルについてご質問がある方は、私のブログ「The Rotarian Economist」の「contact me」からEメールでご遠慮なくお問合せください。